現代日本語文法②第3部 格と構文 第6章【あり方の副詞的成分】第4部 ヴォイスの概観 第1章【ヴォイスの概観】第2章【受身】を分かりやすく解説

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  1. ハマが解説した講義動画はここからダウンロードして見ることができます。
  2. 本日の問題
  3. 第6章 あり方の副詞的成分 第1節【あり方の副詞的成分とは】
  4. 第6章 あり方の副詞的成分 第2節【様態を表す副詞的成分】
    1. 1.様態を表す副詞的成分とは
      1. 1)副詞
          1. a.擬音語・擬態語(+と)
          2. b.漢語・畳語+と
          3. c.その他
      2. 2)イ形容詞の連用形
      3. 3)ナ形容詞の連用形
      4. 4)動詞のテ形
      5. 5)デ格名詞
    2. 2.様態を表す副詞的成分と共起する語
    3. 3.様態を表す副詞的成分の用法
  5. 第6章 あり方の副詞的成分 第3節【結果を表す副詞的成分】
    1. 1.結果を表す副詞的成分とは
      1. 1)副詞
          1. a.くりかえし型の擬態語+に
          2. b.擬態語(+と)
          3. c.漢語・畳語+と
          4. d.その他
      2. 2)イ形容詞の連用形
      3. 3)ナ形容詞の連用形
      4. 4)ニ格名詞
    2. 2.結果を表す副詞的成分と共起する語
  6. 第6章 あり方の副詞的成分 第4節【程度を表す副詞的成分】
    1. 1.程度を表す副詞的成分とは
    2. 2.程度を表す副詞的成分と共起する語
      1. 2.1 形容詞
      2. 2.2 名詞
      3. 2.3 動詞
      4. 2.4 副詞
    3. 3.程度を表す副詞的成分の種類
      1. 3.1 程度に加えて量を表す副詞的成分
      2. 3..2 比較に関わる副詞的成分
      3. 3.3 概略・概括的な程度を表す副詞的成分
  7. 第6章 あり方の副詞的成分 第5節【量を表す副詞的成分】
    1. 1.量を表す副詞的成分とは
    2. 2.量を表す副詞的成分と共起する語
  8. 第4部 ヴォイス 第1章 ヴォイスの概観 第1節【ヴォイスとは】
    1. 1.ヴォイスの規定
    2. 2.ヴォイスの中心的な表現
  9. 第4部 ヴォイス 第1章 ヴォイスの概観 第2節【ヴォイスの分類】
    1. 1.中心的なヴォイス表現
      1. 1.1 受身文
      2. 1.2 使役文
    2. 2.ヴォイスの関連構文
      1. 2.1 可能構文
      2. 2.2 自発構文
      3. 2.3 相互構文
      4. 2.4 再帰構文
  10. 第4部 ヴォイス 第2章 受身 第1節【受身とは】
    1. 1.受身の規定
    2. 2.受身文の述語の形態
  11. 第4部 ヴォイス 第2章 受身 第2節【受身文のタイプ】
    1. 1.受身文の3つのタイプ
    2. 2.直接受身文
    3. 3.間接受身文
    4. 4.持ち主の受身文
  12. 第4部 ヴォイス 第2章 受身 第3節【直接受身文】
    1. 1.直接受身文の規定
    2. 2.直接受身文の文型的な特徴
      1. 2.1 直接受身文の文型
      2. 2.2 直接受身文の主語と能動文の補語との関係
          1. [が、を]文型のヲ格名詞が主語になる例
          2. [が、に、を]文型のヲ格名詞が主語になる例
          3. [が、に]文型のニ格名詞が主語になる例
          4. [が、に、を]文型のニ格名詞が主語になる例
      3. 2.3 能動主体の表し方
          1. [に]
          2. [によって]
          3. [から]
          4. [そのほかの能動主体の表し方]
    3. 3.直接受身文の意味
    4. 4.直接受身文のタイプ
      1. 4.1 [有情物、有情物]型
          1. [主語の前景化を動機とするもの]
          2. [能動主体の背景化を動機とするもの]
      2. 4.2[無情物、有情物]型
          1. [主語の前景化を動機とするもの]
          2. [能動主体の背景化を動機とするもの]
      3. 4.3[有情物、無情物]型
          1. [主語の前景化を動機とするもの]
      4. 4.4[無情物、無情物]型
          1. [主語の前景化を動機とするもの]
          2. [能動主体の背景化を動機とするもの]
    5. 5.直接受身文と自動詞
  13. 第4部 ヴォイス 第2章 受身 第4節【間接受身文】
    1. 1.間接受身文の規定
    2. 2.間接受身文の文型的な特徴
      1. 2.1 間接受身文の文型
      2. 2.2間接受身文の主語
      3. 2.3 能動主体の表し方
      4. 2.4 間接受身文に含まれる事態の性質
          1. [有情物を能動主体とする場合]
          2. [無情物を能動主体とする場合]
    3. 3.間接受身文の意味的な特徴
      1. 3.1 迷惑の意味
      2. 3.2 間接受身文の意味に関連する現象
  14. 第4部 ヴォイス 第2章 受身 第5節【持ち主の受身文】
    1. 1.持ち主の受身文の規定
    2. 2.持ち主の受身文の文型的な特徴
      1. 2.1 持ち主の受身文の文型
      2. 2.2 持ち主の受身文の主語
      3. 2.3 能動主体の表し方
    3. 3.持ち主の受身文の意味的な特徴
    4. 4.持ち主の受身文のタイプ
      1. 4.1 接触を表す動詞による持ち主の受身文
      2. 4.2 そのほかの動詞による持ち主の受身文
    5. 5.持ち主の受身文と直接受身文・間接受身文との関係
      1. 5.1 文型的な側面
      2. 5.2 意味的な側面
  15. 受身が出題された日本語教育能力検定試験の過去問
  16. 本日の問題の答え

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【文法を極める会7】現代日本語文法②第3部 格と構文 第6章【あり方の副詞的成分】第4部 ヴォイスの概観 第1章【ヴォイスの概観】第2章【受身】 by 日本語教師のハマゼミコミュニティ
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本日の問題

【 】内に示した観点から見て、他と性質の異なるものを1つ選べ。

(7)【受身文のタイプ】

1 田中が山田に殴られた。

2 知らない人に話しかけられた。

3 夫に浮気された。

4 母に褒められた。

5 弟が先生に呼ばれた。

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第6章 あり方の副詞的成分 第1節【あり方の副詞的成分とは】

p191~

あり方の副詞的成分とは、動きや事態のあり方を表現して特徴を示す成分

・弟がプリンを食べた。

・弟がプリンをこっそり食べた…様態を表す副詞的成分

・弟がプリンを真っ二つに切った…結果を表す副詞的成分

・弟がプリンをたっぷり食べた…程度を表す副詞的成分

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第6章 あり方の副詞的成分 第2節【様態を表す副詞的成分】

p192~

1.様態を表す副詞的成分とは

様態を表す副詞的成分とは、動きや事態がどのように実現するのかを表す成分

1)副詞

a.擬音語・擬態語(+と)

・弟はプリンをこっそりと食べた。

b.漢語・畳語+と

・弟はプリンを黙々と食べた。

c.その他

・弟はプリンを一気に食べた。

2)イ形容詞の連用形

・弟はプリンを楽しく食べた。

3)ナ形容詞の連用形

・弟はプリンを真剣に食べた。

4)動詞のテ形

・弟はプリンを黙って食べた。

5)デ格名詞

・弟はプリンを手づかみで食べた。

2.様態を表す副詞的成分と共起する語

p194

共起する語とは、一緒に使われる語

様態を表す副詞的成分は動詞と一緒によく使われます。

・弟はプリンをこっそりと食べた。

3.様態を表す副詞的成分の用法

様態を表す副詞的成分には、主体の状態も表すものがある。

・弟はプリンを一気に食べた…「一気に」は食べた様子を表す。

・弟はプリンを裸で食べた…「裸で」は食べた様子だけでなく、主体である「弟」の状態も表している。

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第6章 あり方の副詞的成分 第3節【結果を表す副詞的成分】

p195~

1.結果を表す副詞的成分とは

結果を表す副詞的成分とは、変化の結果、主体や対象が具体的にどのような状態にあるのかを表す成分

1)副詞

a.くりかえし型の擬態語+に

p195

・猫が障子をびりびりに破いた。

b.擬態語(+と)

p196

・パンがふっくらと焼けた。

c.漢語・畳語+と

・猫が丸々と太った。

d.その他

・弟が角砂糖をこなごなに砕いた。

2)イ形容詞の連用形

p196

・弟が壁を赤く塗った。

3)ナ形容詞の連用形

・弟が文字をきれいに書いた。

4)ニ格名詞

・弟が壁をピンクに塗った。

2.結果を表す副詞的成分と共起する語

p197

結果を表す副詞的成分と一緒に使われるのは「染まる」「刻む」のような主体あるいは対象の状態変化を表す動詞

・空が赤く染まった。

・生姜を丁寧に刻んだ。

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第6章 あり方の副詞的成分 第4節【程度を表す副詞的成分】

p197~

1.程度を表す副詞的成分とは

程度を表す副詞的成分とは、性質や状態を表す語と一緒に使ってその程度を限定する成分

2.程度を表す副詞的成分と共起する語

p198~

2.1 形容詞

程度を表す副詞的成分は、イ形容詞・ナ形容詞と一緒に使われることが多い。

とてもかわいい(イ形容詞)

なかなか便利な(ナ形容詞)

2.2 名詞

p199

程度を表す副詞的成分は、性質や状態を表す名詞と一緒に使われることがある。

・弟はかなりやり手だ。

時間・空間を表す名詞とも一緒に使われる。

・弟はかなり先だ。

2.3 動詞

p199~

程度を表す副詞的成分は、状態を表す動詞と一緒に使われる。

・弟の鉛筆はとても尖っている

感情・感覚を表す動詞とも使われる。

・弟はとても喜んだ

だんだん変化を表す動詞とも使われる。

・弟はずいぶん太った

2.4 副詞

p200

様態を表す副詞的成分と一緒に

・弟はとても上手に食べた。

結果を表す副詞的成分と一緒に

・弟はずいぶんこなごなにガラスを割った。

を表す副詞的成分と一緒に

・弟はとてもたくさん食べた。

頻度を表す副詞成分と一緒に

・最近、弟はかなり頻繁に納豆を食べるようになった。

3.程度を表す副詞的成分の種類

p200~

3.1 程度に加えて量を表す副詞的成分

・子猫がかなりいる。

否定と一緒に使う副詞的成分は、名詞の数量動きの量を表すことができる。

・子猫があまりいない。(名詞の数量)

・弟はあまり食べなかった。(動きの量)

3..2 比較に関わる副詞的成分

p201~

程度を表す副詞的成分には、比較構文で使われるものもある(比較構文についてはp151~参照)。

・弟は私よりかなり背が高い。

3.3 概略・概括的な程度を表す副詞的成分

p202~

100パーセントではないが近い度合いを表すもの

・弟はプリンをほとんど食べた。

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第6章 あり方の副詞的成分 第5節【量を表す副詞的成分】

p203~

1.量を表す副詞的成分とは

量を表す副詞的成分とは、名詞の数量動きの量を限定する成分

・子猫がいっぱいいる。(名詞の数量)

・プリンをたくさん食べた。(動きの量)

2.量を表す副詞的成分と共起する語

p204

量を表す副詞的成分は、動き動詞や存在動詞と一緒に使われます。

・プリンをたくさん食べた。(動き動詞

・子猫がいっぱいいる。(存在動詞

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第4部 ヴォイス 第1章 ヴォイスの概観 第1節【ヴォイスとは】

p207~

1.ヴォイスの規定

ヴォイスとは、事態の成立に関する名詞が、どのような形の動詞と、どのような格によって表現されるか。

同じ事態を様々な文型で表現できます。

・猫が弟を噛んだ。(能動文普通形の動詞と、ガ格、ヲ格で表す

・弟が猫に噛まれた。(受身文受身形の動詞と、ガ格、ニ格で表す。

・私が猫に弟を噛ませた。(使役文使役形の動詞と、ガ格、ニ格、ヲ格で表す。

2.ヴォイスの中心的な表現

p208~

ヴォイスの中心的は表現は①能動文受身文使役文

①猫が弟を噛んだ。

②弟が猫に噛まれた。

③私が猫に弟を噛ませた。

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第4部 ヴォイス 第1章 ヴォイスの概観 第2節【ヴォイスの分類】

1.中心的なヴォイス表現

1.1 受身文

p210

受身文とは、動詞の語幹に「(ら)れる」をつけて(受身形)、働きかけなどを受ける存在をガ格名詞で表す文

・弟猫に噛まれた…「噛む」を受ける存在をガ格名詞で表す。

1.2 使役文

p210~

使役文とは、動詞の語幹に「(さ)せる」をつけて(使役形)、使役主体の働きかけなどで動作主体が行う動作を表す文

・私が猫に弟を噛ませた

2.ヴォイスの関連構文

2.1 可能構文

p211

可能構文とは、動詞の語幹に「(え)る」「られる」をつけて(可能形)、可能か不可能かを表す構文

・このエレベーターはまだ人が乗れる。

・弟は人参が食べられる。

2.2 自発構文

p211~

自発構文とは、動詞の語幹に「(ら)れる」をつけて、動き思考、感情が、主体の意志と関係なく、自然に起こることを表す構文

・この曲を聞くと日本旅行が思い出される。

自発構文について詳しくはp283~

2.3 相互構文

p212

相互構文とは、「あう」が後ろにつく複合動詞によって、主体の動きが相互的であることを表す構文

・私は弟と励ましあった。

2.4 再帰構文

再帰構文とは、対象に対する働きかけが主体自身にも及ぶことを表す構文

・弟は足を組んだ…「足」への働きかけによって主体である「弟」自身の姿勢も変わっている。

・弟はパジャマを着た…「パジャマ」への働きかけによって主体である「弟」の着ているものが変わっている。

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第4部 ヴォイス 第2章 受身 第1節【受身とは】

p213~

1.受身の規定

受身とは、動作による働きかけや作用を受ける人や物を主語として文を構成すること。

受身に関連する表現についてはp252~

2.受身文の述語の形態

p214~

①Ⅰ型動詞(グループ1)

書く→書かれる

飲む→飲まれる

u→aれる

②Ⅱ型動詞(グループ2)

食べる→食べられる

寝る→寝られる

る→られる

③スル動詞および「来る」(グループ3)

する→される

来る→来られる

動詞のグループについてはこちら

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第4部 ヴォイス 第2章 受身 第2節【受身文のタイプ】

p215~

1.受身文の3つのタイプ

受身文は、何を主語とするかで、①直接受身文間接受身文持ち主の受身文に分けられる。

①弟が猫に噛まれた(直接受身文

②私は妻に浮気された(間接受身文

③弟がおじさんに足を踏まれた(持ち主の受身

2.直接受身文

p216~

直接受身文とは、能動文の補語を主語とする受身文。直接受身文で表されるのは基本的に能動文と同じ事態。

・猫が弟を噛んだ。

弟が猫に噛まれた。

日本語では話し手が事態に関与する場合には、話し手を主語にして述べる傾向にあり

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1より

上記過去問にもあるように日本語では、話し手(と近い関係にあるもの)を主語として述べる傾向にああります。

3.間接受身文

p217~

間接受身文とは、能動文に含まれていなかった人物を主語とする受身文

・妻が浮気した。

→私は妻に浮気された。

妻の浮気に「私」は関わっておらず、「私」は能動文には含まれていなかった人物

本来関わっていないはずの人物が主語になるのはなぜ?

間接的な影響を受けているから。

迷惑な間接的影響で使われることが多いため間接受身は迷惑の受身とも呼ばれます。

間接的な影響を示している点で能動文と間接受身文描く事態が異なる

4.持ち主の受身文

p218

持ち主の受身文とは、能動文の補語の持ち主を主語とする受身文。

・おじさん弟の足踏んだ。

→弟おじさん踏まれた。

「足」の持ち主である「弟」を主語にしている。

ガ格、ヲ格の2項

→ガ格、ニ格、ヲ格の3項

項が増えるという点は間接受身文と似ている。

能動文と事態が同じという点では直接受身文と似ている。

持ち主の受身は、直接受身文と間接受身文の中間的な存在。

ただし、迷惑の意味はあまり出てこないので意味的には直接受身文に近い。

・好きな人が私の頭を撫でた。

→私は好きな人に頭を撫でられた。

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第4部 ヴォイス 第2章 受身 第3節【直接受身文】

p218~

1.直接受身文の規定

p219~

有生性とは、生が有ると感じられる度合いのこと。詳しくはこちら

直接受身文とは、能動文の補語を主語とする受身文。

2.直接受身文の文型的な特徴

p220~

2.1 直接受身文の文型

直接受身文は、主語「」、能動文で主語だった名詞(動きの主体)を「

・猫が弟を噛んだ。

→弟噛まれた。

2.2 直接受身文の主語と能動文の補語との関係

[が、を]文型のヲ格名詞が主語になる例

・猫が弟を噛んだ。

が猫に噛まれた。

[が、に、を]文型のヲ格名詞が主語になる例

・弟が先生に私を紹介した。

は弟から先生に紹介された。

[が、に]文型のニ格名詞が主語になる例

泥棒がお店に入った。

お店が泥棒に入られた。

[が、に、を]文型のニ格名詞が主語になる例

おじさんが弟に道を尋ねた。

がおじさんに道を尋ねられた。

2.3 能動主体の表し方

p221~

[に]

直接受身文で能動文の主語は「に」で表される。

・猫が弟を噛んだ。

→弟が猫に噛まれた。

[が、に、を]文型のようにニ格名詞がすでに含まれており「に」が重複する場合は「から」や「によって」を使う。

・父が弟に本を渡した。

→本が父に弟に渡された×

→本が父から弟に渡された○

「作る」「掘る」のような動作の結果、何かが生まれる意味をもつ産出動詞も、能動主体を「に」で表せない。

・弟がこのおもちゃを作った。

→このおもちゃは弟に作られた×

→このおもちゃは弟によって作られた○

[によって]

p223~

「によって」は、動作の主体や原因のような意味をもつ能動主体を表す。動作の主体という意味に着目した形式。ややかたい文体で使われる。

・この絵は有名な画家によって描かれた。

感情など心的活動・態度を表す動詞の場合「によって」を使いにくい。

・弟は母愛されている○

・弟は母によって愛されている×

[から]

p224~

「から」は、移動方向性があるとき能動主体をその起点と考えて「から」を使う。

・弟から手紙が渡された。

・見知らぬ人から話しかけられた。

・弟は母から愛されている。

[そのほかの能動主体の表し方]

p225

「で」

・京都は山囲まれています。

「の手で」

・この絵は彼の手で描かれた最後の作品です。

3.直接受身文の意味

p225~

直接受身文には大きく分けて①事態の動きや状態を描き出すもの②主語の性質を述べるものの2つがある。

・弟が猫に噛まれた。(事態の動きや状態)

・この車は最新の技術が使われています。(主語の性質)

4.直接受身文のタイプ

4.1 [有情物、有情物]型

p226~

直接受身文の有情物は基本だが、動物の場合も。有情物、無情物について詳しくはこちら

・弟が猫に噛まれた。

[主語の前景化を動機とするもの]

前景とは、手前に見える景色

主語の前景化とは、主語に見える色を描くこと。事態の成立に関わる複数の人物のうち、どの人物の視点から字体を描くかという視点の選択に関わる。

能動文の主語:動作や行為を行う主体

直接受身文の主語:その他の登場人物

猫が弟を噛んだ:動作や行為を行う主体「猫」が主語

弟が猫に噛まれた:主語である「弟」の前から見える景色。

[能動主体の背景化を動機とするもの]

p228~

動作の主体が特定できない、あるいは情報的価値があまりない場合は能動主体を背景化することがある。

盗まれた宝石が帰ってきました。

「誰かが」盗んだ宝石だが誰かが特定できないので受身を使って能動主体を外す。

・弟が盗んだ宝石が帰ってきました。

誰が盗んだか分かったので能動文で表現

4.2[無情物、有情物]型

p229~

主語:無情物

能動主体:有情物

・宝石が弟に盗まれた。

[主語の前景化を動機とするもの]

話し手と近い関係の人が主語になりがちだが、無情物はそもそも人でないので、[無情物、有情物]型の主語の前景化は起こりにくい

ただし、主題を一貫させるために無情物を主語にして前景化することがある。

A:あれ? 宝石はどこ?

B:(宝石は)弟に盗まれたよ。

Aが宝石を主題にしているため、一貫させるためにBも宝石を主語にして話している。

[能動主体の背景化を動機とするもの]

p231~

[無情物、有情物]型の直接受身文では、能動主体を背景化するものが中心

動作の主体が特定できなかったり、情報が重要でなかったりするので動作の主体を外す。

・床には絨毯が敷かれていた

「誰が」絨毯を敷いたのかは重要な情報ではないので直接受け身にして能動主体を背景化

4.3[有情物、無情物]型

p232~

主語:有情物

能動主体:無情物

心理的な動詞が使われる。

・弟はアニメに取り憑かれて日本に来た。

[主語の前景化を動機とするもの]

能動文は、原因的な意味を持つ名詞が主語、その原因により心理的な影響を受ける人が補語

アニメに取り憑いている

→弟はアニメに取り憑かれている

4.4[無情物、無情物]型

p233~

主語:無情物

能動主体:無情物

通常は人を主語とする他動詞が、無情物を主語として比喩的に広がった表現

・京都は三方を山に囲まれている

[主語の前景化を動機とするもの]

p234~

2つの無情物の間に何らかの包摂関係が成り立つ場合が多い。

・京都は山に囲まれている…山が京都をとりこんでいる(包摂関係

[能動主体の背景化を動機とするもの]

p235

無情物の能動主体を主語以外の項で表現

学校のルールがカンニングを禁止している。

→カンニングは学校のルール禁止されている

「無情物の能動主体」=学校のルール

主語以外の項で」=学校のルール

※「学校のルール」が「主体」→「主語以外の項」になったことで存在感が下がっている(背景化)。

p231の「背景化」のように名詞は減っていませんが存在感が減っています。主人公(主格)ではなくなったので。これが今回の「背景化」です。「背景化」にも名詞が減る(登場人物がいなくなる)パターンもあれば、今回のように減らないが主人公から脇役になるパターンもあるということ。

5.直接受身文と自動詞

p235~

直接受身文では名詞が1つ減り、自動詞文と似た文型になることがある。

・スタッフがお店のドアを開けた…他動詞文

・お店のドアが開けられた…直接受身文(「スタッフ」という名詞が減っている)

・お店のドアが開(あ)いた…自動詞文(「スタッフ」という名詞が減っている)

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第4部 ヴォイス 第2章 受身 第4節【間接受身文】

p236~

1.間接受身文の規定

間接受身文は、対応する能動文の表す事態には直接的に関わっていない人物主語とし、話し手がその人物と事態を主観的に関係づけ、事態から何らかの影響を被っていることを表現する受身文。名詞の数が1つ増える。

2.間接受身文の文型的な特徴

p237~

2.1 間接受身文の文型

能動文に含まれていない名詞を主語として「」(実際の文中では「」が多い)

能動文で主語だった名詞(能動主体)を「

・妻が浮気した。

→私浮気された。

2.2間接受身文の主語

間接受身文の主語は、能動文が表す事態に含まれないものの、何らかの影響を受ける存在。その事態に巻き込まれて迷惑を感じる主体という意味もあるので無情物は不自然

・(私は)突然雨に降られてびしょ濡れになった◯

・このドレスは突然雨に降られてびしょ濡れになった×

2.3 能動主体の表し方

p238

間接受身文では能動主体は「」のみ。

2.4 間接受身文に含まれる事態の性質

p239~

[有情物を能動主体とする場合]

有情物の能動主体が意思的な動作をおこなっている場合

・私は妻に浮気された

・電車で隣の人に大好きなドラマの最新話をネタバレされた

「忘れる」「死ぬ」などは能動主体が意思的におこなった動作ではないが間接受身が作られる。

・彼女にデートの約束を忘れられて、弟がかわいそう。

[無情物を能動主体とする場合]

p240~

無情物に意思性は想定できないので一般に不自然。

・津波に来られて、多くの人が亡くなった×

ただし、「雨」「風」「雪」に関わる自然現象は、例外的に間接受身文が使える。

・雨に降られて、多くの人がびしょ濡れになった○

3.間接受身文の意味的な特徴

3.1 迷惑の意味

p241

間接受身文は、主語名詞にとって、事態の成立が望ましくなく、迷惑を感じていることを表すことが多い。

例外的に迷惑の意味が感じられない間接受身文もある。

・テラスで風に吹かれながら本を読むのが気持ちいい。

3.2 間接受身文の意味に関連する現象

間接受身文では、単に事実を描写するのではなく、話し手の理解を伝えるという働きを持つ。主語名詞は「は」で表されることが多い。

主題を表す「は」については現代日本語文法⑤p183~参照

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第4部 ヴォイス 第2章 受身 第5節【持ち主の受身文】

p242~

1.持ち主の受身文の規定

持ち主の受身文とは、能動文の補語(ヲ格名詞やニ格名詞で表されていた物)持ち主を主語とする受身文。

・おじさん弟の足踏んだ。

→弟おじさん踏まれた。

ヲ格名詞「足」の持ち主である「弟」を主語にしている。

ガ格、ヲ格の2項

→ガ格、ニ格、ヲ格の3項

項が増えるという点は間接受身文と似ている

能動文と事態が同じという点では直接受身文と似ている。

持ち主の受身は、直接受身文と間接受身文の中間的な存在。

ただし、迷惑の意味はあまり出てこないので意味的には直接受身文に近い

・好きな人が私の頭を撫でた。

→私は好きな人に頭を撫でられた。

2.持ち主の受身文の文型的な特徴

p243~

2.1 持ち主の受身文の文型

持ち主の受身文の主語:「が」/「は」

対応する能動文で主語だった名詞:「に」

・おじさんが弟の足を踏んだ。

→弟おじさん足を踏まれた。

・好きな人が私の頭を撫でた。

→(私)好きな人頭を撫でられた。

2.2 持ち主の受身文の主語

持ち主の受身文は、対応する能動文のヲ格名詞ニ格名詞の表す物の持ち主を主語とする。

・おじさんが弟の足踏んだ。

→弟おじさん足を踏まれた…ヲ格名詞「足」の持ち主「弟」が主語

2.3 能動主体の表し方

p244~

持ち主の受身文の能動主体は、「に」で表す。

・おじさん足を踏まれた。

3.持ち主の受身文の意味的な特徴

p245~

持ち主の受身文は、今まさに目の前で起きていることをそのまま描写するときに使われることがある。

・あっ! 弟が猫に手を引っかかれた!

4.持ち主の受身文のタイプ

4.1 接触を表す動詞による持ち主の受身文

p245

持ち主の受身文:(私は)弟に背中を押された。

直接受身文:私は弟に押された。

4.2 そのほかの動詞による持ち主の受身文

p245~

心理的な動詞ではヲ格名詞と動詞が結びついて持ち主の心理状態を表す。これが持ち主の受身文として使われることがある。

・私はそのニュースに揺さぶられた

「知る」のような認知的な動詞や「見る」のような知覚的な動詞も持ち主の受身に使われることが。

・私は世間一般には予備校講師として名前を知られている

・学校を休んだ学生は渋谷の居酒屋でクラスメートに姿を見られていた

5.持ち主の受身文と直接受身文・間接受身文との関係

p246~

5.1 文型的な側面

・①弟が②私の足を、踏んだ。(能動文)

・①私の足は②弟に、踏まれた。(直接受身文)

・①私は②弟に③足を、踏まれた。(持ち主の受身文)

持ち主の受身では名詞が1つ増えている。この点で間接受身と近い関係。

5.2 意味的な側面

p247~

持ち主の受身文は、事態をどの視点から描くかに関わるという点で直接受身文と意味的に似ている。

・弟が私の足を踏んだ。(能動文)

・私の足は弟に踏まれた。(直接受身文)…私の足から事態を描写

・私は弟に足を踏まれた。(持ち主の受身文)…私から事態を描写

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受身が出題された日本語教育能力検定試験の過去問

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(10)【直接受身文における動作主の表示形式】

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(15)【「れる・られる」の用法】

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(3)私はその映画に深く感動された。】

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1【ある事態をどのように描くか】

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本日の問題の答え

【 】内に示した観点から見て、他と性質の異なるものを1つ選べ。

(7)【受身文のタイプ】p215~参照

1 田中が山田に殴られた。

2 知らない人に話しかけられた。

3 夫に浮気された。

4 母に褒められた。

5 弟が先生に呼ばれた。


対応する能動文に戻してみる。

1 田中が山田に殴られた。←山田が田中を殴った。

能動文のヲ格名詞が主語になっているので直接受身文

2 (私は)知らない人に話しかけられた。←知らない人が私に話しかけた。

能動文のニ格名詞が主語になっているので直接受身文

3 (私は)夫に浮気された←夫が浮気した。

「私」という能動文に含まれていない名詞を主語にしているので間接受身文

4 (私は)母に褒められた。←母が私を褒めた。

能動文のヲ格名詞が主語になっているので直接受身文

5 弟が先生に呼ばれた。←先生が弟を呼んだ。

能動文のヲ格名詞が主語になっているので直接受身文

よって、答えは3

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