【過去問解説】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6

H25試験Ⅰ
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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題6は【学習観の変遷】です。

問1
 「スキナー」「行動主義」といえば、オペラント条件付け(道具的条件付け)です。飼い犬(猫)に、お手をしたらおやつを上げるという行為を繰り返し続ければ、お手という習慣が形成されます。学習は刺激反応によって起こり、習慣形成が習得を促進するという考えです。
よって、正解は4です。

各選択肢の用語は以下を参照

1,項目応答理論

2,統率・束縛理論

3,学習可能性理論

4,習慣形成理論

問2 
ヴィゴツキーといえば、社会的構成主義です。子どもの知的発達は社会との関わりで起きるという発達の最近接領域(ZPD)という概念を唱えました。
よって、正解は1です。

2,相互交流主義理論とは、何でしょうか。ロング相互交流仮説(インターアクション仮説/インタラクション仮説)でしょうか。相互交流仮説は、相互交流(インターアクション)において、互いの意思疎通のため行う意味交渉のプロセスによって理解可能になったインプットが習得を促進するという考え方です。

3,論理実証主義については、Hatena Keywordをご参照ください。

4,新行動主義は、ワトソンの行動主義から発展した心理学の諸学派の総称です。

問3 
1,「それまでの絶対的な知識観」が崩壊した結果、経験による学習が中心で、学習者が中心となりましたので、逆です。
よって、正解は1です。

問4
学習者が自身の学習について反省・洞察などを行うといえばメタ認知なので、正解は4です。


メタ認知は頻繁に登場しますので、確実に理解しておく必要があります。他の学習ストラテジーとまとめた頁を作りましたので、ご参照ください。
メタ認知とは、認知を認知することです。学習においては学習を学習すること。具体的には、学習するものを予習したり、学習したものを復習したり、学習について計画したり、学習について内省したりすることです。

1,情報リテラシーとは、情報を活用する能力です。情報が氾濫するインターネット社会においては必須の能力だと言われています。

2,演繹的思考とは、一般的・普遍的な前提から、個別的・具体的な結論を導く思考です。三段論法が有名です。
例…(大前提)猫は僕を噛む。(小前提)花子は猫だ。→(演繹的思考)→花子は僕を噛む。

逆に、帰納的思考では、個別的・具体的事実の積み重ねから一般的・普遍的な結論を導きます。
例…飼い猫は僕を噛む。近所の猫は僕を噛む。猫カフェの猫は僕を噛む→(帰納的思考)→猫は僕を噛む。

3,拡散的思考収束的思考は、アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードが提唱した概念。
拡散的思考は、既知の情報から様々な考えを巡らせて(拡散させて)、新しいアイディアを生み出す思考。
収束的思考は、既知の情報から、論理的に思考して、唯一の正解に辿りつく思考。

問5
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』162頁の図のように、
・1950年代〜 『行動主義』教師は教育者。
・1960年代〜 『認知主義』教師は支援者。
・1980年代〜 『構成主義』教師はチームの一員。
と教師の位置づけが変遷しています。
1の「学習者にモデルを示しトレーニングを行う」のは、教師が教育者だったころの役割なので、変化する前です。
よって、正解は1です。


なお、
エンパワーメントとは、自信を与えること、力をつけてやること、自己決定する力の獲得、社会を変えようという意欲を持たせること、本来持っている生きる力を湧き出させること、など。詳しくは、『日本語教育能力検定試験に合格するための異文化理解13』178頁以下の『フレイレの教育理論』をご参照ください。
コーディネーターとは、物事が円滑に行われるように、全体の調整や進行を担当する人(大辞林)。
ファシリテーターとは、活動そのものには参加せず、中立的な立場から活動を援助する人。 

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