【過去問解説】日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9【平成28年度】2016年

H28試験Ⅰ

※この解説は日本語教師になる前に書いたものです。今年の試験前までに書き直します。

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9は、【文章理解の過程】です。

問1「ワーキングメモリ」に関する問題です。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは、思考や判断などの際に必要な情報を一時的に保持・処理する記憶機能。短期記憶の一種とされる(スーパー大辞林3.0)。

1,目や耳から入ってきた情報を1/2秒程度保持する記憶というのは、感覚記憶のことでしょうか。 

「短期的な情報の保持と情報処理に用いられる」
4が正解であると思料します。

問2「推論」の一種である「橋渡し推論」に関する問題です。
橋渡し推論については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11【言語理解の過程】などで出題されています。


日本語教育能力検定試験に合格するための用語集

日本語教育能力検定試験に合格するための用語集78頁によると、
橋渡し推論は、明示的には述べられていない部分を埋める推論。
精緻化推論は、読んだり聞いたりした内容を深く理解するための推論。

1,「花瓶を落とした」→「弁償することになった」
明示的には述べられていない部分である「花瓶は割れた」を推論で理解していますので、橋渡し推論であると思料します。
よって、正解は1です。

問3 文章の理解度に関わる「読みの過程で行われるモニタリング」に関する問題です。
で、「読みの過程で行われるモニタリング」という言葉がしっくり頭に入ってこず、この問題は少し悩みました。
よくわからないので、キーワードに注目しました。モニタリング。
モニタリングとは、状況を監視すること(スーパー大辞林3.0)。
ということは、監視以上のことをしている、選択肢3と選択肢4が消去できます。
また、自分が外国語の文章を読むときのことを考えてみるに、いちいち「文章中の表現を母語と比較して、違いや類似点を確認」したりはしないな、と思い至りました。
よって、2が正解であると思料します。

問4
形式スキーマと内容スキーマについては、
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】でも問われています。

『研究社日本語教育事典』105Lによると、
形式スキーマ(フォーマルスキーマ)は、テキスト形式、修辞、構造に関する知識。
内容スキーマ(コンテントスキーマ)は、テキスト内容の背景知識。

1,談話展開といえば、会話の組み合わせ(構造)が思い浮かぶので、形式スキーマではないかと存じます。

2,文字に関する知識。
例えば、「被告」という文字に関しては、訴えられた人という意味だな、という知識があります。テキスト内容ですから、内容スキーマではないかと存じます。

3,専門用語に関する知識。
例えば、「被告」という言葉に関して、法律用語としては民事訴訟で訴えられた人のことであり、刑事訴訟では「被告」である、という専門用語に関する知識は、テキスト内容に関することなので、内容スキーマではないかと存じます。

4,文化・社会に関する知識
マスコミが刑事「被告人」のことを「被告」と呼ぶため、「被告」=犯人、悪い、というイメージが社会に浸透してしまい、民事で訴えられた人が「なんで私が被告なんですか!私は潔白です!」と裁判官に怒りを表している場面を見たことがあります。誰でも過失がなくても民事で訴えられれば「被告」になりうるのに、日本の文化・社会では「被告」は悪い、という認識なんですね、というような文化・社会に関する知識は、テキスト内容の背景知識なので、内容スキーマといえるのではないでしょうか。

以上より、正解は1であると思料します。

問5「ボトムアップ的な読み」を行う際のストラテジーの例として不適当なものを選ぶ問題です。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』247頁の図がとても分かりやすいです。同本246頁によると、

トップダウン処理では、理解対象の周辺的な情報(文章のタイトルや挿絵、会話の相手の表情や場の状況など)から、理解に先立ち予測や推測を行い、理解の過程でその仮説検証を行い、それが正しかったかどうかの照合(マッチング)を行う。

ボトムアップ処理では、理解対象の中に含まれる部分的な情報(文字、音声、語句、文など)から理解を進め、その理解を積み重ねて情報全体を理解しようとする。

母語話者は、トップダウン処理とボトムアップ処理を無意識のうちに適切に使い分けており、これを補償モデルという。

3はスキミングです。ボトムアップ的な読みではないと存じます。
よって、3が正解です。

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