問題3の解き方
試験Ⅱ問題3では毎年、学習者の発音上の問題を見分けます。問題2はまとまった音の問題でしたが、問題3は1つの音の間違いです。
教師が言い直したところが答えです。その後、もう一度学習者の音声を聞くことができます。
1番~3番では口腔断面図が出てきます。
4つの選択肢の口腔断面図を見分けることができなければなりません。
口腔断面図の見分け方
①舌(唇)がどこに近づいているか?→調音点を確認
②のどの右上(口蓋帆)が開いているか?→開いていたら鼻音
③舌(唇)がどこかにくっついているか(くっついていたら破擦音、破裂音)
という3つの観点から判断しましょう。
まだ見分けることができない人は、下の動画からはじめてください。
また、4番~8番では調音に関する用語が出てきます。
各用語の意味を理解しておかなければなりません。
まだ理解していない方は下の動画からはじめてください。
平成27年度の解説
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅱの問題3は【単音に関する学習者の発音上の問題点】です。
日本語教育能力検定試験に出てくる口腔断面図は、以下のように見分けることができます。
○調音点
・歯茎…尖った舌先が歯に近いところ。
・歯茎硬口蓋…盛り上がった舌が斜め前に向かっています。
・硬口蓋…盛り上がった舌が真上に向かっています。
・軟口蓋…盛り上がった舌が斜め後ろに向かっています。
○調音法
・鼻音…のどの奥の上の部位(口蓋帆)が開いており鼻腔へ空気が通るようになっています。口の中はどこかがくっついています。
・摩擦音・半母音…舌と口蓋に隙間があります(半母音の方が隙間が広い)。のどの奥の上の壁(口蓋帆)は閉じています。
・破裂音・破擦音・弾き音…舌と口蓋がくっついています(弾き音は弾くために舌が反り返っています)。のどの奥の上の壁(口蓋帆)は閉じています。
1番 平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅱの問題3の問3と同じ誤りです。
「すごい」を「しゅごい」と発音しています。
[s]無声歯茎摩擦音が、
[ ɕ / ʃ ] 無声歯茎硬口蓋摩擦音になっています。
[ ɕ / ʃ ] 無声歯茎硬口蓋摩擦音の口腔断面図は、歯茎硬口蓋に舌が近づいているが狭い隙間があるd。
よって、正解はdです。
2番
「しんよう」を「しんにょう」と発音しています。
[ j ]有声硬口蓋半母音が、
[ ɲ]有声(歯茎)硬口蓋鼻音になっています。
[ ɲ]有声(歯茎)硬口蓋鼻音の口腔断面図は、舌が歯茎硬口蓋にくっついて息が鼻に流れているa。
よって、正解はaです。
3番
「きょうかしょ」を「ちょうかしょ」と発音しています。
[k]無声軟口蓋破裂音が、
[ ʨ / ʧ ] 無声歯茎硬口蓋破擦音になっています。
[ ʨ / ʧ ] 無声歯茎硬口蓋破擦音の口腔断面図は、舌が歯茎硬口蓋にくっついているb。
よって、正解はbです。
4番
「さんねんめ」を「さんにぇんめ」と発音しています。
[n]有声歯茎鼻音が、
[ ɲ]有声(歯茎)硬口蓋鼻音になっていますので、調音点の誤りです。
よって、正解はaです。
5番
「やくそく」を「ざくそく」と発音しています。
[ j ]有声硬口蓋半母音が、
[z]有声歯茎摩擦音になっていますので、調音点と調音法の誤りです。
よって、正解はcです。
6番 平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅱの問題3の4番と同じ誤りです。
「つづき」を「 つづぎ」と発音しています。
[k]無声軟口蓋破裂音が、
[g]有声軟口蓋破裂音になっていますので、 声帯振動の誤りです。
よって、正解はcです。
7番
「じゅぎょう」を「じぎょう」と発音しています。
[ɯ/u](非)円唇後舌高母音が、
[ i ]非円唇前舌高母音になっていますので、舌の前後位置が誤っています。
よって、正解はbです。
8番
「みていたから」を「みていtから」と発音していますので、「た」の母音が脱落しています。
よって、正解はaです。