【過去問解説】平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8【2016】異文化適応

H28試験Ⅰ
LINE友だち募集中!
はまをフォローする
スポンサーリンク
LINE友だち募集中!
はまをフォローする

問1の解き方【Uカーブ仮説】

選択肢1

短期の滞在者は、「ハネムーン期」のみの体験で終わることもあります。

選択肢2

新たなカルチャーショックを受ければ山と谷を繰り返すこともあります。

選択肢3

カーブの形は異文化と自文化の違いの大きさによって異なります。

自分の文化と同じような文化であればカルチャーショックは小さいです。一方、自分の文化と全然違う文化だとカルチャーショックは大きいです。例えば、人を殺すことが推奨されているような文化であれば、「人を殺してはいけない」という常識と違いすぎてとても強いカルチャーショックを受けます。

選択肢4

カーブの形は、年齢や性別などの個人的要因の影響を受けます。

例えば、精神的に不安定になる思春期や新しいことを受け入れることが難しい高齢者はカルチャーショックが大きく異文化適応が難しいとされています。

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問1選択肢1に似た記述がありますので確認しておいてください。

また、性別差もあります。

例えば、タリバンが支配するアフガニスタンでは女性の権利が著しく制限されているため、女性の方がより大きなカルチャーショックを受けるでしょう。

よって、答えは3

詳しくは下の記事をどうぞ。

スポンサーリンク

問2の解き方【カルチャーショック】

選択肢1

同じ言語文化圏でも文化が違えばカルチャーショックは起こります。例えば、フランスとアフリカのフランス語圏の国とか。

選択肢2

カルチャーショックを避けるには、家に引きこもり誰とも関わらないようにするしかありません。母国にいても違う文化の人と接すればカルチャーショックが起こる可能性はあるからです。非現実的です。

選択肢3

不眠や食欲不振などのの身体症状はカルチャーショックに含まれます。

選択肢4

カルチャーショックは、異文化でのストレスの蓄積により、徐々に現れることが多いです。

よって、答えは4

スポンサーリンク

問3の解き方【リエントリー・ショック】

明らかに一つ変なのがあるので落としたくない問題です。

3 外国滞在中の自身の価値観の変化に気づいていること

自分の変化に気づいていれば、自分を客観視でき、リエントリーショックに備えることができます。「リエントリー・ショック」が起きる理由になりません。

よって、答えは3

スポンサーリンク

問4の解き方【ストレスを除去したり緩和したりすること】

選択肢1

コーピングとは、ストレスに対処するための行動。コーピングによってストレスを除去したり緩和したりします。

コーピングの例1)「自分頑張ってるよ!」と自分を応援する。

コーピングの例2)眠い時は寝る。好きな物を食べる。

選択肢2

アフォーダンスとは、物は、その形や材質などによって、その使い方を説明しているという考え方

アフォーダンスの例)ドアノブを見た場合、回して引くか押すかすればいいとわかります。

選択肢3

フィルタリングとは、選別し、不要なものを取り除くこと。

フィルタリングの例)青少年が有害なウェブサイトにアクセスしないように制限する。

選択肢4

コンコーダンスとは、聖書や特定の作家の用語索引。コンコルダンスとも。

例)シェイクスピアのコンコーダンス

よって、答えは1

スポンサーリンク

問5の解き方【ソーシャルサポート】

選択肢1

ソーシャルサポートは周りの人からの援助なので、出身国や異なる友人による援助もソーシャルサポートになります。

選択肢2

出身国が同じ友人による渡航直後の援助もソーシャルサポートになります。

選択肢3

ソーシャルサポートは、「情緒的サポート」「道具的サポート」「情報的サポート」「評価的サポート」に分けられます。

選択肢4

親や兄弟など家族による援助もソーシャルサポートの一種です。

よって、答えは4

スポンサーリンク

以下は日本語教師になる前に書いた解説です。

※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。

※この解説は日本語教師になる前に書いたものです。今年の試験前までに書き直します。

どこよりも早い解答速報
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題8は、【異文化適応のプロセス】です。

問1 「Uカーブ仮説」に関する問題です。
3,カーブの形は、異文化と自文化の違いの大きさによって異なるだろうから、3が正解であると思料しました。

問2「カルチャーショック」に関する問題です。
過去には、平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11【カルチャーショック】などで問われています。

1,同じ言語文化圏への渡航では、カルチャーショックは起こりにくい。
→平成24年は「同じ言語を使用する国に行った場合には生じることはない」と言い切っていたので簡単だったのですが、今年はぼかしてきました。
しかしそれでも、フランス人がアフリカのフランス語圏に渡航した場合など、カルチャーショックは起こりにくいとはいえないでしょうし、アメリカ人とイギリス人も互いにカルチャーショックを受けそうですし、言語が同じだからこそ文化も同じ感覚になってしまって、実際違ったときのショックが大きいのではないかと存じます。

2,適応に支障をきたすため、なるべく経験しないよう避けるのがよい。
→避けようと思って避けられるものではありませんし、「Uカーブ仮説」によれば、ショック期のあとは、回復期が待っていますから、適応に支障をきたすとはいえないと思います。

3,不眠や食欲不振などの身体症状も、カルチャーショックに含まれると存じます。

4,異文化下でのストレスの蓄積により、徐々に現れることが多い。
→「Uカーブ仮説」によれば、移動直後の短い初期ショックの後、「ハネムーン期」に入り、時間が経つにつれて、「ショック期」に移行します。とすれば、この選択肢が正解でしょうか。一つ気になるのは、Uの字は「一気に」落下しているので、「徐々に」とは言えないのではないかという点です。しかし、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』218頁によれば、「ハネムーン期」は一週間程度の海外旅行、何もかもが楽しい、とありますし、私が長期滞在していたタイにおいても、短期旅行者は皆楽しそうにしていますが、沈没組など滞在が長くなってくるとストレスが蓄積して「ショック期」に入っている方もおられましたので、やはり4が正解であると思料します。

問3「リエントリー・ショック」に関する問題です。
1,外国滞在中の自身の経験に、母国の人々が興味を示さないのは、寂しいことですが、リエントリー・ショックとは関係ありませんので、1が正解であると思料します。

追記)
アルク、大原、ヒューマンアカデミー、いずれも正解を3としているので、改めて考えましたところ、私はリエントリーショックというものについて誤って理解していたようです。
母国の人々が興味を示さないのは、予想外でそれもリエントリーしたときのショックだから、リエントリーショックなのですね。
一方、自身の価値観の変化に気づいていたら、ショックはあまり受けないんじゃないかということでしょうか。
正解を3に訂正します。

問4
1,コーピングとは、ストレスを評価し、対処しようとすること(スーパー大辞林3.0)。

2,アフォーダンスとは、環境の意味や価値は認識主体によって加工されるのでなく、環境からの刺激情報のうちにすでに提供され、固有の形をとっているという思想(スーパー大辞林3.0)。

3,フィルタリングとは、選別し、不要なものを取り除くこと(スーパー大辞林3.0)。

4,コンコーダンス(コンコルダンス)とは、聖書や特定の作家の用語索引(スーパー大辞林3.0)。

以上より、1が正解であると思料します。

問5「ソーシャルサポート」に関する問題です。
スーパー大辞林3.0によると、
ソーシャルサポート(社会的支援)とは、ある個人が社会的ネットワークから受けるさまざまな形の支援・援助。問題解決のために必要な資源を提供する(お金を貸す、情報を提供する、仕事を手伝うなど)道具的サポート、情緒面に働きかける(共感する、慰める、勇気づけるなど)情緒的サポートなどがある。

ソーシャル・サポートは、平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10【留学生アドバイジング】でも出題されています。

1, 平成26年度試験Ⅰ問題10の問4にも同じ問題がありました。他国出身者も留学生へのサポートの与え手となりえます。

2,渡航直後もソーシャルサポートになると思います。

3,ソーシャルサポートは、情動的サポート道具的サポートに大別されるそうです。各用語に意味は、平成26年度解説をご参照ください。

4,親や兄弟など家族による援助も、ソーシャルサポートの一種かと存じます。

以上より、正解は4と思料します。 

タイトルとURLをコピーしました