【過去問解説】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8

H25試験Ⅰ
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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題8は【第二言語習得と個人差】です。

問1
ツッコミポイントを探します。
1,先行研究は存じ上げませんが、この広い世の中で見解が一致することなんてそうそうありません。限りなく黒に近い選択肢でございます。
2,学習段階によって、重要になる言語適性は異なると思います。リスニングには音韻処理能力が、語彙には記憶力が、と要求される能力が異なるからです。
3, 逆じゃないでしょうか。言語適性がある人のほうが習得が早いです。音を認識する能力が高い人は正しい発音ができるようになるのも早いです。でも最終的な到達段階はそんなに変わらないという説があります。
4, コミュニカティブな指導は、言語適性と関係があります。音を認識する能力が高い人は、コミュニカティブな指導が向いているのではないでしょうか。
よって、正解は2です。

○ガードナーとランバートは、第二言語学習における動機づけを統合的動機づけ道具的動機づけに分類しました。
統合的動機づけ…目標言語の社会に溶け込みたい、一員になりたいぞ!
例…「僕は猫になりたい」と言って猫の鳴き声を必死に真似る人。

道具的動機づけ実益が目的。お金持ちになりたい! 偉くなりたい! 有名になりたいよ!
例…「猫と会話できる男」というYouTuberになってお金稼いで好きなことして生きていきたいので、猫の鳴き声を学んでいます。

○内発的動機づけと外発的動機づけに分けることもできます。
内発的動機づけ…内からの力で勉強。学習そのものが楽しいの! 
例…猫の鳴き声を真似するのって楽しいんですよ。

外発的動機づけ…外から力で勉強。学習したらいいことある! 
例…近所の美猫の気を惹くために、イケてるオス猫の鳴き声を学習してるんです。

問2
1,会社での昇進が目的なので、道具的動機づけです。
2,日本へ出張するために会社の命令で勉強するのは外からの力なので、外発的動機づけです。
3,日本が好きで、いつか渡日して就職したいと思っているので、統合的動機づけです。
4,日本企業から届く書類を読むために日本語を勉強する場合、外からの力なので外発的動機づけです。
よって、正解は1です。

問3
1,成人になってから日本語を学んで、日本人並みにペラペラの外国人タレントさんいますよね。
2,初期の習得スピードは認知能力が発達した大人の方が、幼い子どもより早いらしいです。
3,インプットの量は大事です。
4,文法に比べて音声は幼いうちのほうが正確に覚えます。
よって、正解は2です。

問4
個人差、といえば、ビリーフです。本試験に何度も登場している重要キーワードです。というわけで、選択肢は1か3に絞れます。知能によって第二言語習得に差が出ると思います。一方で、パラメータとは何のパラメータなのかわかりません。
よって、正解は3です。

問5
学習者の不安度が高いと第二言語習得が阻害されるとする仮説は、情意フィルター仮説です。

よって、正解は4です。

1,根本的相違仮説とは、幼い子どもが言葉(母語、第二言語)を覚えるメカニズムと、大人が第二言語を習得するメカニズムは、根本的に相違しているという仮説です。子どもの(母語)言語習得に個人差はあまりありませんが、大人の学習者には大きな個人差があります。

2,インターアクション仮説(インタラクション仮説/相互交流仮説)は、言語の習得には、意味交渉(意味が通じるように行う工夫)によるインターアクション(やり取り)が重要とする仮説。

3,敷居仮説(しきい理論)とは、バイリンガリズムの程度と認知の関係をまとめた仮説で、3階建ての家で表されます。
3階…均衡バイリンガル:両方の言語が年齢相当の能力。認知にプラスの影響。
2階…弱い均衡バイリンガル:片方の言語が年齢相当。認知に影響なし。
1階…限定的なバイリンガル:両方の言語が年齢不相当。認知にマイナス。

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