令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5の正答率
問1の解き方【生教材】
生教材については、平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6の解説で説明しています。
生教材とは、実際に母語話者が生活の中で利用しているものを教材にすることです。
よって、答えは3
生教材の特性については平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問4でも問われていますので見ておいてください。
問2の解き方【全体的な趣旨を聞き取る練習の例】
主旨とは、文章・話などの言おうとしていることの中で、最も中心となる事柄(スーパー大辞林3.0より)。
主旨を聞き取るのはスキミング
一方で、自分が欲しい情報だけを聞き取るのがスキャニングです。
スキミングは相手の言いたいことをざっと理解する。相手(対象)のことを考える。
スキャニングは自分に必要な情報をざっと探す。自分のことを考える。
選択肢1
相手の主張したいことを考えているのでスキミング。全体的な主旨を聞き取る練習です。
選択肢2
「傘が必要かどうか」という自分の必要な情報を探しています。スキャニングです。
選択肢3
「時間通りに目的地に着けるか」という自分に必要な情報を探しています。スキャニングです。
選択肢4
「インターシップに参加できるか」という自分に必要な情報を探しています。スキャニングです。
よって、答えは1
問3の解き方【イラスト】
選択肢1
思考動詞「思う」等と推量動詞「だろう」の違いをイラストで示すのは難しいです。
どちらも何かを思い浮かべている絵になってしまいます。
選択肢2
イラストを見ることで、学習者が既に持っていた知識を活性化し、内容の理解を促進することができます。
スキーマの活性化ですね!
スキーマの活性化は日本語教育能力検定試験によく出ます。
選択肢3
この本のようにイラストを記憶に結びつけることはできます。
選択肢4
こちらのイラストのように人の心理状態も示すことができます。
よって、答えは2
問4の解き方【対面聴解の練習】
対面聴解という言葉を知らなくても、「対面」と「聴解」という言葉の意味から推測できます。
対面とは、①顔を合わせること②互いに向かい合うこと(スーパー大辞林3.0より)。
聴解とは、文章を聞き取り、その内容を理解すること。
対面聴解とは、向き合って、一人が話し、もう一人が聞き取りその内容を理解すること。
よって、答えは3
選択肢4が間違いな理由
選択肢4のように聞き取った文字を書く作業のことをディクテーションと言います。
ディクテーションは、聞いた内容を理解していなくてもできます。
例えば「ぽむちょーぷくん」と聞き取れればそれをそのまま書くことはできますね。
ですがタイ語を知らないみなさんは、その内容がわかりますか??
「ぽむちょーぷくん」は「私はあなたが好きです」という意味です。
このようにディクテーションは内容を理解していなくてもできるので聴解とは言えません。
問5の解き方【覚えたほうがよい語や表現を定着させる練習】
選択肢1
リピートして覚えさせるのは昔からあるやり方ですね。
選択肢2
推測した後、正解と照合することで、覚えた方がよい語や表現に注意が向けられ、定着しやすくなります。
選択肢3
後作業では「本作業」に関連したことを扱います。
「初めて聞く話」は後作業としてふさわしくありません。
また、母語で言わせても、日本語の「語や表現」とは異なりますので、
語や表現を定着させる練習としても不適切です。
選択肢4
一度ロールプレイした後、モデルを聞いて、再度ロールプレイすることで、覚えた方がよい語や表現に注意が向けられ、定着しやすくなります。
よって、答えは3
聴解授業の後作業については平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5の資料や問4を見ておいてください。