【過去問解説】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4

H25試験Ⅰ

平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法・教室活動】です。

試験Ⅰの問題4は毎年、教授法が出題されていますので、教授法は最重要分野の一つです。他の年度の問題4とも比較してみてください。
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育のコースデザインやシラバス、教授法】です。
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育・日本語教育の教授法】です。
平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【学習者がグループで話し合う教室活動(ディスカッション・ディベート)】です。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法とその日本語教授法への影響】です。

問1 ナチュラル・アプローチで用いられるシラバスを選ぶ問題です。
ナチュラルな(自然な)アプローチというくらいだから、ナチュラルなシラバスだろうと想像できます。
「文型」「技能」「課題」という言葉には作為的な香りが漂っています。
「話題」は自然な雰囲気です。
よって、正解は1です。


なお、ナチュラル・アプローチは繰り返し出題されており、詳しい説明は他年度の解説にありますので、下記のタグをクリックしてください。

問2 
学習者の母語や媒介語を活用する教授法といえば、文法訳読法が思い浮かびますが、選択肢にありません。そこで、消去法を用います。
1,オーラル・メソッド…オーラル(口述の)といえば、ダイレクトというワードが連想されます。媒介に反するワードなので、1は消去です。
2,ナチュラル・メソッド…ナチュラルといえば、そのままというイメージが浮かびます。媒介に反するので、2は消去です。
3,コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)…直訳すると、共同体言語学習。名称からは学習者の母語や媒介語を積極的に活用するかしないか分からないので保留です。
4,グレイデッド・ダイレクト・メソッド(GDM)…ダイレクトというワードは、媒介に反するワードなので、4は消去です。
よって、残った3が正解です。


実は、コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)では、いつでも教師に母語を介して助力を仰ぐことができます。
なお、グレイデッド・ダイレクト・メソッド(GDM)(段階的直接法)とは、学習者の負担を減らすため、段階的に簡単な言葉で教える直接法です。ハーバード・メソッドとも呼ばれています。学習者は身体を使って感覚的に理解します。

問3 オーディオ・リンガル・メソッドとコミュニカティブ・アプローチの特徴を比較する問題ですが、両者とも他年度で解説しておりますので、詳しい説明は下記のタグをクリックしてください。

オーディオ・リンガル・メソッド
・構造言語学、行動心理学         
・口頭能力重視              
・文法を体系的に学習(易しい文型から難しい文型へ)
・誤りは母語の影響によって生じる 

コミュニカティブ・アプローチ 
・機能言語学、社会言語学 
・コミュニケーション能力を重視 
・誤りは言語習得の過程的現象

以上より、オーディオ・リンガル・メソッドでは、書き言葉は重視しませんので、2が正解です。

問4
『研究社日本語教育事典』236頁によると、
プロジェクトワークは、タスクを中心とした教室活動の一種で、例えば新製品開発という目標を設け、実際に教室内外で調査をしたり、話し合ったりしながら、学習者が自らの言語知識やストラテジーを駆使して計画を遂行することによって、総合的な目標言語の運用力を伸ばす活動です。
つまり、新製品開発という「課題達成」型の学習であり、調査したり話し合ったり発表したりすることで、読む、書く、聞く、話すの4技能がまんべんなく鍛えられる「技能統合型」の学習であり、実践的で「内容重視」の学習です。
よって、正解は1です。


なお、自己研修型といえば、アクション・リサーチが思い浮かびます。
アクション・リサーチとは、教師が自らの授業を分析し、改善策を実行し(アクション)、その行動によって起きる学習者の学習状況の変化を観察・内省・報告する(リサーチ)という現場密着型の実践研究です。

問5
プロセス・ライティングというくらいだから、プロセスが大事なのだろうと推測できます。そこでプロセスを重視しているかという観点から、各選択肢を検討します。
1,「特定の文法・語彙項目の定着を目的」として、それらを「繰り返し」書くというのは、オーディオリンガル・メソッドのパターン・プラクティスに似ていますね。あちらは口頭練習ですが、そのライティングバージョンということでしょうか。プロセス(過程)よりも、結果を重視しています。
2,学術的な文章を書くことを目標にしたアカデミック・ライティングでしょうか。プロセス(過程)を大事にするのとは視点が異なります。
3,専門分野にふさわしい語彙や文体を用いて書くことと、プロセス(過程)重視とは視点が違います。
4,書き直しを学習ととらえ、下書きと推敲を繰り返しているので、プロセス(過程)を重視しています。
よって、4が正解です。


なお、
プロセス・ライティングとは、プロセス・アプローチの一種で、文章を書くことは思考の循環的なプロセスであるとして、 文章を推敲する過程を重視して何度も書き直しをさせる方法です。

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