スキーマとは【形式スキーマと内容スキーマの違い】

日本語教員試験・日本語教育能力検定試験の対策
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スキーマとは?

スキーマとは、過去の経験に基づいて作られた心理的な枠組み。抽象的な知識構造。

例えば、「ボール」と言われると過去の経験から「丸いもの」がイメージされます。

これがスキーマです。

スキーマは、形式スキーマ内容スキーマにわけられる。

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形式スキーマとは?

形式スキーマとは、文法、表現方法、接続詞の使い方など言語形式の体系的構造に関する知識

英語では、formal  schema

例えば、話題を変える時に「ところで」を使うというのは形式スキーマです。

言語学習における「形式スキーマ」とは、テキストの構造や、言語が使用される際の一般的な形式に関する知識や理解の枠組みを指します。これは、文章や会話における一般的な構成やパターン、表現形式、文法的な特徴などに関する知識であり、学習者がテキストの内容を理解する際に役立つものです。形式スキーマは、文章の種類や場面に応じて、情報がどのように構成されるかを予測し、効率よく理解する手助けとなります。

形式スキーマの役割

形式スキーマは、文章や会話の形式や構造を理解するために役立ち、以下のようなサポートを提供します:

  1. 構造の予測:形式スキーマがあることで、異なる文書の構成や順序を予測しやすくなり、情報がどのように提示されるかの期待値が明確になります。
  2. 形式への適応:一般的な形式やパターンを理解していると、言語学習者は新しいトピックや複雑な内容でも、形式に頼って理解しやすくなります。
  3. 速読の助け:形式スキーマがあると、文章の要点や重要な情報がどの部分に含まれるか予測しながら読むことができ、効率的に理解が進みます。

形式スキーマの例

たとえば、「ニュース記事」には「見出し→導入(リード文)→詳細」という一般的な構造があり、これが形式スキーマにあたります。このスキーマを持っていると、ニュース記事を読む際、冒頭で概要を把握し、次に詳細な説明が来ることを予測しながら読むことができます。

また、「Eメール」では「挨拶→要点→締めの言葉→署名」という形式スキーマが一般的であり、学習者がこのスキーマを持っていれば、Eメールの各部分にどのような情報が来るかを理解しやすくなります。

形式スキーマの活用

教師が形式スキーマを活用すると、学習者が様々なテキストや会話形式に適応しやすくなります。たとえば、特定のジャンルの文章を読む前に、その形式スキーマを紹介することで、学習者が内容を予測しやすくし、効果的な理解を促進することができます。

過去に出題された形式スキーマの具体例

談話展開に関する知識平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問4)

修辞や文章の構造についての知識令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1)

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内容スキーマとは?

内容スキーマとは、書かれている情報の内容に関する背景知識。

英語では、content schema

言語学習における「内容スキーマ」とは、学習者が既に持っているテーマやトピックに関する知識や理解の枠組み(スキーマ)を指します。これは、特定のトピックや分野に関しての事前知識や文化的な背景、経験からなる情報の構造です。内容スキーマは、テキストや会話の内容を理解するための「土台」となり、新しい情報をより効果的に処理する手助けをしてくれます。

内容スキーマの役割

内容スキーマは、文章や会話の内容を理解する際に、以下のような役割を果たします:

  1. 予測の助け:事前に知っている知識があることで、次にどのような情報が出てくるかを予測しやすくなり、理解がスムーズになります。
  2. 重要な情報の識別:内容スキーマがあると、重要なポイントや関連性を把握しやすくなり、重要でない部分を無視しやすくなります。
  3. 理解力の向上:内容スキーマがあることで、わからない単語や構文があっても、全体の流れや文脈から意味を推測しやすくなります。

内容スキーマの例

例えば、英語を学ぶ際に「レストランでの注文」というテーマの内容スキーマがある場合、メニューの読み方、注文の仕方、定番の会話フレーズ(例:「What would you like to order?」など)をある程度予測しながら理解することができます。これによって、実際の会話や文章の理解がしやすくなり、学習者は余裕をもって新しい表現を学ぶことができます。

内容スキーマの活用

教師が内容スキーマを活用して、学習者が既に持っている知識と関連づけながら授業を進めたり、テキストを選んだりすることで、学習者の理解を助け、学習の効果を高めることができます。

過去に出題された内容スキーマの具体例

・読み物のトピックに関連した事項や、背景に関する知識(令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問3)

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形式スキーマと内容スキーマの違いとは?

内容スキーマと形式スキーマの違いは試験Ⅲ問題17の記述問題で考えるとわかりやすいかもしれません。

記述問題の構成に関する知識は形式スキーマです。

例えば

①簡潔に問いに応える

②反対説に配慮する

③自説を具体的に補強する

④まとめ

このような文章構成に関する知識は形式スキーマです。

実際の記述答案に形式スキーマは現れません。内容ではないからです。

一方で以下はどうでしょうか。

・がくせいの漢字は「学生」と書く(文字に関する知識)。

・短期的な情報の保持と情報処理に用いられる記憶のことをワーキングメモリという(専門用語に関する知識)。

・日本ではお土産を渡すときに「これ、とても高級なものです」とは言わない(文化・社会に関する知識)。

これらは実際に記述答案に書く「内容」です。

内容スキーマです。

弁当箱をイメージしてください。

箱=形式スキーマ

中身=内容スキーマ

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スキーマが出題された日本語教育能力検定試験の過去問

令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問3【内容スキーマ】

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1【形式スキーマ】

令和2年度 日本語教育能力検定 試験Ⅰ問題10スキーマ活性化

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問4選択肢1【聴解になっているためスキーマが活性化しない?】

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問4【形式スキーマに該当するもの】

平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問1【スキーマの一種であるスクリプトの例】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2選択肢1【形式スキーマと内容スキーマ】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3問2選択肢1【イメージ・スキーマ】

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