【過去問解説】令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰ【みんなの解答】

正解率令和5年度 日本語教育能力検定試験の解説
正答率
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  1. 動画で解説
  2. 問題1
    1. (1)【摩擦音】 正解率78
    2. (2)【促音の調音法】正解率68
    3. (3)【複合名詞のアクセント】 正解率76
    4. (4)【連声の有無】れんじょう 正解率71
    5. (5)【音読み・訓読み】 正解率65
    6. (6)【漢字の字源】 正解率96
    7. (7)【短い形の使役受身形の有無】 正解率72
    8. (8)【動詞の意志性】 正解率83
    9. (9)【接続詞の用法】 正解率93
    10. (10)【「を」の用法】 正解率87
    11. (11)【「まで」の用法】 正解率83
    12. (12)【「ておく」の用法】 正解率85
    13. (13)【「ながら」の用法】 正解率88
    14. ★(14)【副詞的成分と述語の関係】 正解率52
    15. (15)【「については」の用法】  正解率49
  3. 問題2【異なる種類の誤用】
    1. (1)「外国」が「開国」と聞こえる【ちいさい言語学者の冒険】 正解率80
    2. (2)「しちゅれいします」【口蓋化】 正解率84
    3. (3)「古い人」【コロケーション】 正解率67
      1. どうして間違えたのかを考えると日本語を教えるのに役立つ
    4. (4)「食べなくて」【テ形の否定形】 正解率93
      1. どうして間違えた?【テ形の否定形】
      2. どうして3は「来なくて」も「来ないで」も「来ずに」もダメなのか?
    5. (5)「分かっている意味」 正解率94
      1. どうして4だけ違う?
  4. 問題3A【子音と母音】
    1. (1)「子音に関わる調音法」 正解率71
    2. (2)「様々な調音点」 正解率93
    3. (3)「舌の最高点の位置、口の開き具合」 正解率85
    4. (4)「半母音」 正解率78
    5. (5)「母音や子音が元の音から変化する現象」 正解率63
  5. 問題3B【格助詞の用法】
    1. (6)格助詞「が」の例 正解率79
    2. (7)中立叙述 正解率46
    3. (8)格助詞「が」の使い方 正解率73
    4. (9)「太郎は帰ってきたら夕食にしよう」同じ原因による誤用の例 正解率58
    5. (10)話し言葉で省略される格助詞 正解率86
  6. 問題3C【語の体系】
    1. (11)一つの語基に接辞が付いた派生語 正解率69
      1. 「お父さん」「広い」を語基と接辞に分けてみよう。
    2. (12)単義語と多義語 正解率51
    3. (13)恣意的ではない語 正解率54
    4. (14)包摂関係 正解率94
    5. (15)一方の語が肯定されれば他方の語が否定される対立関係 正解率82
  7. 問題3D【文の分類】
    1. (16)日本語で述語になるのは? 正解率90
    2. (17)単文の例 正解率70
    3. (18)話し手の認識を表現する形式 正解率89
    4. (19)出来事に対する話し手の認識を予告する機能を持つモダリティの副詞の例 正解率81
    5. (20)許可を求める文や依頼する文 正解率76
  8. 問題4 日本語コースの主教材
    1. 問1 目標言語調査 正解率67
    2. 問2 優れた教材を開発するプロセス 正解率77
    3. 問3 機能シラバスによる教材の目次の例 正解率81
    4. 問4 インフォメーション・ギャップを取り入れたタスクシート 正解率67
    5. 問5 生教材の使用の際の留意点 正解率76
  9. 問題5 テスト
    1. 問1 熟達度テスト 正解率53
    2. ★問2 テストの細目表を作る利点 
      1. 【出題範囲】
      2. 【各区分における測定内容】
    3. 問3 信頼性を損なう行為の例 正解率93
    4. ★問4 実用性や波及効果 
    5. ★問5 S-P表
  10. 問題6 教授法
    1. 問1 内容重視の指導法 正解率67
    2. 問2 イマージョン教育 正解率59
    3. 問3 CLIL(クリル) 正解率74
    4. 問4 スキャフォールディング
    5. ★問5 タスク中心の教授法 正解率
  11. 問題7 インターネットを活用するe-learning
    1. 問1 ブレンディッド・ラーニング 正解率96
    2. 問2 非同期型 正解率97
    3. 問3 ハイフレックス型授業 正解率63
    4. 問4 適切なメディアを選択する際の留意点 正解率79
    5. 問5 著作権侵害にならない例 正解率74
  12. 問題8 異文化適応
    1. 問1 Uカーブモデル 正解率91
    2. 問2 非言語コミュニケーション 正解率77
    3. 問3 ポリクロニックな時間意識を持つ文化の傾向 正解率60
    4. 問4 アサーティブな自己表現 正解率94
    5. 問5 ジョハリの窓 正解率87
  13. 問題9 文化間移動をする子ども
    1. 問1 子どもと大人の第二言語の習得における異なる特徴 正解率89
    2. ★問2 敷居(閾)仮説 正解率47
    3. 問3 生活言語能力と学習言語能力 正解率88
    4. 問4 学齢期の子ども 正解率83
    5. 問5 内発的動機づけの例 正解率95
  14. 問題10 第二言語習得
    1. 問1 誤用の種類 正解率77
    2. 問2 誤用分析 正解率85
    3. 問3 グローバルエラーの例 正解率85
    4. 問4 習得順序や発達順序 正解率60
    5. ★問5 第二言語習得に与える母語の影響 正解率30
  15. 問題11 言語のバリエーション
    1. 問1 術語 正解率68
    2. 問2 集団語の例 正解率92
    3. 問3 職業語に由来する語の例 正解率74
    4. 問4 隠語の例 正解率83
    5. 問5 集団内でのアクセントの変化 正解率62
  16. 問題12 待遇表現
    1. 問1 ウチとソトと上下関係 正解率96
    2. 問2 敬語の種類 正解率71
    3. 問3 尊敬語の規範的な使用例 正解率57
    4. 問4 時代や地域による敬語の違い 正解率50
    5. 問5 丁寧体の会話が普通体に切り替わる条件 正解率57
  17. 問題13 会話の仕組み
    1. 問1 協調の原理 正解率36
    2. 問2 質の公理に違反している返答の例 正解率46
    3. 問3 文脈化 正解率59
    4. 問4 ターンテイキング 正解率91
    5. 問5 隣接ペア 正解率91
  18. 問題14 海外の日本語教育
    1. 問1 国際交流基金の活動目的 正解率55
    2. 問2 海外の日本語学習者数 正解率65
    3. 問3 教育段階別の学習者数比 正解率37
    4. 問4 日本語学習の目的・理由 正解率56
    5. 問5 米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業 正解率41
  19. 問題15 日本語教員の養成
    1. 問1 1980年代に始まった日本語教育に関する事業 正解率29
    2. 問2 昭和60年「日本語教員の養成等について」 正解率36
    3. 問3 平成12年「日本語教育のための教員養成について」 正解率9
    4. 問4 平成31年「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」 正解率19
    5. 問5 日本語教師の三段階 正解率14
  20. 令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰの正答率【みんなの解答】

動画で解説

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問題1

(1)【摩擦音】 正解率78

1 [ɾ]有声歯茎はじき音(「ラリルレロ」の子音)

2 [s]無声歯茎摩擦音(「サスセソ」の子音)

3 [ʒ]有声後部歯茎摩擦音(「ジ」の子音)

4 [h]無声声門摩擦音(「ハヘホ」の子音)

5 [ð]有声歯摩擦音(日本語にない音。theの子音)

1のみはじき音

答えは1

(2)【促音の調音法】正解率68

促音(小さい「ッ」)は次の子音の調音(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p485)

1 キック

次の子音は[k]無声軟口蓋破裂音

2 ゴッホ

次の子音は[h]無声声門摩擦音

3 トップ

次の子音は[p]無声両唇破裂音

4 ホット

次の子音は[t]無声歯茎破裂音

5 ラッパ

次の子音は[p]無声両唇破裂音

2のみ摩擦音

答えは2

(3)【複合名詞のアクセント】 正解率76

複合名詞のアクセントについて詳しいのは「NHKアクセント辞典 複合名詞の発音とアクセント

窪薗(1987)では、「複合名詞」を次の2つに分類している。

・複合化複合名詞

・非複合化複合名詞

(中略)

例えば、

「世代交代」「行方不明」は「複合している」複合名詞」であり、これに対して

「新旧交代」「消息不明」は「複合していない」複合名詞であると考えられる。

(中略)

複合名詞のアクセントの最大の特徴は、複合することにより、アクセントが、単独の語のアクセントから変化するという点である。

NHKアクセント辞典 複合名詞の発音とアクセント」より

1 チーズかまぼこ(低高高高低低低)

チーズ(高低低)+かまぼこ(低高高高)

2 クラブ活動(低高高高低低低)

クラブ(高低低)+  活動(低高高高)

3 幼児教育(低高高高低低低)

幼児(高低低) +  教育(低高高高)

4 宇宙開発(低高高高低低低)

宇宙(高低低) +  開発(低高高高)

5 整理整頓(高低低低高高高)

整理(高低低) +  整頓(低高高高)

単語をバラバラに発音してみる。次にまとめて発音してみる。

アクセントの違いがわかる。

5だけ「整理」「整頓」で発音しても「整理整頓」で発音してもアクセントが変わらない。

「整理整頓」は「複合していない」複合名詞であると考えられる。

答えは5

(4)【連声の有無】れんじょう 正解率71

連声とは、二つの語が連接するときに生ずる音変化の一つ(スーパー大辞林3.0)。前の語の末尾のm/n/tが、後の語の先頭の・ヤ・ワ行をマ・・タ行の音に変化させること。連声の読み方は「れんじょう

1 隠密「オン/イン」+「ミツ」→「オンミツ/インミツ」変化なし

隠の読み方は、呉音「オン」、漢音「イン」と異なるが、連声ではない。

2 経年「ケイ」+「ネン」→「ケイネン」変化なし

似た音の連声に「インネン」がある。 因縁(「イン」+「エン」→「インネン」)

3 出納「シュツ」+「ノウ」→「シュツノウ」あるいは慣用的に「スイトウ

出の読み方は呉音「スイ」、漢音「スイ/シュツ」

納を「トウ」と読むのは中国から来た読み方ではない。日本で誤読が広まった慣用読み

4 反応「ハン」+「オウ」→「ハンウ」

「ハン」の末尾のnが、次の語の先頭の「オ」を「ノ」に変化させているので連声

5 珍味「チン」+「ミ」→「チンミ」変化なし

似た音の連声に「三位一体」の「サンミ」がある。三位(「サン」+「イ」→「サンミ」)

4のみ連声

答えは4

(5)【音読み・訓読み】 正解率65

数字の音読み「いち・さん・し・・ろく・しち・はち・きゅう・じゅう」

数字の訓読み「ひとつ(ひい)・ふたつ(ふう)・みっつ(みい)・よっつ()・いつつ(いつ)・むっつ(むう)・ななつ(なな)・やっつ(や)・ここのつ(ここの)・とお」

1 二個(にこ)音読み

2 三個(さんこ)音読み

3 四個(んこ)訓読み

4 五個(ごこ)音読み

5 九個(きゅうこ)音読み

3のみ訓読み

答えは3

(6)【漢字の字源】 正解率96

漢字は成り立ちや用法に基づいて以下の6つにわけられる。

① 象形文字(もともとの形を絵で表した漢字)

例:山、大、木

② 指事文字(抽象的な内容を線や点で表した漢字)

例:一、二、三

③ 会意文字(意味を表す記号を組み合わせて作った漢字)

例:男、泣、尿、青

④ 形声文字(意味を表す記号と音を表す記号を組み合わせて作った漢字)

例:晴、清、河、

⑤ 転注文字(本来の意味から転じた意味で使っている漢字)

例:「長」はもともと「としより」という意味だったが、「ながい」という意味でも使われるようになった。

⑥ 仮借文字(音が似た字を使った漢字)

例:ロシアのことを「露」という。

1 山 象形文字

2 木 象形文字

3 日 象形文字

4 月 象形文字

5 上 指事文字

5のみ指事文字

答えは5

(7)【短い形の使役受身形の有無】 正解率72

先週の「初級日本語文法と教え方のポイント」で触れたところが出題。

1グループの動詞(五段動詞)の使役形と使役受身形には短い形(縮約形)がある。

辞書形使役形(下は縮約形)使役受身形(下は縮約形)
1話す話させる
話さす
話させられる
話さされる
2笑う笑わせる
笑わす
笑わせられる
笑わされる
3泣く泣かせる
泣かす
泣かせられる
泣かされる
4働く働かせる
働かす
働かせられる
働かされる
5待つ待たせる
待たす
待たせられる
待たされる

「話す」「直す」など語尾が「-す」の動詞の使役受身形で短縮形は使われない。

答えは1

(8)【動詞の意志性】 正解率83

例文を作ってみる。

1 移る

来週から彼は大阪に移る:意志あり

2 去る

来週、彼はここを去る:意志あり

3 茂る

若葉が茂る:意志なし

4 残る

来週も彼はここに残る:意志あり

5 回る

来週も彼はここを回る:意志あり

3のみ意志なし

答えは3

(9)【接続詞の用法】 正解率93

現代日本語文法⑦p58に「接続表現の一覧」がある。

「けれども」「しかし」「だが」「でも」は逆接

「むしろ」は代替(詳しくは現代日本語文法⑦p100、p103)

代替の接続表現とは、先行部の内容や表現を否定し、それに代わるものを後続部に示すもの(現代日本語文法⑦p103)

「むしろ」は、先行部に否定表現をとることが多く、後続部でその否定の程度を拡大する(現代日本語文法⑦p103)

わからない場合は文を作ってみるといい。

1 けれども

勉強する人は増えていない。けれども、私は勉強する。

2 しかし

勉強する人は増えていない。しかし、私は勉強する。

3 だが

勉強する人は増えていない。だが、私は勉強する。

4 でも

勉強する人は増えていない。でも、私は勉強する。

5 むしろ

勉強する人は増えていない。むしろ、減っている。

5だけ後続部が違うことがわかる。

答えは5

(10)【「を」の用法】 正解率87

格助詞の用法については毎年出題される。

現代日本語文法②のp5がおすすめ

現代日本語文法②p5より

1 「大通り」は「横切る」の経過域

2 「川」は「泳ぐ」の経過域

3 「車」は「通す」の対象

4 「廊下」は「走る」の経過域

5 「土手」は「散歩」の経過域

3だけ対象

答えは3

(11)【「まで」の用法】 正解率83

この問題の元ネタは現代日本語文法⑤p96〜

1の「まで」は、極限を表す取り立て助詞

2〜5の「まで」は着点(範囲の終点)を表す格助詞の「まで」

みんなの答えは1

取り立て助詞については令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Cの大問で説明されているので要チェック

(12)【「ておく」の用法】 正解率85

この問題の元ネタは現代日本語文法②p140〜

「ておく」には、結果の維持を表す用法と事前の処置を表す用法がある。

・換気のために窓を開けておく(結果の維持)

・あらかじめ材料をゆでておく(事前の処置)

現代日本語文法②p140〜より

結果の維持:元に戻すことも可能(現代日本語文法②p141)「ある状態を一定期間維持する」

事前の処置:元の状態に戻すことを前提としてはいない(現代日本語文法②p142)

1 流しておく:結果の維持

2 閉めておく:結果の維持

3 見直しておく:事前の処置

4 掛けておく:結果の維持

5 つけておく:結果の維持

答えは3

(13)【「ながら」の用法】 正解率88

付帯状況を表す「ながら」(現代日本語文法⑥p239)と

逆接を表す「ながら」(現代日本語文法⑥p161)がある。

1〜4は付帯状況を表す「ながら」

5は逆接を表す「ながら」

答えは5

★(14)【副詞的成分と述語の関係】 正解率52

この問題の元ネタは現代日本語文法②p191~

・雨がしとしと降っている。(様態を表す副詞的成分)

・布が赤く染まった。(結果を表す副詞的成分)

・鈴木は非常に頭がいい。(程度を表す副詞的成分)

・肉がたっぷり詰まっている。(量を表す副詞的成分)

現代日本語文法②p191

1 粉々に砕け散った:結果(現代日本語文法②p196)

2 軟らかく煮込んだ:結果(現代日本語文法②p196)

3 さっと炒めた:様態

4 ふっくら焼き上がった:結果(現代日本語文法②p196)

5 淡い桜色に塗った:結果

3のみ様態

私の答えは3

みんなの答えは5

(15)【「については」の用法】  正解率49

この問題の元ネタは現代日本語文法⑤p232〜

「については」類(「については」「に関しては」)は、あるものだけに限定した叙述を行う場合に、主題を提示するのに用いられる。

A「例のプロジェクトはうまくいきそうですか」

B「費用の点については大丈夫だ。」中略

「については」類は、言語活動思考活動動作が向けられる対象を主題として提示するものにも用いられる。(中略)

・新製品については、田中部長が説明します。

現代日本語文法⑤p232〜

1 限定した叙述

2 限定した叙述

3 言語活動の対象

4 限定した叙述

5 限定した叙述

みんなの答えは3

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問題2【異なる種類の誤用】

(1)「外国」が「開国」と聞こえる【ちいさい言語学者の冒険】 正解率80

以前「日本語教師のための読書会」で読んだ「ちいさい言語学者の冒険」の冒頭質問が出題。

「「さ」にテンテンつけたら何ていう?」

 さっき、(「た」のテンテンを)da(だ)って答えてくれた子なら、おそらくすぐに「za(ざ)だよ」って答えてくれるはず。きっと「か」にテンテンでも同様、すぐに「ga(が)だよ」と返ってくるでしょう。で、問題は次です。

「は」にテンテンをつけたら何ていう?

 さて、なんて答えるかな? じつはここで急に「うーんわかんない」っていう子どもがけっこういるんです。

ちいさい言語学者の冒険

日本語教育能力検定試験では過去にも出題されている。落としたくない問題。

「外国」が「開国」

違いは「が」と「か」

テンテン(濁音)がなくなっている。

音声学的には子音に声帯振動が有るか無いかの違い。

声帯振動が有れば有声音

声帯振動が無ければ無声音

が:ga [g]有声軟口蓋破裂音

か:ka [k]無声軟口蓋破裂音

1「だ」の子音が無声音になると「た」

[d]有声歯茎破裂音

[t]無声歯茎破裂音

2「げ」の子音が無声音になると「け」

[g]有声軟口蓋破裂音

[k]無声軟口蓋破裂音

3「で」の子音が無声音になると「て」

[d]有声歯茎破裂音

[t]無声歯茎破裂音

4「ぶ」の子音が無声音になると「ぷ」。「ふ」ではない。

[b]有声両唇破裂音

[p]無声両唇破裂音

「ふ」の子音は[ɸ]

[ɸ]無声両唇摩擦音

調音法も「破裂音」→「摩擦音」に変わっている。

1〜3は有声音→無声音。声帯振動の有無が違う。

4だけ声帯振動の有無も調音法も違う

答えは4

(2)「しちゅれいします」【口蓋化】 正解率84

「しれい」が「しゅれい」

」が「ゅ」になるのは口蓋化

」と「ゅ」を続けて発音すると

「ちゅ」の時、前舌の面の盛り上がりが奥の方に移動しているのがわかる。

」[tsɯ]

ゅ」[ɯ](あるいは[ɯ]と表記)

[ts]無声歯茎破擦音

[]無声歯茎硬口蓋破擦音

1「ございます」が「ごじゃいます」

ざ」[za]

ゃ」[ʑa](あるいは[ʒa]と表記)

[z]有声歯茎摩擦音

[ʑ]有声歯茎硬口蓋摩擦音

2「ごちゅうい」が「ごじゅうい(ごぢゅうい)」

「ち」[i](あるいは[i]と表記)

「ぢ」[ʑi](あるいは[ʒi]と表記)

[]無声歯茎硬口蓋破擦音

[ʑ]有声歯茎硬口蓋摩擦音

3「どうぞ」が「どうじょ」

」[zo]

ょ」[ʑo](あるいは[ʒo]と表記)

[z]有声歯茎摩擦音

[ʑ]有声歯茎硬口蓋摩擦音

4「とうぜん」が「とうじぇん」

」[ze]

ぇ」[ʑe](あるいは[ʒe]と表記)

[z]有声歯茎摩擦音

[ʑ]有声歯茎硬口蓋摩擦音

1、3、4は口蓋化(歯茎→歯茎硬口蓋)して拗音になっている。調音点のみ違う。

2は声帯振動の有無と調音法が違う。

答えは2

(3)「古い人」【コロケーション】 正解率67

誤用を直してみる。

「古い人」→「お年寄り」「お年を召した方」「老人」「高齢者」「シニア」「シルバー世代」「人生の先輩」

何がダメか考える。

「人」に「古い」は使わない。

コロケーションの誤り。

1「多い本」→「多くの本」

「本」に「多い」は使う(例:本が多い)。

コロケーションの誤りではない。

令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(4)選択肢3と同じ間違い

「多い」という形容詞のままだと名詞修飾が難しい。

転成して「多く」という名詞にしなければならない

転成とは、ある語が別の品詞に変化することで新しい語を生み出すことである。

転成には、複合によるもの、派生によるもの、もとの品詞の語形の1つをそのまま用いるものがある。

・勉強(名詞)+する(動詞)→勉強する(動詞)

・寒い(形容詞)+さ(接尾辞)→寒さ(名詞)

・流れる(動詞)→流れ(名詞)

現代日本語文法①p144

「多く」については現代日本語文法①p145に記載がある。

特定のイ形容詞の連用形が名詞になる。

・近い→近くする(イ形容詞の連用形)

近くで事故があった。(名詞)

・遠い→遠くする(イ形容詞の連用形)

遠くで猫の鳴き声が聞こえた。(名詞)

・多い→多くする(イ形容詞の連用形)

猫の多くが逃げました。(名詞)

https://www.hamasensei.com/grammar4/

2「重い雨」→「激しい雨」

「雨」に「重い」は使わない。コロケーションの誤り。

3「忙しい通り」→「賑やかな通り」

「通り」に「忙しい」は使わない。コロケーションの誤り。

4「寒い飲み物」→「冷たい飲み物」

「飲み物」に「寒い」は使わない。コロケーションの誤り。

2〜4はコロケーションの誤り

1は品詞の誤り

答えは1

どうして間違えたのかを考えると日本語を教えるのに役立つ

どうして「古い人」と言ってしまったのか?

誤用の原因まで考えると日本語を教える際に役立つ。

今回の誤用は全て英語からの転移だと思われる。

英語では「old people」と言う。日本語に直訳すれば「古い人」

英語では「many books」と言う。日本語に直訳すれば「多い本」

英語では「heavy rain」と言う。日本語に直訳すれば「重い雨」

英語では「busy street」と言う。日本語に直訳すれば「忙しい雨」

英語では「cold water」と言う。日本語に直訳すれば「寒い飲み物」

(4)「食べなくて」【テ形の否定形】 正解率93

誤用を直してみる。

「食べなくて」→「食べないで」「食べずに

各選択肢も直してみる。

1「諦めなくて」→「諦めないで」「諦めずに」

2「しなくて」→「しないで」「せずに」

3「来なくて」→「来ないで」「来ずに」×「来ないので」「来ないなら」○

4「使わなくて」→「使わないで」「使わずに」

3だけ「ないで」「ずに」で直せない。

答えは3

「なくて」「ないで」の違いは令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Aでも出題されているので要チェック。今回は簡単だが令和4年度は難問。

どうして間違えた?【テ形の否定形】

イ形容詞ナ形容詞名詞の場合、「テ形の否定形」は「なくて」のみだから迷わない。

イ形容詞の例:高くなくて

ナ形容詞の例:器用じゃなくて

名詞の例:休日じゃなくて

ところが動詞の場合は「ずに」「ないで」「なくて」の3つがあり用法が異なるので誤用が出る。

「ずに」「ないで」「なくて」の違いは現代日本語文法⑥p289が詳しい。

どうして3は「来なくて」も「来ないで」も「来ずに」もダメなのか?

この問題を正解するのは簡単。

日本語ネイティブなら3だけ「テ形の否定形」が使えないことがわかる。

だが、プロの日本語教師になりたいならその先が必要である。

どうして3だけダメなんですか?

学習者に質問された時、答えなければならない。

正解するだけではダメなのだ。

Why?

を考えなければならない。

日本語教育能力検定試験の勉強をするときは

自分が学習者に質問されたら何と答えるか

考えながら問題と向き合いたい。

考えた後、現代日本語文法⑥p279〜、あるいはこの先を見てほしい。

各選択肢の従属節の意味を考える。

1「諦めないで」付帯状況

2「しないで」付帯状況

3「来なくて」理由

4「使わないで」付帯状況

3だけ従属節の用法が異なる。

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A(9)で問われたように

テ形が原因・理由を表すと解釈できるのは

「従属節か主節のどちらか、または両方が無意志的な出来事の場合」である。

なぜか?

意志的な動きだと、継起の意味になってしまうからだ。

・今日は朝起きて、ご飯を食べて、学校に行った:継起

一方、無意志的な動きがあれば両者が因果関係で結びつく。

先に起こったことが原因・理由で、後の出来事が起こると解釈できる。

電車が止まって学校に行けなかった:原因・理由

・海辺のカフカを読んで、泣いてしまった:原因・理由

上記の通り「テ形」では従属節と主節の因果関係が非意図的に引き起こされることを表す。

言い換えると、主節に意向形(帰ろう)のような意図を表す表現は使えない。

・バスが来なくて、歩いて帰ろう×

意向形(意志形)をやめればいい。

・バスが来なくて、歩いて帰った○

正解のその先まで考えることで

日本語教育能力検定試験の勉強が

現場で応用できる知識になる。

(5)「分かっている意味」 正解率94

誤用を直してみる。

「分かっている意味」→「分かっているという意味

1 時間に遅れるという意味

2 馬が泣くという意味

3 教え授けるという意味

4 (男が)友達を呼ぶ時に使う言葉

1〜3は言葉の意味を説明している。

4はどんな時に使うかを説明している。

だから直し方も異なる。

答えは4

本問のように名詞修飾表現に「という」が入るパターンについては

現代日本語文法⑥p65〜が詳しい。

「という」や「との」の介在の有無は、修飾節の種類と関わりがある。介在する場合の多くは、内容補充修飾節による修飾の場合である。

現代日本語文法⑥p65〜

どうして4だけ違う?

1〜4を同じタイプの誤りだと思った学習者は、意味と使い方を混同している。

今回の問題ような質問をしてきたら

①意味は何ですか?

②どんな時に使いますか?

分けて質問することで

意味と使い方の違いがわかり

頭が整理させるはず。

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問題3A【子音と母音】

問題3Aで音声が問われました。

平成25年度の試験Ⅰ問題3A【音声・国際音声記号・音素】を思い出します。

持っている方、今回の問題とぜひ見比べてみてください。

この問題ができなかった人はこちらの動画で復習を。

(1)「子音に関わる調音法」 正解率71

日本語の規範的な音声は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2でも出題。

令和元年度の問題文を読めば「規範的な日本語」→「標準語」→「東京方言の音韻規則」とわかる。

「タ」の子音 [t]無声歯茎破裂音

「ツ」の子音 [ts]無声歯茎破擦音

調音法が異なる

「ナ」の子音 [n]有声歯茎鼻音

「ヌ」の子音 [n]有声歯茎鼻音

調音法は同じ

「ハ」の子音 [h]無声声門摩擦音

「フ」の子音 [ɸ]無声両唇摩擦音

調音法は同じ。調音点が異なる。

「ラ」の子音 [ɾ]有声歯茎はじき音

「ル」の子音 [ɾ]有声歯茎はじき音

調音法は同じ。

答えは1

(2)「様々な調音点」 正解率93

子音の調音点,調音法,調音表,両唇,歯茎,歯茎硬口蓋,硬口蓋,軟口蓋,摩擦音,破擦音,破裂音,鼻音,弾き音,半母音

1「カ」の子音は[k]無声軟口蓋破裂音

2「ナ」の子音は[n]有声歯茎鼻音

3「マ」の子音は[m]有声両唇鼻音

4「ラ」の子音は[ɾ]有声歯茎はじき音

答えは3

(3)「舌の最高点の位置、口の開き具合」 正解率85

この問題を間違えた人はこちらの動画

1「イ」[i]非円唇前舌高母音(狭母音)

日本語の規範的な「イ」は、舌の前部が高く、口の開きが狭い母音である。

2「ウ」[ɯ]非円唇後舌高母音(母音)

日本語の規範的な「ウ」は、舌の後部が高く、口の開きが狭い母音である。

3「エ」[e]非円唇前舌中母音(半狭母音)

日本語の規範的な「エ」は、舌の前部が高く、口の開きが「イ」より広く「ア」より狭い母音である。

4「オ」[o]円唇後舌中母音(半狭母音)

日本語の規範的な「オ」は、舌の後部が高く、口の開きが「ウ」より広く「ア」より狭い母音である。

答えは1

(4)「半母音」 正解率78

半母音はこちらの動画の30:00~から

接近音は、狭めの隙間を作るが摩擦音が出るほど狭くない。

半母音接近音(「イ」も「ウ」も狭母音)の一つ。母音から別の母音に移るときの最初の音を子音として認識するための用語。

ヤ行子音[ j]

「イ」[i]+「ア」[a]=「ヤ」[ ja] …最初の短い音を母音[i]ではなく子音(半母音)[ j]として認識

「イ」+「ウ」=「ユ」[ jɯ] 

「イ」+「オ」=「ヨ」[ jo] 

ワの子音[w]あるいは[ɰ]

「ウ」[ɯ]+「ア」[a]=「ワ」[ɰa]…最初の音を母音[ɯ]ではなく子音(半母音)[ɰ]として認識

入破音は、ベトナム語などで使われる、重い感じのする、飲み込むような音(東京外国語大学言語モジュールより)。

入破音がどんな音か知りたい人は東京大言語学モジュールで確認。

答えは3

(5)「母音や子音が元の音から変化する現象」 正解率63

音韻交替は、平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3問5【文法的な機能の違いが音韻交替によって示される例】でも出題されている。

音韻交替とは、語中のある音素が、ほかの音素と交替すること。例えば、「酒sake」と「たるtaru」が合して「酒だるsakadaru」(大辞林より)

格(か)+好(こう)→格好(かこう)

「く」が小さい「っ」に変化している。促音化

促音化令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2【数詞】問5選択肢1でも登場

面(めん)+倒(う)→面倒(めんう)

「と」が濁音の「ど」に変化している。連濁

酒(さ)+屋(や)→酒屋(さや)

[ke]が[ka]に母音が交替している。音韻交替

白(し)+樺(かば)→白樺(しかば)

o]が[ɾa]に母音が交替している。音韻交替

春(はる)+雨(め)→春雨(はるめ)

[a]が[sa]に子音添加されている。

風上(か)+上(かみ)→風上(かかみ)

[ze]が[za]に母音が交替している。音韻交替

期(き)+限(げん)→期限(きげん)

音の変化なし

長(なが)+靴(つ)→長靴(ながつ)

「く」が濁音の「ぐ」に変化している。連濁

答えは2

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問題3B【格助詞の用法】

(6)格助詞「が」の例 正解率79

格助詞の「が」と接続助詞の「が」に分けられる。

格助詞とは、名詞について、その名詞と述語との意味的関係を表す助詞(現代日本語文法①p111)

接続助詞とは、従属節末について、従属節と主節の関係を表す助詞(現代日本語文法①p112)

助詞の「が」が何についているか見る。

1 色を変えたほうが:格助詞

「ほう」は名詞。名詞「ほう」と述語「きれいだろう」との関係(主体)を表している。

2 名前を呼んだが:接続助詞

「呼んだ」は述語。「名前を呼んだが」で従属節。主節「全然返事がない」との関係(逆接)を表している。

3 私はとても面白いと思うが:接続助詞

「思う」は述語。「私はとても面白いと思うが」で従属節。主節が伴っていない言いさし表現。従属節で言いおわる文について、詳しくは現代日本語文法⑥p290〜

「言いさし」の従属節はいくつかに分類されるが、今回のように、従属節の内容を聞き手に持ちかけることで、それを踏まえた判断を相手に委ねる文を「言いつくし」という。自分の思いを伝えるとともに、聞き手の反応を期待する気持ちを表している。従属節をふまえての判断は聞き手の側に委ねらているため、主節はない現代日本語文法⑥p291)。

接続助詞「が」の終助詞的用法であり、語調をやわらげたり、聞き手に対して何らかの反応なり、行動を促すために用いられる(現代日本語文法⑥p292)

4 何があろうが:接続助詞

「あろう」は述語。「なにがあろうが」で従属節。主節「私は諦めない」との関係(逆接)を表している。

答えは1

(7)中立叙述 正解率46

問題文でキーワードの意味を確認

中立叙述とは、文全体を焦点とする「が」の用法

総記とは、その文の焦点となるものを「が」で表示する用法

焦点を「が」で表示する用法については、現代日本語文法⑤p201

「B(具体的な人や物)がAだ」という文

名詞Aが(中略)そこに当てはまる具体的な人や事物をもちうるもので、その具体的な人や事物として名詞Bを当てはめて述べる文では、Aが主題となる。文の形としては「AはBだ」で表すこともできるが、Aを述語部分に置いて表すこともでき、その場合は「BはAだ」という文になる。

・幹事鈴木さんだ

・鈴木さん幹事だ

現代日本語文法⑤p201

1 このカバンがおすすめです

主題「おすすめ」を具体的にした「このカバン」に焦点を当てているので総記。「おすすめはこのかばんです」と言い換えられる。

2 金曜日が回収日だ

主題「回収日」を具体的にした「金曜日」に焦点を当てているので総記。「回収日は金曜日だ」と言い換えられる。

3 携帯電話がない

話し手が発話の時点で知覚した事態の内容をそのまま述べる文。主題は設定されず、無題文となる。主語が「が」で表示される(現代日本語文法⑤p199)。文全体を焦点とする中立叙述の用法。

4 佐藤さんが責任者です

主題「責任者」を具体的にした「佐藤さん」に焦点を当てているので総記。「責任者は佐藤さんです」と言い換えられる。

答えは3

(8)格助詞「が」の使い方 正解率73

1 受身文で動作主を標示 ×

私が猫に口付けした→私は猫口付けされた。動作主は「に」

2 使役文で被使役者を標示 ×

彼は猫学校に行かせた

彼は猫仕事を手伝わせた

被使役者は「を」あるいは「に」

使役について詳しくは現代日本語文法②p257〜

3 ガ格名詞句の主題化において「は」に前接 ×

主題について詳しいのは現代日本語文法⑤p175〜

格成分が「は」を用いて主題として示される場合、ガ格とヲ格の格成分は格助詞が消えて「は」だけで示される。

・この仕事{は/*がは}もう終わりました。

現代日本語文法⑤p177

「が」は消える。前節しない。

4 名詞修飾節内で「の」に置き換えられる ○

私が作ったケーキはどこ?→私作ったケーキはどこ?

答えは4

(9)「太郎は帰ってきたら夕食にしよう」同じ原因による誤用の例 正解率58

直してみる。

太郎帰ってきたら、夕食にしよう。

どうして「は」がダメなのか考える。

「太郎が帰ってきたら」は従属節。

従属節に「は」が使えない場合と言えば、従属節の従属度(現代日本語文法⑥p5〜)

「が」
テンス
「は」
「だろう」
終助詞
従属度が高い従属節本を読みながら×××
従属度が中程度の従属節本を読んだら××
従属度が低い従属節本を読むから×
従属度がきわめて低い従属節本を読むよ(言った)
現代日本語文法⑥p11を参考に

「太郎が帰ってきたら」のような「たら」の順接条件節従属度が中程度の従属節。

「は」は使えない。

「は」と「が」の使い分けといえば現代日本語文法⑤p191〜

知覚した事態をそのまま述べる文は「が」…1

・あっ、財布が落ちている。

主語を対比的にとりたてる場合は「

・太郎さん来ませんでしたが、佐藤さん来ました。

主語を排他的に取り立てる場合は「」…2、3

・他ではなく、佐藤さん来ました。

現代日本語文法⑤p191〜

「ので」の原因・理由節も従属度が中程度の従属節(現代日本語文法⑥p9)。

「は」は使えない。

答えは4

(10)話し言葉で省略される格助詞 正解率86

話し言葉で省略される格助詞については現代日本語文法②p10

話しことばでは「が」「を」のような文法格は省略されることが多い。

・動物園のライオン、飼育係、襲ったんだって。

・これ、読んだ?

着点を表す「に」も省略されることがあるが、相手を表す「に」は省略されにくい。

・京都、行くの? いいなあ。

・それ、先生渡しておいて。

現代日本語文法②p10

答えは2

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問題3C【語の体系】

複合語については詳しいのは現代日本語文法①p136〜

派生語について詳しいのは現代日本語文法①p141〜

(11)一つの語基に接辞が付いた派生語 正解率69

形態素とは、意味を持つ最小の言語単位(現代日本語文法①p75)

語基とは、単語の核となる形態素(現代日本語文法①p79)。単礎。

接辞とは、語基について付加的な意味や文法機能を与える形態素。語基の前につく接頭辞と語基の後につく接尾辞がある。

語幹とは、活用する語の形が変わらない部分

語尾とは、活用する語の形が変わる部分

「お父さん」「広い」を語基と接辞に分けてみよう。

例えば、「お父さん」「広い」を語基と接辞に分けてみよう。

「お父さん」の語基は「父」、接頭辞は「お」、接尾辞は「さん」

「広い」の語基(語幹)は「広」、接尾辞(語尾)は「い」

1 接尾辞「さ」

接尾辞「さ」は、イ形容詞の語基語幹)「広」に後接して名詞「広さ」を作る。

2 接尾辞「み」

接尾辞「み」は、イ形容詞の語幹「甘」に後接して名詞「甘み」を作る。

接尾辞「み」は、ナ形容詞の語幹「嫌」に後接して名詞「嫌み」を作る。

3 接尾辞「上」

接尾辞「上」は、名詞「机」に接続して名詞「机上」を作る。

4 接尾辞「的」

接尾辞「的」は、名詞「日本」に接続してナ形容詞「日本的」を作る。

例文)日本的なものとは何ですか。

答えは4

本問のように品詞を変化させる接尾辞については平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A【接辞】の問題文で説明されているので持っている人は要チェック。

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(3)【接辞の付加に伴う品詞変化】にも登場している。

(12)単義語と多義語 正解率51

単義語多義語の具体例をイメージできれば勝ち。

専門用語の意味を覚えても現場で直接役に立つわけではないが

具体例をすぐ出せるかは現場に直結する力。

試験勉強を現場に役立てたい人は具体例をアウトプットする練習に比重を置くとよい。

多義語の意味の違い」が令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題4問5で出題

多義語の指導の例」が平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3で出題

令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題4問5選択肢3のとおり

「明るい」という語は、「明るい部屋」だと「光が十分にある状態」、「明るい性格」だと「表情やかもし出す雰囲気などが楽しく、朗らかな感じ」と意味が異なるが、互いにイメージが似ており、関連を持っている。

イメージが似ているものを結びつけるといえば比喩。

選択肢1がわからなかった人は比喩の種類の動画がおすすめ。

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3では意味の違う多義語が示されている。

「甘いお菓子」と「甘い考え」の「甘い」は意味の違う多義語だがどちらも活用形は同じ「甘い」

「明るい」や「甘い」のように使用頻度の高い基本的な語には多義語が多い

英語だと、getやmakeの意味の多さを考えるとわかりやすい。

科学的な専門用語は使用場面が限定されるから意味も増えないだろう。つまり単義語が多いだろうと考えられる。

答えは1

(13)恣意的ではない語 正解率54

恣意的とはふと心に浮かんだことで決めるさま。

猫を日本語の「猫」というのは恣意的。英語ではcatなのに日本語ではなぜ「猫」?と言われても困る。ふと心に浮かんだ思いつきだ! これが恣意的。

一方の「にゃんにゃん」

「にゃんにゃん」は鳴き声から猫に付けられた名前なので恣意的ではない。

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Bの問題文では言語記号の恣意性について説明しているので要チェック。

令和5年度の問題の答えも書かれている。

オノマトペ(擬音語・擬態語)は特殊な語彙である。普通、言語記号は音形と意味との間に必然的な関係がないとされる。しかし、オノマトペは、音形とそれが与えるイメージにある程度の有縁性が感じられる。

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B

1 機能語

機能語とは、助詞・接続詞・助動詞など文中や文の間で文法的に機能する語。

主格を表す格助詞が「が」なのはどうして?と言われても困る。恣意的

2 擬音語

「にゃんにゃん」のように、擬音語は、猫の鳴き声から付けられた語なので恣意的ではない。

3 指示語

どうしてthisは日本語で「これ」なのか?と言われても困る。恣意的

4 屈折語

屈折語とは、英語のように語形変化がある語。goの過去形がどうしてwentなのか?と言われても困る。恣意的

答えは2

(14)包摂関係 正解率94

同種の問題である令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問3も要チェック。

同位語とは、「杉」と「松」のように「木」という共通の上位語を持つ単語(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問3解説より)。

位相語とは、性別・年齢・職業など、社会集団の違いや場面の相違に応じて違いが現れた語(大辞林より)。

上位語は下位語をカバーするので、犬が上位語、柴犬が下位語

答えは3

(15)一方の語が肯定されれば他方の語が否定される対立関係 正解率82

対義語の様々なタイプは平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B【対義語】の問題文で整理されているので要チェック

1 明るいー暗い

「明るい」にも「暗い」にもいろいろな程度がある。程度性を持つ対義語

2 上手だー下手だ

「上手」にも「下手」にもいろいろな程度がある。程度性を持つ対義語

3 出席ー欠席

出席か欠席のどちらか。一方の語が肯定されれば他方の語が否定される対立関係。

4 売るー買う

一つの事柄を異なる視点から捉えた対義語。

答えは3

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問題3D【文の分類】

現代日本語文法①第1章第3節が「文の分類」

独立語文と述語文は現代日本語文法①p14〜

(16)日本語で述語になるのは? 正解率90

日本語で述語になれるのは、動詞・イ形容詞・ナ形容詞・名詞

動詞述語文:猫が寝る。

イ形容詞述語文:猫がかわいい。

ナ形容詞述語文:猫がきれい。

名詞述語文:猫が友達です。

連体詞は漢字の通り、体言に連ねる、つまり名詞につく。述語にならない。

連体詞の例:猫がこのだ× この猫が好きだ。小さな猫が好きだ。

感動詞は単独で一語文(独立語文)にはなれるが、述語にはなれない(詳しくは現代日本語文法①p119〜)。

感動詞の独立語文の例:うわ!(現代日本語文法①p6〜)

答えは1

(17)単文の例 正解率70

複文は従属節があるので各選択肢に従属節があるか検討

1 

「ように」を用いた引用節といえば令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3C【引用】を思い出す。

主節:(私は)(補足節)と思う

引用節:今年の夏は例年より台風が多かったように

「ように」引用節について詳しくは現代日本語文法⑥p33〜

補足節とは、述語に対して主語補語の関係にある節。補足節には名詞節引用節、疑問節がある(現代日本語文法⑥p13)。

従属節はない。「AがBに迫ってきています」という単文

「迫ってきています」は「迫る」という本動詞に、補助動詞「てくる」と補助動詞「ている」がついた補助動詞構文。

補助動詞構文について詳しくは現代日本語文法②p121〜

補助動詞とは、動詞のテ形につき、さまざまな意味を添える働きをする動詞

主節:(補足節)が私の10年来の習慣です

名詞節:毎朝公園で体操をするの

名詞節とは、末尾に「こと」「の」「ところ」がついて名詞と同様の性質を持った節

名詞節について詳しくは現代日本語文法⑥p15〜

主節:(この意見に)反対の人もいる

等位節:この意見に賛成の人もいれば

等位節とは、主節と関係はあるが、従属的な関係ではなく、対等な関係である節

等位節について詳しくは現代日本語文法⑥p253〜

答えは2

(18)話し手の認識を表現する形式 正解率89

話し手の認識を表現するのは文のモダリティ

モダリティについてしっかり学びたい人は現代日本語文法④がおすすめ。

一冊全部モダリティである。

例文を作って検討

・テストは延期するそうだ。

「〜するそうだ」は、他から聞いた話(伝聞)であることを示す形式。

「するそうだ」について詳しくは現代日本語文法④p174〜

・明日は台風が来るだろう。

「〜するだろう」は、推量(確かではないことを予想的に言う)に基づく判断であることを示す形式。

「だろう」について詳しくは現代日本語文法④p147〜

・明日はテストだから、彼はこの後勉強するはずだ。

「〜するはずだ」は、何らかの根拠によって、話し手がその事柄の成立を当然視していることを示す形式。

「はずだ」について詳しくは現代日本語文法④p160〜

・道路が濡れている。雨が降ったようだ。

「〜するようだ」は、証拠や観察に基づく判断であることを示す形式。

「ようだ」について詳しくは現代日本語文法④p164〜

答えは2

(19)出来事に対する話し手の認識を予告する機能を持つモダリティの副詞の例 正解率81

モダリティ副詞については現代日本語文法③p262~263

1 ちょっと

・お菓子がちょっとある。

「ちょっと」は数量・程度がわずかなさま。程度副詞

2 甚だ

・甚だ恐縮だ

「甚だ」は数量・程度が普通の状態を超えているさま。非常に。程度副詞。

3 きっと

・きっと明日は雨だろう。

「きっと」は確実にそうなるだろうと予測しているさま。モダリティ副詞。

4 かなり

・お菓子がかなりある。

「かなり」は普通に予想されるより数量・程度がはなはだしいさま。相当。程度副詞。

答えは3

(20)許可を求める文や依頼する文 正解率76

例文を作って検討

1「お/ご+動詞の連用形+ください」

・お待ちください

→聞き手にある行為を依頼する文(尊敬語)

2「動詞の受身形+てください」

・待たれてください

→聞き手にある行為を依頼する文(気になる人が多い尊敬語)

なお、令和元年度「国語に関する世論調査」には「待たれてください」という言い方が気になるかという設問がある。

令和元年度「国語に関する世論調査」結果の概要p13より

3「〜てくれる」

・ちくしょうあいつめ、どうしてくれよう

・私の手で殺してくれよう

→話し手の行為について述べる文。本来「てくれる」は自分にベネフィット(恩恵)がある他人の行為に使うが(例:先生が日本語を教えてくれた)、現代日本語書き言葉均衡コーパス小納言で調べてみると、以降形の「てくれよう」は相手に害を与える自分の行為に使うことが多いようだ。

4「〜てもらう」

・ちょっと、手伝ってもらえる?

「〜てもらう」の可能形の疑問文は、聞き手にある行為を依頼する文になる。

答えは4

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問題4 日本語コースの主教材

問1 目標言語調査 正解率67

目標言語調査とは、実際に学習者が日本語を使用しなければならない場面でどのような日本語が使用されているのか調べること。

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1【コース設計】

令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問2【目標言語調査として不適当なもの】

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1【目標言語調査として不適当なもの】

でも登場しているので見比べておくと理解が深まる。

令和3年度の具体例を抽象化したのが令和5年度の問題

目標言語調査の方法として不適当なものは?

1 外国人児童生徒の教育を行うために、在籍学校の担任に聞き取り調査をする。

2 自動車開発エンジニアの教育を行うために、勤務先の同僚との会話を許可を得たうえで録画し分析する

3 外国人研究者の教育を行うために、所属研究室の教員から専門用語のリストの提供を受ける。

4 在留資格「家族滞在」で来日した者の教育を行うために、母語や外国語の学習歴の情報を得る。

令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問2より

日本語教育で大事なキーワードは視点を変えて何度も問われる。

このブログ内でキーワード検索して過去の登場シーンを把握すべし。

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1ではコース設計の一連の流れを示している。

ニーズ・レディネス調査目標言語調査→到達目標の設定→シラバスデザイン

1 ×

学習者が日本語を学ぶ際の目標や言語学習に対する適性を調べるのはニーズ・レディネス調査の段階

2 ○

学習者が日本語を必要とする場面における実際の言語運用を調べるのが上記の通り目標言語調査

3 ×

既に持っている知識や学習経験を調べるのはレディネス調査

4 ×

学習者が学んだ教科書で扱われていた言語項目とその配列を調べるのはレディネス調査

答えは2

問2 優れた教材を開発するプロセス 正解率77

この問題の答えは平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6の問題文に書いてあるので持っている人は読むべし。

教育活動を組織・運営するにあたり「Plan・Do・See」のサイクルに沿って行うという考え方がある。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6より

Plan(計画)・Do(実行)・See(評価改善)を繰り返すことで優れた教材を効果的・効率的に開発できる。

答えは1

似た概念として、目標を達成するためのPDCAサイクルがあるので合わせて覚えておくと良い。

Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)

Practices-Products-PerspectivesでGoogle検索すると文化と関連した記事が出てくる。

文化を捉える方法として、3つのPを使った方法があるようだ。

Practices-習慣

Products-産物

Perspectives-物の見方

国際文化フォーラム「文化を「3P」で捉えてみた」より)

言語教育でコンサートといえばサジェストぺディアを思い出す。

前作業ー本作業ー後作業といえば聴解や読解の授業でよく問われる。

説明は平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5にある。

聴解の指導を行う際には、聞くための準備を行う前作業、内容を理解するための本作業、発展的な学習を行う後作業の三つの段階がある。

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5より

答えは1

問3 機能シラバスによる教材の目次の例 正解率81

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問3【タスクシラバスの例】

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問1【技能シラバスによる教材の目次として最も適当なものは?】

これらも同種の問題なので見比べておく。

1「私の家族」「好きなこと」「食べ物」

話題シラバス(トピックシラバス)

2「駅で」「レストランで」「郵便局で」

場面シラバス

3「メニューを読む」「メールを読む」「広告を読む」

技能シラバスの読む

4「依頼する」「誘う「謝る」

機能シラバス

答えは4

問4 インフォメーション・ギャップを取り入れたタスクシート 正解率67

インフォメーション・ギャップとは情報差。参加者に情報差がないか検討

インフォメーション・ギャップを取り入れた活動といえば平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問5。

インフォメーション・ギャップを利用した活動は?

1 パーティーで出す料理について、出席者の好み等を分担して調べ、結果をそれぞれに出し合いながら、メニューを決める。

2 4コマ漫画の絵が1コマずつ4人に配られ、4人はそれぞれ自分の絵を他の人に見せずに説明し、協力して元の漫画のストーリーを完成させる。

3 異なる国の出身の留学生とペアになり、話し合って、互いの国の学校制度について共通点と相違点を見つける。

4 間違い探しに用いる2枚の絵がペアに渡され、一緒に2枚の絵を見比べながら異なった点を探す。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問5より

AとBのペアを想像する。Aの家族のことはAの方がよく知っている。Bの家族のことはBの方がよく知っている。情報差がある。

同じ絵を見ているので情報差はない。

架空の街なので既存の知識に差はないし、同じ地図を見ているので、新しい情報にも差はない。

同じイラストを見ているので情報差はない。

答えは1

問5 生教材の使用の際の留意点 正解率76

生教材が登場したのは以下の過去問。見比べると理解が深まる。持っている人はぜひ。

令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問1【生教材】

平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問4【実際の社会で用いられている物を授業で用いる際の利点】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問4【中級のビジネスクラスで就職活動の体験談を新入社員が語っている雑誌記事を使う。この生教材の特性】

1 ×

テレビ番組は初級にとって難しいので、スキーマを活性化させる前作業がより大事になる。

2 ○

公共交通機関のアナウンスは初級にとって難しいので、前作業を十分に行う必要がある。

3 ×

ハリウッド映画を英語字幕ありと英語字幕なしで見る場合、英語字幕ありのほうがわかりやすいように、字幕があったほうが言語処理の負荷が掛からない。

4 ×

ポーズ(間)なしで延々と喋り続けられるよりも、ポーズ(間)をとって喋ってくれた方が聞き取りやすい。また、同じ言葉を何度も言い換えてくれれば、聞き逃しても聞き取れたり、最初の言葉の意味がわからなくても言い換えた言葉で理解できたりするので、聴解の難易度は下がる。

言い換えの例)今日も晴天ですね。天気がいい日は気持ちがいいですね。最近は雨が降らないから嬉しいです。

答えは2

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問題5 テスト

問1 熟達度テスト 正解率53

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2では到達度テストが出題されたので見て比較しておく。

また平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問1では「熟達度評価」のテストの例が問われている。

1 適性テスト

2 プレースメント・テスト

3 コースの定期テスト

4 単元テスト

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問1より

熟達度テストとは、受験者の能力が認定基準に照らしてどのレベルかを測るためのテスト。プロフィシエンシー・テストとも。

到達度テストとは、一定期間における学習の到達度を見るためのテスト。アチーブメント・テストとも。

成績をつけたり、指導が適切だったかを検証したりするのに生かせるのは期末テストのような到達度テスト

設定された学習内容について、学習者がどの程度習得したかを判定するのは到達度テスト

出題範囲があらかじめ指定されず、幅広い難易度や領域から出題されるのは熟達度テスト

相対評価とは、他の受験者に比べて自分だどの位置にいるか評価するもの。

絶対評価とは、他の受験者と関係なく客観的な基準を達成したか測るもの。

熟達度テストは、やり方次第で絶対評価も相対評価も可能。

たとえば80点を取った人はみんな合格、という基準にすれば、他の人と関係なく合格不合格が決まるので絶対評価になる。日本語教育能力検定試験は絶対評価。他の人がみんな天才でもみんなバカでも自分が80点取れば受かる試験。

一方、合格者が100人と決まっている入学試験は、受験者の中で100位以内に入らないといけないので相対評価になる。他の人がみんな天才で100人が100点を取ったら80点では受からない。逆に他の人がみんなバカで最高得点が80点だったら受かる。他の人次第なので相対評価。

答えは3

★問2 テストの細目表を作る利点 

「測定する能力などをまとめたテストの細目表」を具体的にイメージする。

たとえば日本語教育能力検定試験なら…

【出題範囲】

社会・文化・地域
①世界と日本(1) 世界と日本の社会と文化

②異文化接触(2) 日本の在留外国人施策
(3) 多文化共生(地域社会における共生)

③日本語教育の歴史と現状(4) 日本語教育史
(5) 言語政策
(6) 日本語の試験
(7) 世界と日本の日本語教育事情
2.言語と社会
④言語と社会の関係(8) 社会言語学
(9) 言語政策と「ことば」
⑤言語使用と社会(10) コミュニケーションストラテジー
(11) 待遇・敬意表現
(12) 言語・非言語行動
⑥異文化コミュニケーションと社会(13) 多文化・多言語主義
3.言語と心理⑦言語理解の過程(14) 談話理解
(15) 言語理解
⑧言語習得・発達(16) 習得過程(第一言語・第二言語)
(17) 学習ストラテジー
⑨異文化理解と心理(18) 異文化受容・適応
(19) 日本語の学習・教育の情意的側面
4.言語と教育⑩言語教育法・実習(20) 日本語教師の資質・能力
(21) 日本語教育プログラムの理解と実践
(22) 教室・言語環境の設定
(23) コースデザイン
(24) 教授法
(25) 教材分析・作成・開発
(26) 評価法
(27) 授業計画
(28) 教育実習
(29) 中間言語分析
(30) 授業分析・自己点検能力
(31) 目的・対象別日本語教育法
⑪異文化間教育とコミュニケーション教育(32) 異文化間教育
(33) 異文化コミュニケーション
(34) コミュニケーション教育
⑫言語教育と情報(35) 日本語教育とICT
(36) 著作権
5.言語⑬言語の構造一般(37) 一般言語学
(38) 対照言語学
⑭日本語の構造(39) 日本語教育のための日本語分析
(40) 日本語教育のための音韻・音声体系
(41) 日本語教育のための文字と表記
(42) 日本語教育のための形態・語彙体系
(43) 日本語教育のための文法体系
(44) 日本語教育のための意味体系
(45) 日本語教育のための語用論的規範
⑮言語研究
⑯コミュニケーション能力(46) 受容・理解能力
(47) 言語運用能力
(48) 社会文化能力
(49) 対人関係能力
(50) 異文化調整能力
財団法人日本国際教育支援協会ホームページより

【各区分における測定内容】

区  分求められる知識・能力
社会・文化・地域 日本や日本の地域社会が関係する国際社会の実情や,国際化に対する日本の国や地方自治体の政策,地域社会の人びとの意識等を考えるために,次のような視点と基礎的な知識を有し,それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
・国際関係論・文化論・比較文化論的な視点とそれらに関する基礎的知識
・政治的・経済的・社会的・地政学的な視点とそれらに関する基礎的知識
・宗教的・民族的・歴史的な視点とそれらに関する基礎的知識
言語と社会 言語教育・言語習得および言語使用と社会との関係を考えるために,次のような視点と基礎的な知識を有し,それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
・言語教育・言語習得について,広く国際社会の動向からみた国や地域間の関係から考える視点とそれらに関する基礎的知識
・言語教育・言語習得について,それぞれの社会の政治的・経済的・文化的構造等との関係から考える視点とそれらに関する基礎的知識
・個々人の言語使用を具体的な社会文化状況の中で考える視点とそれらに関する基礎的知識
言語と心理 言語の学習や教育の場面で起こる現象や問題の理解・解決のために,次のような視点と基礎的な知識を有し,それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
・学習の過程やスタイルあるいは個人,集団,社会等,多様な視点から捉えた言語の習得と発達に関する基礎的知識
・言語教育に必要な学習理論,言語理解,認知過程に関する心理学の基礎的知識
・異文化理解,異文化接触,異文化コミュニケーションに関する基礎的知識
言語と教育 学習活動を支援するために,次のような視点と基礎的な知識を有し,それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
・個々の学習者の特質に対するミクロな視点と,個々の学習を社会の中に位置付けるマクロな視点
・学習活動を客観的に分析し,全体および問題の所在を把握するための基礎的知識
・学習者のかかえる問題を解決するための教授・評価等に関する基礎的知識
言語教育・学習の対象となる日本語および言語一般について次のような知識・能力を有し,それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
・現代日本語の音声・音韻,語彙,文法,意味,運用等に関する基礎的知識とそれらを客観的に分析する能力
・一般言語学,対照言語学など言語の構造に関する基礎的知識
・指導を滞りなく進めるため,話し言葉・書き言葉両面において円滑なコミュニケーションを行うための知識・能力
財団法人日本国際教育支援協会ホームページより

上のような細目表を共有すれば、複数の教師で分担してテストを作れる。

上のような細目表を作ることで、テストの全体像が把握しやすく、出題範囲に偏りがないか確認できる。

上のような細目表を学習者にあらかじめ渡しておくと、学習者はテスト準備のガイドラインにできる。

識別力を確認する方法令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問5で出題されているので見ておくこと。

識別力とは、学習者の能力を識別できているか。できる学生かできない学生か見分けることができるか。成績上位のグループと成績下位のグループの正答率の差から導く。

上のような細目表がどうして識別力を算出するためのデータになるのかわからない。

私の答えは4

みんなの答えは3

問3 信頼性を損なう行為の例 正解率93

https://www.hamasensei.com/tests/

テストの妥当性信頼性

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問3

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問3

でも問われているので見ておくといい。

1 

全員が共有する題材を問題に用いることで相対評価することができる。

個々の学習者に応じて採点方法を変えると客観的基準がわからなくなり、学習者の実力を正しく評価できなくなる。信頼性を損なう行為。

多肢選択問題で信頼性を高める方法は平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問1で出題されているので持っている人は要チェック【偶然による正解を防ぐため、選択肢数が適当かどうか検討する】。

多肢選択問題で問題が少ないと偶然で満点が取れる可能性が高まる。出題数を増やした方が信頼性が高まる。

4 

採点者が複数いるときは、採点者間で採点通過や結果を一致させる調整を行うことで信頼性を高める。

答えは2

★問4 実用性や波及効果 

テストの実用性とは、際にいやすいかどうか。

実用性は、テストが実際に用いやすいかどうか。学習者の学習意欲に与える影響が含まれるのは波及効果。

波及効果とはテストや評価が学習に与える影響のことです。

学習者はテストの結果に大きな関心を持ち、良い結果が出るように努力することが多いでしょう。テストが真正性の高いものであれば、テストの準備のための学習が、現実の運用に役に立つ学習になります。そして、実際にテストで出された問題は「大事なポイント」として学習者に理解されます。

例えば、テストが会話力を測るパフォーマンスタスク中心だったら、会話をもっとがんばろうと思って学習する人が増えるでしょう。反対に、目標が会話力の育成であっても、テストで文法の問題が中心だったり、記号を選ぶ問題が中心だったりしたら、学習者は、それに合わせた学習をするようになるでしょう

良いテストを作るには、テストにどのような波及効果があるか、問題の形式や内容が学習に良い影響を与えるかを考える必要があります。

国際交流基金 日本語教師のためのオンラインコース 良いテストとは

テストで測るべき能力を実際に測れているかどうかが含まれるのは妥当性(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問3より)

テストの出題内容が変われば、教師の指導も変わる。教師の指導が変われば学習に与える影響も変わる。

テストの出題範囲が授業目標に合致していれば、学習者の学習意欲が増す。

私の答えは3

みんなの答えは2

★問5 S-P表

表の数字に計算を加えることなく得られる情報は何か。

太字線S曲線

S曲線とは、表の左からそれぞれの学習者の正答数だけマス目を数えたところに区切りの線を書き入れ全ての学習者の区切りの線と結ぶとできる線。

破線はP曲線

P曲線とは、表の上からそれぞれの設問の正答数だけマス目を数えたところに区切りの線を書き入れ全ての設問の区切りの線と結ぶとできる線。

相関関係とは、一方が増加すれば他方も増加するあるいは減少するというように、2つのものの間に関係があること。

各質問項目の得点とテスト全体の得点がどんな関係になるのかは、表の数字を見ただけではわからない。

正答率の差は計算しないとわからない。

同一の特性を測定しているかどうかこの表を見ただけではわからない。

この表を見ただけで、全体の傾向と性質の異なる質問項目や学習者を見つけることができる。

たとえば、問3は正答が多い学生でも間違えていたり(学習者I、学習者Aなど)、正答が低い学習者でも正解している(学習者E、学習者P、学習者Gなど)ことがわかる。

また、学習者Sは3点しか取れていないが、問7や問4のような正答者数が低い問題を正解していることがわかる。

私の答えは4

みんなの答えは1

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問題6 教授法

問1 内容重視の指導法 正解率67

CBIとは、外国語で教科内容を学習すること。

Content-Based Instructionの略です。

CBI は教科内容を外国語で行うことを提唱した教育法であり(Snow, Met, & Genesee, 1989), 学習者は, 教科学習を通して外国語に触れ, 何が言われてい るのか, または書かれているのかに関心を持ち, そのメッセージの内容を理解しようと試み, それに対して自分の意見を述べる。 この過程を通して外国語を習得すると考えられている。

内容を重視した外国語教授法―CBI と CLIL―

 ×

規則を学んでからそれをタスクに活かすのは演繹的アプローチ。

CBIは教科内容という具体的な第二外国語に触れる過程を通じて、第二外国語の規則を習得するので帰納的アプローチ。

演繹的アプローチと帰納的アプローチの違いは繰り返し問われているので他の過去問と比較しておくと理解が深まる。

令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1

 ×

母語も使って自由に話し、教師は耳元で目標言語での表現を教えるといえば、CLL(コミュニティ・ランゲージ・ラーニング)

・教師は目標言語の発話が困難な学習者の隣で、学習者が母語で言った内容を通訳してささやく(令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10

・学習者の母語や媒介語を積極的に活用する教授法(平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2)

 ○

内容重視の指導法では、第二外国語の言語形式とそれが使われる教科内容という文脈を切り離さずに捉えて、教育活動を進めていく。

 ×

教科書を使用せずに教師はできるだけ沈黙」といえばサイレント・ウェイ

サイレント・ウェイの背景にある学習観は平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問4で問われている。

答えは3

問2 イマージョン教育 正解率59

イマージョン教育の説明は平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問2でも問われている。

目標言語で数学や理科などの教科を他の非母語話者とともに学ぶ教育形態平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問2より)

 ×

「支援者に横に付いてもらいながら、目標言語の母語話者と同じ授業を受ける形態」といえば、入り込み指導。

入り込み指導は過去に何度も問われているので要チェック

令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問5選択肢1

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問3

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問1

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問1

 ×

具体的にイメージするとわかりやすい。カナダのイマージョン教育は、家庭で英語を使う子どもたちに対して教科の内容をフランス語で教えた。つまり、目標言語の母語話者のクラスに入るわけではない。他の子どもたちも家庭では英語を話す。

 ×

別の場所で学ぶといえば、取り出し指導。選択肢1の入りこみ指導とセットで過去問を確認。

 ○

カナダで言えば、全員がフランス語の非母語話者のクラスで、理科や数学などの教科をフランス語で学ぶ。

答えは4

問3 CLIL(クリル) 正解率74

CLILは過去に何度か出題されている。

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題15問5選択肢3【内容、言語、思考、協学の4要素を統合】

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8【タイの高校で内容言語統合型学習(CLIL)を取り入れた授業を設計】

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5選択肢2【CLIL(内容言語統合型学習)は、教科内容を題材とし、内容・言語・思考・協学を結びつけた指導を行う】

答えは2

問4 スキャフォールディング

私はスキャフォールディングを自転車の補助輪のようなものだとイメージしています。

補助輪という他からのサポートはありますが、あくまでハンドルを握ってペダルを踏むのは学習者自身。だから学習者の持っている知識、技能、経験を生かすのは当然だと考え1を選びました。

一方で、他からのサポートという観点を重視すれば選択肢3を選ぶのかなと。

1も3も現場で大切なことであり、どちらかを選べという本問の立場にはもやもやします。

現場で役立つ問題というより試験のために作った問題

論文を書くための専門用語の知識よりも現場で役立つ知識を問題にすべきでは?

指導の際に本当に役立つものは?

たとえば、学習者と共通の趣味を持つ。

アニメ好きの学習者に対してアニメを使って日本語を教えるとか。

私の答えは1

みんなの答えは3

★問5 タスク中心の教授法 正解率

その名称やタスク中心の教授法が登場した過去問を見ればわかるように、タスクを達成できたかどうかという結果に焦点があり、その過程で第二言語を習得する。

この具体例が令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5選択肢4【「ことができますか」という言語形式の練習を行った後、インタビューをさせる】

この選択肢は誤り。正解は【グループで無人島生活の必需品のリストを作成し、優先順位をつけさせる】。

タスク中心の教授法は、まずタスクがベースにある。そのタスクは上記の通り、具体的で学習者のニーズを反映したタスクであり、そのタスクを達成する上で必要があれば言語形式を学ぶ。言語形式に焦点を当てる活動をするわけではない。

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3の具体例を見てもそのことがわかる。

「タスク中心の教授法」に基づく学習活動として不適当なものは?

1 日本語のレシピを見ながら、カレーライスを協力して作る。

2 就職活動で必要になるエントリーシートや履歴書を作成する。

3 住んでいる町を紹介するパンフレットを分担して作る。

4 買い物場面の対話文を使ってパターン・プラクティスをする。

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3より

選択肢1のとおり、タスクを達成できたかどうかの結果が大事なので、タスクの難易度を決める要因は語彙と文型の難しさに限らない。たとえば、「X(Twitter)でつぶやく」と「YouTube動画を公開する」では、後者の方が作業の行程が多いので、難易度は上がる。

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問5【タスク中心の教授法で扱うタスクの特徴】で問われたとおり、教師の指導の目的に基づくのではなく、学習者のニーズを反映させることが大事。学習者のニーズがあるタスクだから、達成できたかどうかという結果が大事になる。

私の答えは1

みんなの答えは2

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問題7 インターネットを活用するe-learning

問1 ブレンディッド・ラーニング 正解率96

ブレンディッド・ラーニング平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問2以来の出題

ブレンディッド・ラーニングとは、オンラインでの学習と教室での対面学習を効果的に組み合わせた学習形態(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問2より)

英語は、blended learning

blend:よく混ぜる

Blended Coffee(コーヒーのブレンド)やBlended Whisky(ブレンデッド・ウィスキー)をイメージするとわかりやすい。

オンライン学習と対面学習を混ぜている選択肢を選ぶ。

答えは4

問2 非同期型 正解率97

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7【2019】e-learning問1では「非同期型」e-learningの問題点が問われているので比べておくと良い。

具体例メリットデメリット
同期型Zoom、Skype、Google Meet双方向(すぐ質問できる)、LIVEの臨場感時間が決まっている、ネット環境の問題
非同期型Moodle、YouTube、vimeo、TikTok好きな時に、好きなペースで自律的に学ぶ力が必要なため、学習者によっては学習の継続が難しい

 ×

学習者の活動や思考のプロセスに関し、詳細に情報を収集できるのは、

対面授業>同期型オンライン授業>非同期型オンライン授業

 ○

非同期型は自分の好きな時に録画を見られるので時間に縛られない学習環境を確保できる。

 ×

個別の質問にすぐ対応できるのは同期型

 ×

ドリルを決められた順に提示するのは非同期型と関係ない。同期型でも可能

答えは2 

問3 ハイフレックス型授業 正解率63

ハイフレックス型授業とは、対面授業とオンライン授業が提供され、学生が自在に選択することができる授業形態。Hybrid-Flexibleの略。

Hybrid:混成物、雑種

Flexible:柔軟な、融通のきく

答えは3

1は反転授業のこと。

反転授業は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7【2019】e-learning問2で出題されている。

問4 適切なメディアを選択する際の留意点 正解率79

オンラインだとインターネット環境や視聴するための器具が必要になる。また、一部のSNSが禁止されている国もある。たとえば中国ではYouTubeが見られない。そのメディアが学習環境に合っているかどうか精査する必要がある。

たとえば、ライティングを目的とした授業であれば、書く機会が得られるメディアを選ぶなどそのメディアが学習目的や学習活動に適しているかどうかを判断する必要がある。

たとえば、学習者全員がiPadを用意しなければならないとなるとお金がかかる。学習者が用意するのか学校が用意するのか、予算の有無など、経済的、組織的条件を考慮する必要がある。

学習者の好みは学習のモチベーションにつながるので大切にしなければならない。たとえば、今の若者にはTikTokが人気なので、勉強しやすいようにTikTokで動画を作るとか。

答えは4

問5 著作権侵害にならない例 正解率74

著作権は令和元年度以前はよく出題されていた。

法律を考える時は、法律の趣旨から考えるとよい。

著作権法の趣旨は、著作権者の保護にある。

著作権者の気持ちになって各選択肢を見る。

ニュース番組はテレビCMを出すスポンサーのお金で成り立っている。視聴率が大事。テレビで見てほしい。勝手に録画したものをシェアする人が増えたらスポンサーがお金を出さなくなる。著作権者の利益を侵害している。

著作権者が作ったものに一部修正を加えられると、著作権者が意図していなかった表現になる可能性がある。著作権者の利益を侵害している。

ウェブ上にあるコンテンツを教室で流しても著作権者の利益を侵害しない。むしろ再生回数が増えるので著作権者の利益になる。

教科書が売れなくなるので著作権者の利益を侵害している。

答えは3

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問題8 異文化適応

問1 Uカーブモデル 正解率91

Uカーブモデルは令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問2でも出題されているので見比べておく。

Uカーブモデルとは、異文化に触れて、①異文化楽しい(ハネムーン期)②異文化嫌になった(ショック期)②異文化慣れた(回復期→安定期)、という気持ちの移り変わりを曲線で表したもの。異文化適応曲線U字型曲線モデルUカーブ仮説とも。

異文化適応を出国から帰国直前までの精神的満足度の変化で説明している(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8)。

リスガードにより提唱

https://www.hamasensei.com/u-curve/

自分の国に帰ってきて懐かしい風景を見ることで安心するのはWカーブモデルの安定期

異文化に慣れていくのは回復期

異文化に慣れていくのは回復期

 

異文化を純粋に楽しめるのはハネムーン期

答えは4

問2 非言語コミュニケーション 正解率77

非言語コミュニケーションについては平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12の大問で説明されているので持っている人は要チェック

非言語コミュニケーションは、言語によるコミュニケーションと異なるチャンネルが多様である。視線、ジェスチャー、顔の表情といった身体動作に加え、やり取りの反応時間や沈黙、声の質、テンポといったパラ言語によってもメッセージが伝えられる。

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12

非言語コミュニケーションだと分かりにくいので具体的な例で考える。

たとえば、首を振るジェスチャー

1 ×

首を縦に振るジェスチャーは「うん、いいよ」などのポジティブな言語ごともに用いられやすい。

 

ジェスチャーに過去や未来のことを表す文法的な形式はない。

3 ×

日本では首を傾げるのはノーのジェスチャーだが、インドではイエスの意味もあり、誤解されることがある。

4 ×

親指を立てる「いいね」のジェスチャーは文化を超えて共通しており、YouTubeでも採用されている。

答えは2

問3 ポリクロニックな時間意識を持つ文化の傾向 正解率60

「ポリクロニックな時間意識を持つ文化の傾向についても理解しておくとよい」

→日本とは異なる時間意識と推測

→日本といえば? 事前の計画通りに物事を進める

→そうじゃない選択肢を選ぶ

答えは1

ホールはモノクロニックな時間意識を持つ文化とポリクロニックな時間意識を持つ文化に分けた。

モノクロニックな時間意識とは、一つのことに集中する時間意識。予定を管理し、物事を一つずつ処理しようとする傾向。会議中に電話が来ても出ない。英語から考えるとわかりやすい。

英語ではmonochronic、mono-は「1つの」chrono-は「時間」

ポリクロニックな時間意識とは、多数のことを柔軟に対応する時間意識。計画や予定よりもその時々の事柄を大切にする傾向。会議中に電話が来ても出る。

英語ではpolychironic、polyは「多数の」

問4 アサーティブな自己表現 正解率94

「アサーティブ」については令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問4、平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11で出題されているので比較しておくとよい。

アサーティブとは、相手を論破しようとするのではなく、お互いを尊重しながら適した方法で自己主張すること。

Assertive:自己主張

アサーティブ・コミュニケーションの例

・自分と相手の立場や意見のどこが違うのかを整理し、建設的な解決方法を一緒に考える。

・「あなたは〜」のように相手を決めつけず、「私は〜」のように自分の状況や気持ちを伝える。

・「よく分かります」と相手の言うことに共感を示したうえで、自分の意見を伝える。(以上は平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11より)

・相手に共感を示したうえで自分の意見を言う(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問4)

1 ×

相手との違いを整理するため「暗示的に」ではなく分かりやすく意見を述べるべき。

2 ×

相手の言うことに共感を示したうえで、自分の意見を伝えるべき。

3 ×

「相手を納得させるため」に自分の意見を表明するのがアサーティブな自己表現ではない。

 

自分も相手も尊重しながら、その場に適した方法で意見を率直に表現するのがアサーティブな自己表現である。

答えは4

問5 ジョハリの窓 正解率87

ジョハリの窓は以下の過去問でも出題されているので見比べておくとよい。

令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問3【ジョハリの窓の四つの窓に関する記述として最も適当なもの】

平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問4【ジョハリの窓の四つの窓について】問5【ジョハリの窓では自己開示の度合いが増すにつれ、それぞれの窓の大きさが変化する】

この問題は知識がなくても解ける。

①自分が知っていて相手も知っているなら「開放」だろう。

①を「開放」にしている。選択肢3と4を見比べると「盲目」と「未知」が異なる。

盲目とは目が見えないこと適切な判断ができないことだから

他人に知られていて自分が知らないのが「盲目」で、自分も他人も知らないのが「未知」

答えは3

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問題9 文化間移動をする子ども

問1 子どもと大人の第二言語の習得における異なる特徴 正解率89

大人と子どもの第二言語習得の違いについては令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1でも問われており、答えがほぼ同じ。

 

令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1のとおり、大人のほうが第二言語習得の初期段階では文法の習得が早い。

2 ×

大人でも十分な伝達能力を身につけるのは可能。だから日本語学校がある。

3 ×

母語フィルターが強いのは人生長い大人のほう

4 ×

子ども場合は年齢によって認知力の差が大きいが、大人の場合は年齢よりも言語適性による個人差が大きい。5歳と15歳の話し方の差と35歳と45歳の話し方の差をイメージしてみるよい。

答えは1

★問2 敷居(閾)仮説 正解率47

第一言語が十分に身に付いていない場合は、第二言語も身に付きにくいと考えるのは発達相互依存仮説(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p353)

二つの言語が年齢相当に発達している場合は、認知発達に正の影響があると考えるのは敷居仮設

一方の言語の習得が進むほど、もう一方の言語の能力は低下していくと考えるのは風船説

表面上は二つの言語の能力は異なるが、根底には共有する言語能力があると考えるのは氷山説

答えは2

問3 生活言語能力と学習言語能力 正解率88

子どもの場合、生活言語能力(BICS)より学習言語能力(CALP)のほうが習得に時間がかかる。

答えは4

問4 学齢期の子ども 正解率83

1 ×

学校で読み書きをするので学ぶ必要がある。

 

理科や算数に関する用語など必要な語彙や学習の順序が大人と異なる。

3 ×

親の意思によって開始されることが多い。その場合やる気がないことも。

4 ×

教科の知識と日本語を同時に学習する必要性が高い。

答えは2

問5 内発的動機づけの例 正解率95

内発的動機づけの例は令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問1にも出題されている。

外発的動機づけは勉強の外から

内発的動機づけは勉強の内から

日本語で好きな漫画を読めるようになりたいから日本語を勉強するのは、日本語の勉強の内からくる動機なので、内発的動機づけ

賞金でゲームを買うのは日本語勉強の外なので外発的動機づけ

褒められたいは日本語勉強の外なので外発的動機づけ

家族の期待に応えたいは日本語勉強の外にあるので外発的動機づけ

答えは1

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問題10 第二言語習得

問1 誤用の種類 正解率77

言語間の誤りとは、第一言語と第二言語の間の違いから生じる誤り

言語内の誤りとは、母語とは無関係に学習者全般に見られる誤り。発達途上の誤りであり、学習過程で起きる。

エラーとは、間違った理解に基づく誤り。学習者の構築した正しくない規則に基づいて起きる。

例)「じゃない」は形容詞の否定形だ→新しいじゃない

ミステイクとは、うっかりミス。本当はわかっていたけど、うっかり間違ってしまった誤り。

答えは2

問2 誤用分析 正解率85

1 

誤用は習得課程で必然的に生じるものであり、誤用を繰り返しながら習得が進む。この発達途上の言語体系を中間言語という。

 ×

繰り返し機械的な練習を行うのはパターン・プラクティス

 ×

一度きりの言い間違いはうっかりミスなので分析対象としない。

 ×

使用を回避した場合、誤用が産出されないので、分析を行うのは難しい。

答えは1

問3 グローバルエラーの例 正解率85

グローバルエラーとは相手に意図が伝わらない誤り。平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1でも出題されているので見比べておくとよい。

グローバルエラーの例は?

1 それはいいと思います

2 それは友達もらった本です。

3 先週、温泉に行きます

4 これを見ってください。

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1より

「忘れました」が正しいが意図は伝わるのでローカルエラー

「前で」が正しいが意図は伝わるのでローカルエラー

「母が」くれたのか「母に」あげたのか意図が伝わらないのでグローバルエラー

「見て」が正しいが意図が伝わるのでローカルエラー

答えは3

問4 習得順序や発達順序 正解率60

習得順序と発達順序については平成24年度日本語教育能力検定試験問題8の大問で説明されているので持っている人は読むといい。平成24年度の問1では習得順序と発達順序の違いについても問われている。

習得順序研究では複数の機能を、発達順序研究では特定の機能を対象とする(平成24年度日本語教育能力検定試験問題8問1より)。

習得順序とは、複数の異なる文法項目が習得される順番のこと。
発達順序とは、ある特定の文法項目や構造が完全に習得されるまでにたどる、いくつかの発達段階のこと。

習得順序研究と発達順序研究は、第二言語をどのように習得していくかを明らかにしようとする研究である。習得順序研究としてよく知られているのは、英語の形態素の習得順序研究である。一定の習得順序があるとされていたが、母語によって多少異なることが明らかになってきた。発達順序研究からは、一度誤りのない言語形式が産出できるようになっても、また誤用を産出する段階に戻り、その後再び正用が産出できるようになるという習得プロセスがあるということが明らかになった。

平成24年度日本語教育能力検定試験問題8より

 ×

終独順序は、複数の項目が習得される順

2 

習得順序は、複数の項目がどの順番で習得されるかを示した順序

 ×

発達順序はある特定の項目が習得されるまでの発達段階のことなので「学習者の使用の傾向」のような複数の項目を横断的に調べるものではない。

 ×

「個々の学習者によって異なる」のではなく、特定の項目が習得される際に学習者に共通して見られるのが発達順序

答えは2

★問5 第二言語習得に与える母語の影響 正解率30

形態素とは①意味を持つ抽象的な音のこと。

漢字のとおり、いろいろな「形態」の「素(もと)」が形態素と覚えてください。形態素は意味を持つ最小の言語単位です。

例えば、「お父さん」や「お船」の「お」は「丁寧」という文法的な意味を持つ形態素です。

現代日本語文法①第2部 形態論 第1章【形態論の概観】

・「サッカーを遊ぶ( play soccer )」

・「ピアノを遊ぶ( play the piano)」

英語話者が「遊ぶ」=「play」と覚えてしまった場合、

第一言語の「play」と同じように第二言語の「遊ぶ」を使って、上のような非文を作ってしまうことがあります。

誤りの種類【ローカルエラー・グローバルエラー・ミステイク・過剰般化】

上の例のように学習者が基本的だと感じたものも転移が起こる。

「愛人」という言葉は日本語にも中国語にもあるが、中国で「愛人」は配偶者のことを指し、日本と意味が異なる。類似点がある項目は転移が起こる。

文法的な形態素の具体例を考える。

例えば言葉を丁寧にする「お」

日本語では「お父さん」というが、日本語母語話者が英語を学んでも英語を話すときに「your ofather」とは言わない。

例えば形容詞を名詞にする「み」

日本語では「甘い」→「甘み」と言うが、日本語母語話者が英語を学んでも英語を話すときに「I want sweetme」とは言わない。

このように、文法形態素は音声や語彙に比べて転移が起こりにくい。

談話の構成や展開に関することも転移が起こる。例えば、日本では何かお願いするとき直接頼むのではなくまず事情を説明した上でという談話の構成が多い。他の言語では同じと限らないので会話練習をする際は日本語の談話の構成を伝える必要がある。

みんなの答えは1

私の答えは3

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問題11 言語のバリエーション

問1 術語 正解率68

術語とは、学。学問・技術などの特定の分野で定義が限定されて使われる語。専門語。学術語。

例)善意の第三者…法律用語で「善意」とは一定の事実を知らないこと。善良な心のことではない。

 ×

国際性が薄く、地域ごとの独自性があると、専門家の国際会議で使えない。

 ×

例えば、コロナの流行でコロナに関する外来語や新語が使用されるようになった(例:コビット COVID-19)

 

学問・技術などの分野で使われる言葉なので能率的かつ正確に内容が伝えられることが大事

 ×

術語は専門的に使われれる言葉なので、一般語で置き換えるのは難しい。

例えば、言語学で使われるヴォイスという言葉を一般語で置き換えるのは難しい。

答えは3

問2 集団語の例 正解率92

集団語の例は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1で問われているので見ておくとよい。

 

集団語とは、ある集団に特徴的に話されている言葉なので、帰属意識が強い構成員ほど、その集団の集団語をよく使う。同じ文書作成でも、司法修習時代は「起案」と言う者が増え、渉外弁護士になると「ドラフト」と言う者が増える。

 ×

他集団に自集団の集団語を使うと、他集団との心的距離が遠ざかる。

アコモデーション理論ダイバージェンス

 ×

集団語は、ある集団で話されているから集団語なのであって、集団の外に広まったら一般語との境界は不明確になる。例えば、放送業界で使われていた「噛む(言葉がつかえたり、言い間違えたりするの意)」という言葉も今では一般的になっており、国語辞典にも載っている。

 ×

集団語は、ある集団で話されているので、当然、集団の内部のほうが意味は通じやすい。

答えは1

問3 職業語に由来する語の例 正解率74

職業語とは、ある職業や業界から生じた語

 ×

じゃがいもを「男爵」と呼ぶのは、川田男爵が輸入して作ったから。ある職業や業界から生じた語ではない。

 

家電製品を「白物」と呼ぶのは、家電業界でそう呼ばれていたから。

 ×

緑色の田を「青田」と呼ぶのは日本古来の「青」には「緑」も含まれていたから。

日本では、緑色の野菜を「青菜(あおな)」と呼んだり、緑りんご(green apple)のことを「青りんご」を呼んだり、緑信号のことを「青信号」と呼ぶので、外国人に不思議がられる。現場で役立つ豆知識なので覚えておくとよい。

 ×

仕事を休むことを「欠勤」と呼ぶのは中国から来た外来語(漢語)だから。業界から生じた語ではなく中国から生じた語。

答えは2

問4 隠語の例 正解率83

隠語の例は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問4でも問われているので見比べておくと良い。

隠語の例は?

1 「妊婦」を意味する「マタニティ」

2 「犯人」を意味する「ホシ」

3 「賭け事」を意味する「ギャンブル」

4 「離婚1回」を意味する「バツイチ」

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問4より

隠語とは、特定の職業・社会の者の間だけで通用する特殊な語。仲間以外の者から秘密を守るためや、仲間同士であることを確認しあうために使われる(大辞林より)

問題文にヒントがある。

「隠語は秘密を保持する役割が強い」

→①話している自分たち以外の人に知られないようにするため②特殊な語を使っている選択肢を選ぶ。

 

店員同士が、客に知られないようにするため、「遠方に」というトイレを表すにしては特殊な語を使っているので隠語

 ×

話している相手に伝えようとしていないので隠語ではない。隠語は話している相手には伝えようとする語。

 ×

「例の件」は特殊な語ではない。

 ×

「コスパ」はコストパフォーマンスの略語で特殊な語ではない。

答えは1

問5 集団内でのアクセントの変化 正解率62

集団内でのアクセントの変化については平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問3(「カレシ」「バイク」)で出題されている。

「ファイル(高低低)」のような頭高のアクセントは集団内で頻繁に用いられるうちにファイル(低高高)」のような平板アクセントになることがある。

これをアクセントの平板化という。

答えは4

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問題12 待遇表現

敬語といえば敬語の指針

そして敬語の指針から作られたYouTube動画たち敬語おもしろ相談室を見ておけば試験に合格できる。

問1 ウチとソトと上下関係 正解率96

ウチとソトの敬語といえば、敬語おもしろ相談室 第七話「場面で異なる敬語~ウチとソト~」

全国共通語では、ソトの人に対して、ウチ目上の人を立てない。

×山田課長

○課長の山田

答えは4

本問は簡単すぎるので、腕試しには敬語おもしろ相談室 第七話「場面で異なる敬語~ウチとソト~」の問題をやったほうがいい。

第1問:取引先の社員から,来週,自分の上司である金子部長と打合せをしたいと予定を尋ねられたときの回答として適切な言い方はどれでしょうか?

(ア)来週,部長の金子は海外にいらっしゃいます。

(イ)来週,部長の金子は海外に伺います。

(ウ)来週,部長の金子は海外に参ります。

敬語面白相談室 第七話「場面で異なる敬語~ウチとソト~」より

上記問題以外にも学習者に質問されそうな敬語の問題がたくさん載っているので

敬語おもしろ相談室は必読

問2 敬語の種類 正解率71

 ×

いでになる」は尊敬語(敬語の指針p25)

 

「参る」は話の聞き手や読み手に対して丁重に述べる謙譲語Ⅱ

従来,謙譲語として扱われた「参る」「申す」等を「謙譲語Ⅱ」として区分するが、これは、それらの語が「行く」「言う」等の行為の向かう先を立てる用法から、話や文章の相手に対する丁重な気持ちを表す用法に変化しており、今後、更にその用法を定着させる方向にあることを踏まえた解説である。

敬語の指針p3

 ×

「お〜になる」は尊敬語の形(敬語の指針p24)

 ×

「です」は丁寧語。丁寧語は聞き手や読み手に対して丁寧に述べるもの。ここでは聞き手の「田中」。コンビニ店員が「この弁当、温める?」と言わないで「このお弁当を温めますか?」と言うのは、話題の「弁当」に対して「お弁当様」と持ち上げているのではなく聞き手であるお客さんに対して丁寧に述べている。

答えは2

問3 尊敬語の規範的な使用例 正解率57

 ×

「ございます」は丁寧語。尊敬語ではない(敬語の指針p20)

 ×

尊敬語:乗車される

謙譲語Ⅰ:ご乗車する

「ご乗車される」は尊敬語と謙譲語Ⅰの形が混ざっているので規範的な尊敬語ではない。

 

形容詞や形容動詞の場合は、語によっては「お忙しい」「御立派」のように「お」、「御」を付けて尊敬語にすることができる。

敬語の指針p26

「お名前」「お忙しい」のように、行為ではなく、ものごとや状態を表す語にも、尊敬語と呼ばれるものがある。例えば「先生のお名前」は「名前」の<所有者>である先生を、また「先生はお忙しいようですね」は「忙しい」状態にある「先生」を、それぞれ立てることになる。

敬語の指針p14

 ×

尊敬語:おそろいになる

揃ったのは「品」なので、「品」に対して尊敬語を使うのは規範的ではない。敬語の指針p50が元ネタ

答えは3

問4 時代や地域による敬語の違い 正解率50

 

例えば,関西地方では「~はる」が,全国共通語の「~れる・~られる」と似た意味の尊敬語として広く用いられる。これは,例えば「うちの父さん,家にいてはります」というように,全国共通語の尊敬語とは異なって,自分側の人物について述べる場合にも用いられる。

敬語の指針p8

「お父さんはもうすぐ帰らはります」のように関西では身内に対して用いられる尊敬語がある(ことば研究館「家族や赤ちゃんに尊敬語を使うのは間違った言い方ですか」参照)。

 ×

敬語を用いず、文末表現などで敬意を示す地域方言も存在する。

 方言の敬語は,全国共通語の敬語とは異なる場合も多く,それらは,言語表現の形や意味の上での多様性だけでなく,それらの使い方の上での多様性も持っている。方言のこうした多様な敬語は,方言一般と同様,その地域に既に定着したものであり,そこでの言語生活に欠くことのできない,多様で豊かな言語表現を作り上げる。

 また一方では,全国共通語の尊敬語・謙譲語等に当たる言語形式を備えず,敬語が希薄だとされる地域もある。例えば,東北地方南部や関東地方北部などである。しかし,この地域においても,例えば「そだなし・そだのう」などの文末表現やそれらの抑揚(イントネーション)が,相手への丁寧な気持ちや改まった気持ち(全国共通語の「そうでしょうねえ・そうですね」のような意味)を表す言語表現として用いられる。敬意表現の一つの姿である。

敬語の指針p8

地域によっては敬語の希薄な所があるが、その地域においても、例えば「~なし」「~ない」「~のう」(東北地方)などの短い文末詞によって、話し相手への親しみや改まりの気持ちが微妙に言い分けられる。敬語の豊富な地域でも,「~なも」「~なん」(中部地方)、「~な」「~や」「~と」(九州地方)などの文末詞や言葉遣い全体の音調(イントネーション。声の上がり下がりの調子)を選ぶことによっても、話し手の気持ちが生き生きと表現し分けられる。これらも敬意表現の働きを持つ言葉遣いの要素として留意すべきである。

文化庁 敬意表現についての留意点より

 ×

軽卑(けいひ)表現とは、相手を軽蔑する表現のこと。「こいつ、ご飯を食べてやがる」のように現代日本語の共通語にも見られる。

 ×

天皇の自敬表現については令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問5でも登場しているので見比べてみるとよい。

上代(じょうだい)とは、大昔。奈良時代。上代の日本語は「奏す」のような絶対敬語であり、天皇の「朕」など自敬表現を用いていた。

敬語が相対敬語になった日本語の変化は平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ3D(20)でも出題されている。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11では問題文で説明されているので持っている人は要チェック。

対者敬語は古代の敬語には見られず、平安時代以降に発達していった。また、敬語の変化を歴史的に見ると、かつては上下関係が重視されていたが、現代はウチ・ソトを重視して敬語が運用されるようになってきたことが分かる。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11より

答えは1

問5 丁寧体の会話が普通体に切り替わる条件 正解率57

話し方の丁寧さのレベルをスピーチレベルといい、会話の中で丁寧さを切り替えることをスピーチレベルシフトという。

スピーチレベルが切り替わる例平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題13問3で出題されているので見ておく。

各選択肢の会話の具体例が思い浮かべば解ける。

 ×

A:今日はいい天気ですね。

B:そうだね。

A:あなた、失礼ですよ。俺は東京大学の教授なんだぞ

B:へえ。すごいね。

上記会話の太字でAは丁寧体から普通体に切り替えたが品位はむしろ下がっている。品位を示すなら丁寧な言葉を続けたほうがいい。

品位とは見る人が自然に尊敬したくなるような気高さ。

 ×

A:年はいくつですか?

B:20歳です。

A:え、同い年じゃん? タメ語で話そ!

B:え、まじで! うん!

上記会話のとおり、丁寧体から普通体に切り替わると心理的距離が近くなる

平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題13問3選択肢4「初対面の女性二人が冗談を言うときに、丁寧体から普通体に切り替わる」も同じパターン。

 ×

A:今日は天気がいいですね。

B:そうですね。

A:ところで私は猫が好きだ。

B:え?

新しい話題を導入するときに急に普通体に切り替わられても戸惑う。

 

A:かわいい猫ちゃんですね。

B:ありがとうございます。

A:何歳ですか。

B:えっと、いくつだったかな…、3、4、いや、あ、5歳です。

A:へえ。

太字のように自問するような発話をするときは普通体に切り替わる。

答えは4

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問題13 会話の仕組み

協調の原理は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12【2019】会話の基本原則 以来の出題

問1 協調の原理 正解率36

協調の原理は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11でも出題されており問題文に答えがある。

話し手は、聞き手にメッセージを理解してもらうために適切に伝えようとする。グライス(H.P.Grice)は協調の原理を提唱し、このような会話の基本的な原則を説明している。

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12より

人は、うまくコミュニケーションが成り立つように、「自分の話すことが、会話のその時点での目的にかなったものであるようにせよ」という協調の原理に従って行動している。

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11より

協調の原理とは、話し手が会話の目的に沿って適切に発話すること。

 ×

協調の原理は令和元年度の説明通り「話し手がどう話すか」に関する原理。相手と協力して言葉の意味を確認することではない。

 ×

協調の原理は相手に影響を与えることではない。

 ×

協調の原理は人間関係に配慮することではない。

 

協調の原理とは自分の発話を会話の目的や方向に沿ったものにすることである。

答えは4

問2 質の公理に違反している返答の例 正解率46

量の公理情報が多すぎも少なすぎもダメ
質の公理うそはダメ
関係の公理関係ない話をするな
様式の公理分かりやすく言おう
協調の原理の4つの公理

質の公理とは、自分が間違いだと思っていることや不確かなことを言わないこと

質の公理は平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12でも出題されているので持っている人は要チェック。

質の公理に違反していることを伝える発話の例は?

1 ちょっと観点がずれますが

2 うまく説明できませんが

3 間違っているかもしれませんが

4 長くなって申し訳ないのですが

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12

 ×

質問と関係ない発話をしているので関係の公理に違反

2 ○

「やりたくもない」のに「楽しかった」と言っているのでどちらかが嘘。質の公理に違反。

 ×

出発時間を聞いているのに「早朝」では情報が足りない。量の公理に違反。

 ×

「どこで何をしてた」か聞いているのに「外だけど」では情報が足りない。量の公理に違反。

答えは2

問3 文脈化 正解率59

わからない言葉が出てきたときは問題文にヒントを探す。

誤解を防ぐためには発話がどう解釈されるべきかという○○○の合図を理解することが重要である。

解釈が問題になる発話を具体的にイメージする。

例えば「私の先生、ヤバい!」という発話。

これが「先生は10ヶ国語話せる」という話題に対する発話であればポジティブな褒め言葉と解釈できる。

一方で「先生は飲み過ぎると全裸で踊り出す癖がある」という話題に対する発話であれば褒め言葉とは解釈はできない。ネガティブな言葉だろう。

このように発話を解釈するには

どんな場面・文脈(背景や周辺の状況)での発話かを理解することが重要である。

答えは4

各選択肢の言葉の意味から考えても答えが出る。

 ×

意識とは、物事に気づくこと。感知。知覚。

意識化とは、自分が何を考えているか自覚すること。

発話の解釈には「自分が何を考えているか」自覚することではなく「相手が何を考えているか」知覚することが大事

 ×

活性とは、機能が出現したり効率が向上したりすること。また、反応や応答をする能力。

活性化とは、物質の反応性を高めること。社会・組織などを活発にすること。

発話の理解とは関係がなさそうな言葉。

 ×

概念とは、ある事物の概括的で大まかな意味内容。

概念化とは、経験されたさまざまな観念内容を抽象化してまとめること。

発話の理解とは関係がなさそうな言葉

 

文脈とは、ある事柄の背景や周辺の状況。

文脈化とは、語彙や文章の文脈における理解。

答えは4

問4 ターンテイキング 正解率91

参加者が発話の順番を交代していくシステムをターン・テイキングという。

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3では具体的な会話を使ってターン・テイキングについて説明しているので持っている人は必読。

 ○

相手Bに質問して、自分Aが話すのをやめれば、次はBが話す。A→Bに発話の順番が交代する。

 ×

相手Bが相づちを打っても、次にBが話すとは限らない。発話の順番は交代していない。

 ×

相手Bが話している最中に自分Aが話し始めたら、「同時」であり「交代」とはいえない。

 ×

最後に話したAさんに話すよう促しても、A→Aで発話の順番は交代していない。

答えは1

問5 隣接ペア 正解率91

隣接ペアとは、会話のワンセット。あいさつにあいさつで返すとか(「おはよう」「おはよう」)、問いに答えるとか(「今何時」「5時」)、お願いに応えるとか(「マッサージして」「オッケー」)。隣接応答ペアとも。

隣接ペアは過去に何度も登場しているので他の過去問と見比べておくとよい。

 ×

「いらっしゃい」は挨拶なので隣接ペアは「こんにちは」とか「どうも」などの挨拶

 ○

「いくらですか」「1尾500円です」値段を聞かれて答えているので隣接ペア

 ×

「お目が高い」と褒められているので「ありがとうございます」や「いえいえ」で返すのが隣接ペア

 ×

3と同じ。

答えは2

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問題14 海外の日本語教育

問1 国際交流基金の活動目的 正解率55

独立行政法人国際交流基金(JF)は、世界の全地域で総合的に国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関です。「文化」と「言語」と「対話」を通じて日本と世界をつなぐ場を作り、人々の間に共感や信頼、好意をはぐくんでいきます。

https://www.jpf.go.jp/

答えは2

問2 海外の日本語学習者数 正解率65

試験1週間前に実施したハマゼミブートキャンプよく出る時事問題まとめで作った問題が登場。

海外の日本語学習者数

海外の日本語学習者数は約380万人で、そのうち東アジアと東南アジアで約8割を占めている。

答えは4

問3 教育段階別の学習者数比 正解率37

地域別の日本語教育は報告書p24〜に書かれている。

 ×

インドネシアでは中等教育機関(中学・高校)で学ぶ学習者が最も多い。

 ×

オーストラリアでは初等教育機関(小学校)で学ぶ学習者が最も多い。

 ○

中国では、高等教育機関(大学・大学院など)で学ぶ学習者が最も多い。

 ×

韓国では、中等教育機関で学ぶ学習者が最も多い。

答えは3

問4 日本語学習の目的・理由 正解率56

報告書p22からの出題

コロナで日本への留学が制限されたため「日本への留学」が上位5位から外れた。

答えは1

問5 米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業 正解率41

米国若手日本語教員(J-LEAP)とは?

米国における日本語学習と日本理解の基盤維持、強化と若者間の交流促進を目的として、米国の小・中学校、高校に若手日本語教員をアシスタントティーチャーとして派遣するプログラムです。
若手日本語教員は、派遣先機関の日本語教師(リードティーチャー)とのチームティーチングや教材作成等の補助業務、周辺地域での日本関連イベントへの協力等を通じて、日米交流の懸け橋として、派遣地域の日本語教育や日本文化理解の促進を目指します。

米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業より

 

応募資格

下記(1)~(8)をすべて満たす者。

(1)日本国籍を有し、日本語を母語とする者。

(2)2024年4月1日時点で満35歳未満である者。

(3)4年制大学卒業以上の学歴を有すること(2024年3月卒業見込みも含む)。

(4)以下のいずれかに該当する者。

ア.大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻として修了している者(2024年3月修了見込みも含む)

イ.日本語教育能力検定試験合格者

ウ.日本語教師養成講座(420時間以上)修了者(2024年3月修了見込みも含む)

※大学院に在学中でも応募可能。

※日本語教育経験については問わないが、派遣先機関の日本語教師とのチームティーチングを行ううえでのコミュニケーション力、協調性、柔軟性を有すること。

(5)心身ともに健康で、2年間の米国での業務や生活に対応できる健康状態であること。

(6)普通自動車第一種運転免許を取得していること。

(7)2024年5月14日から17日までJF日本語国際センター(さいたま市北浦和)で実施予定の派遣前研修に全日程宿泊参加できること。
※派遣前研修に参加が可能であれば、応募時点で海外に在住している方も応募可能です。

(8)現地生活を行う上で必要な基本的な英語力を有すること。

2024年度 米国若手日本語教員(J-LEAP)公募のお知らせより

上記の通り、日本語の教授経験がなくても応募でき、派遣先の日本語教師のアシスタント業務や、その地域での日本語教育の促進活動を行う。

 ×

「日本語教師や学習者のパートナーとして」ではなく「アシスタントティーシャーとして」

 ×

派遣時点での日本語教授経験は問わない。

 ×

「専任講師として」ではない。「日本での生活に必要となる日本語や社会文化理解の予備教育」ではなく、派遣先機関や地域における日本文化・社会理解促進に関する活動を行う。

答えは1

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問題15 日本語教員の養成

来年から始まる新制度を意識した日本語教員養成の歴史問題が登場

問1 1980年代に始まった日本語教育に関する事業 正解率29

1980年代に始まった日本語教育に関する事業を選ぶ。

 ×

国語分科会の中に日本語教育小委員会が初めてできたのが平成19年(2007年)(第1回国語分科会日本語教育小委員会・議事録参照

 

国内における日本語教員の養成については,「日本語教育施策の推進に関する調査研究会」(文部省)の報告「日本語教員養成等について」(昭和60年5月)に基づいてこれまで実施されてきたと言える。この報告の中で,西暦2000年に必要な日本語教員の数を約2万5千人と概算しており,これに必要な日本語教員養成機関の整備・充実のため,国立大学に日本語教育主専攻及び副専攻の学科・課程を設けるほか,既存の養成機関の教育内容や水準の整備・充実を図ることを提言し,併せて「日本語教員養成のための標準的な教育内容」として,教育内容のガイドラインとされる枠組みを示している。

文化庁 日本語教育養成についてより

 文部省の日本語教育施策の推進に関する調査研究会は、昭和六十年五月、増加する日本語学習者に対応するためには日本語教員の養成機関の量的・質的整備・充実が急務であるとする報告書「日本語教員の養成について」を提出した。同報告書は、国内において五十八年に二、二〇〇人であった日本語教員は、平成十二年(西暦二、〇〇〇年)には二万四、九〇〇人必要となるとの試算を示すとともに、日本語教員養成機関の標準的な教育内容を提示した。

 この報告書を受けて、昭和六十年度に、筑波大学及び東京外国語大学日本語教員養成のための学科が設けられたのをはじめとして、順次国立大学において日本語教員養成学科等の整備が進められ、平成三年度までに合計一五大学に設置された。また、私立大学においても同様に整備されてきている。

文部科学省 日本語教員の養成より

国立大学に日本語教員養成学科、課程等が設置されたのは昭和60年(1985年

 ×

文化庁の地域日本語教育コーディネーター研修が開始されたのは平成22年(2010年)(文化庁のウェブサイト参照

地域日本語教育コーディネーターは過去に何度か出題されているので他の過去問も見ておくとよい。

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JSLカリキュラムは令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問4など過去に何度も登場しているので他の過去問も見ておくと理解が深まる。

 JSLカリキュラムは、外国人児童生徒が学校での学習や生活に円滑に適応できるようにするため、日本語指導の初期学習から教科学習につながる段階までをカバーするものとして、平成13年度より研究開発を進めてきました。
 小学校編は平成15年度に刊行し、これまで各関係の皆様に活用いただいておりますが、この度、中学校編として、国語科、数学科、理科、社会科、英語科の5教科についてとりまとめました。

学校教育におけるJSLカリキュラムより

学校教育においてJSLカリキュラムが初めて刊行されたのが小学校編の平成15年度(2003年

答えは2

問2 昭和60年「日本語教員の養成等について」 正解率36

昭和60年(1985年)「日本語教員の養成等について」(日本語教育施策の推進に関する調査研究会)からの出題

日本語教育のための教員養成についてp29より

「日本語の構造に関する体系的、具体的な知識」・「日本人の言語生活等に関する知識・能力」

150時間+30時間=180時間

「日本事情」 15時間

「言語学的知識・能力」 60時間

「日本語の教授に関する知識・能力」 165時間

答えは1

問3 平成12年「日本語教育のための教員養成について」 正解率9

平成12年(2000年)「日本語教育のための教員養成について」からの出題

 適当

各養成機関においてどのような教育課程を編成するかは、今回新たに示す教育内容を参考としてそれぞれの日本語教員養成機関の自主的な判断に委ねようとするものである。したがって、教育課程編成に際しての枠組みとなる標準単位数や、従来設けられていた主専攻・副専攻の区分は設けず、今後は、各大学等の教育目的がより一層実現しやすいようにするものである。

平成12年(2000年)「日本語教育のための教員養成について」p8より

上記太字の通り、各日本語教員養成機関の自主的な判断で教育課程の編成を行いやすくなった。

 適当

上記太字の通り、主専攻・副専攻の区分がなくなった。

 不適当

「一般の」が不適当

昭和60年文部省「日本語教育施策の推進に関する調査研究会」報告

日本語教員養成における教育内容・水準の向上のため,大学等の日本語教員養成を行う教育機関における教育内容の指針として,「標準的な教育内容」を示す。
・主専攻と副専攻の別
・標準カリキュラムと標準単位数

日本語教育のための教員養成についてより

大学等の日本語教育養成機関における420時間の標準的な教育内容が示されたのは問2でも出題されたとおり昭和60年報告

平成12年指針(平成12年教育内容)が対象にしたのも大学等の日本語教師養成機関。

そのことは平成31年の報告で批判されている。

大学等の日本語教師養成機関以外では、「平成12年教育内容」の対象となっていないことから、各機関・団体において独自の内容で養成・研修が行われている。

平成31年(2019年)「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(文化審議会国語分科会)p9より

 適当

新たに示す教育内容の領域は、「社会・文化に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」の3つの領域からなり、それぞれはあえて明確な線引きは行わず、段階的に緩やかな関係ととらえ、また優先順位を設けず、いずれも等価と位置付ける。さらに、その領域の区分として,「社会・文化・地域」、「言語と社会」、「言語と心理」、「言語と教育」、「言語」の5つの区分を設ける。

平成12年(2000年)「日本語教育のための教員養成について」p11

答えは3

問4 平成31年「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」 正解率19

平成31年(2019年)「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(文化審議会国語分科会)からの出題

※「「平成12年指針」における教育内容に対する課題」は「平成12年指針」ではなく、上記平成31年の報告書にまとめられているので注意。問題文にもそう書いてある。

「平成12年教育内容」については、様々な課題が指摘されているが、主として

①多様な教育目的や学習者のニーズ等に対応する幅広い教育内容が示されているが、様々な活動分野や役割に応じた資質・能力や教育内容は示されていない。

②三つの教育領域、五つの区分とそれに対応する教育内容の例等を示しているが、必ず学習すべき内容が明確に示されていない

③提示以来18年が経過していることから、大学等における教育・研究の進展や社会情勢の変化に対応できていない。

平成31年(2019年)「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(文化審議会国語分科会)p9より

答えは2

問5 日本語教師の三段階 正解率14

平成31年(2019年)「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(文化審議会国語分科会)p19〜より

答えは1

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