[スキーマ活性化]令和2年度 日本語教育能力検定 試験Ⅰ問題10の解説

R2試験Ⅰ

令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題10【スキーマの活性化】の解説です。

でました。スキーマ活性化!

これも日本語教育能力検定試験の大好物ですね。

直近では令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問4の選択肢1などに出てきています。

問題10は、問2と問5が難しかったようです。

解答速報では問2は、3校の答えが2、2校の答えが4でした。

答えが割れているので、できなくても気にしなくていい問題です。

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問1 スキーマの活性化とは?

「活性化」と言えば「スキーマ」

と覚えてください。

スキーマとは、それに関連して覚えている色々なことです。

例えば、「ボクシング」という文字を読むと、

「ボクシング」に関連するイメージが脳の中にいろいろ浮かぶと思います。

それがスキーマの活性化です。

「ボクシング」に対するイメージは男ですが、次の文で「彼女」と出てくるので、イメージの修正をしなければならなくなります。そのため、「彼女」にすると読み時間が長くなります。

彼女?

あ、ボクシング選手=彼女か

このようにして1文目と2文目が結び付きます。

文と文との間に結束関係が築かれたことになります。

結束関係とは、文と文が結びついている関係のこと。

よって、答えは3

他の言葉もチェックします。

包摂関係とは、「動物」と「鳥」のように、一方が他方を含んでる関係(「鳥」は「動物」に含まれている)。

包摂関係は、問題5の問3で出てきました。

レシキームとは、形は違うけど同じ言葉と思える語のまとまり。語彙素(ごいそ)とも。例えば、「こども」と「こどもたち」は同じ語彙素としてまとめられます。

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問2 精緻化推論とは?

推論とは、文に書かれていないことを推測すること。

橋渡し推論と精緻化推論があります。

橋渡し推論とは、文(語)と文(語)を結び付けて書かれていないことを推測。まとまった文章の理解に不可欠な推論。

橋渡し推論については、平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2で出題されています。

平成28年度の選択肢1

・花瓶を落としたので弁償することになった。

「花瓶が割れた」とは書かれていませんが

「花瓶を落とした」→「弁償することになった」

という文から「花瓶が割れた」を推測。これが橋渡し推論

精緻化推論とは、文章から読み取り理解した内容を、すでにある知識と関連付けて、より理解を深めていく推論。文章を理解した後にする推論。

橋渡し推論は、文章を理解する時。読解中なのでオンライン推論

精緻化推論は、文章を理解した後。読解後なのでオフライン推論

選択肢1

「二つの文を原因と結果で関係づける」のは、例えば平成28年度の選択肢1「花瓶を落としたので弁償することになった」です。

「①花瓶を落とした②弁償することになった」のような2つの文から、

書かれていない「花瓶が割れた」を推論します。

①の文を「花瓶が割れた」原因

②の文を「花瓶が割れた」結果

と関係づけます。

読解中に書かれていないことを推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢2

「未知語の意味を推測」するには、他の知っている言葉を結び付けて知らない言葉の意味を推測します。

例えば、皆さんは「アップナーム」という言葉を知っていますか?

知らない人は「アップナーム」の意味を考えながら次の文章を読んでください。

「私はアップナームが大好きで、毎日、朝と夜にアップナームしています。でも、今は三日もアップナームしていません。給湯器(きゅうとうき)が壊れて水しかでないから寒すぎてアップナームできません。夏だったら、水でもアップナームできるけど、冬はちょっと。髪の毛がベタベタする。体も匂いが気になる。香水でごまかしているけれど、そろそろアップナームしていないことが周りの人にばれるかも…」

みなさん

「アップナーム」の意味は分かりましたか?

「アップナーム」はタイ語で「シャワーを浴びる」です。

タイ語を知らないのに分かった人はいますか?

どうしてわかりましたか?

他の知っている語を結び付けて、未知語「アップナーム」の意味を推測しましたね。

書かれている文章を理解する時に推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢3

「文章の大意を把握する」のは、書かれている文章を理解する時に推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢4

「文章のこの後の展開を予測する」のは、書かれている文章を理解した後に推測するので、精緻化推論です。

よって、答えは4

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問3 照応とは?

照応も日本語教育能力検定試験が大好きな言葉ですね。

直近では、令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6の選択肢2で「前方照応」というキーワードが出てきます。

照応とは、代名詞(彼、彼女…)や指示詞(これ、それ…)を使って、他の物を指すこと。

例)私は今日、Aさんとデートの約束をしていたが、彼女は現れなかった。

上の文章の「彼女」は、「Aさん」を指しています。これが照応です。

日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版だとp162に説明があります。

例文でいえば、「彼女」が「そのボクシング選手」をさしているのが照応です。

よって、答えは2

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問4 メトニミーの例

来ましたね。メトニミー。

こちらも日本語教育能力検定試験の大好物です。

メトニミーとは、「鍋を食べる」の「鍋」で「鍋の中身」を指すなど、近い関係にあるものでいうこと。換喩(かんゆ)とも。

メトニミーなど比喩は日本語教育能力検定試験で毎年のように出題されるので下の動画でよかったら確認してください。

選択肢1

「ジョッキの中のビール」を「ジョッキ」という近い関係にあるもので表しているので、メトニミーです。

選択肢2

花という上位語で桜という下位語を指すのは、シネクドキ―です。

選択肢3

約束は本来破れませんが、破るのイメージで言っているので、メタファーです。

選択肢4

パンに耳はありませんが、耳のイメージで言っているので、メタファーです。

よって、答えは1

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問5 理解補償方略とは?

日本語教育能力検定試験は大好物を何度も何度も提供してくるのですが、

さすがに全く同じだと飽きるので、味付けを微妙に変えてきます。

方略とはストラテジーです。

ストラテジーとは工夫です。

なので、問い5は文章を読むときの工夫が聞かれています。

ストラテジーは日本語教育能力検定試験でとてもよく出てきますが、

このように手を変え品を変え言葉を変えてきますので、単純に暗記するだけでは対応できません。

自分の頭で理屈を考えて理解することが大切です。

今回の「理解補償方略」「内容理解方略」「理解深化方略」という言葉は初めて試験で見ました。

分からない言葉は、漢字や問題の文章から意味を推測します。

橋渡し推論です。

理解補償方略とは、理解できなかった所を補うための工夫。部分理解方略とも。

例)分からない所はゆっくり読む。もう一度読む。

内容理解方略とは、テキスト全体の内容を理解するための工夫。内容学習方略とも。

例)大切なところに線を引く。内容をまとめてメモする。

理解深化方略とは、理解を深くするための工夫。文章の構造に注目して読む。

例)接続詞に注目して読む。

文章理解方略(読解方略)について、詳しくは犬塚美輪著『説明文における読解方略の構造』及び『読解方略の指導』参照

説明文における読解方略の構造』では、読み手の使用傾向をもとに読解方略の構造を検討しています。

読解方略を分析し7カテゴリを3つの因子にまとめ、それをさらに「読解方略使用傾向」としてまとめています。

具体的な方略は、『説明文における読解方略の構造』27ページ~『読解方略の指導』163ページ~にあります。以下の表にまとめました。

3つの方略
因子
7つの方略
下位カテゴリー
方略例
理解補償方略
(部分理解方略)
意味明確化方略・各文は簡単に言うとどういうことかを考えながら読む
・集中して読む
・難しい文は、自分の言葉でかみ砕いて言い直しながら読む
・どういう意味かをはっきりさせながら読む
・難しい言葉は自分の言葉で言い直す
理解補償方略
(部分理解方略)
コントロール方略・分からないところはゆっくりと読む
・どれくらい難しいかを判断して読むスピードを調節する
・分からなくなったら、どこから分からなくなったのかを考え、そこから読み直す。
一度読んだだけでは理解できないときは、もう一回読んで理解しようとする
・時々読み進むのをやめて、それまでに読んだ内容を思い出す
・意味が分からないところや難しいところを繰り返し読む
内容理解方略
(内容学習方略)
要点把握方略・コメントや内容をまとめたものを書き込む
・段落ごとのまとめ(要約)を書く
・大切なところを書きぬく
内容をまとめるために簡単な表や図を書く
・大切なところに線を引く
・読みながら大切なところとそうでないところを区別する
内容理解方略
(内容学習方略)
記憶方略・難しい言葉や内容は理解しないで丸暗記してしまう。
・覚えるために繰り返し読む
・大切な文は考えずにそのまま覚えようとする
・大切な言葉を覚えようとする
内容理解方略
(内容学習方略)
質問生成方略
(モニタリング方略)
・自分がどのくらいわかっているかをチェックするような質問を自分でしながら読む
・読み終わってから、自分がどのくらい分かっているかチェックするような質問を自分にする
・知らない字や言葉を探して読む
・読みながら内容が正しいか考える
・先生ならどういう質問をするか考えながら読む
理解深化方略構造注目方略・どことどこが対応しているかを考えながら読む
・接続詞(しかし、そして、つまりなど)に注目しながら読む。
・意味段落に分けて考える
・次にどういう内容がかかれているかを予想しながら読む
文章の組み立て(構造)を考えながら読む
・題名を考える
・文脈から全体像を予測する
理解深化方略既有知識活用方略・既に知っていることと読んでいる内容を結び付けようとしながら読む
・自分が今まで知っていることと比べながら読む
・具体歴な例を挙げながら読む
・新しい言葉を覚えるために具体的な状況を思い浮かべる
犬塚美輪著『説明文における読解方略の構造』27頁

選択肢1

「文章中の出来事を図や表で整理する」のは、テキスト全体の内容を理解するためなので、内容理解方略です。

選択肢2

「段落ごとに、中心文と支持文を抜き出す」のは、文章の構造に注目した読み方なので、理解深化方略です。

なお、

中心文とは、そのパラグラフの中心となる文。トピック。英語でTopic sentence
支持文とは、中心文を支える文。中心文を詳しく説明する文。英語でSupporting sentence

説明を読むより問題をやるほうが頭に定着しますので問題です。

問題)以下の文章のうち、中心文と支持文はどれですか?

「猫は飼いやすい。家の中で飼えるし、散歩しなくていい。犬のようにうるさく吠えることもない。」

中心文:猫は飼いやすい

支持文:家の中で飼えるし、散歩しなくていい。犬のようにうるさく吠えることもない。

選択肢3

「わからなかった所に戻って読み直す」のは、理解できなかったところを補うための工夫なので、理解補償方略です。

選択肢4

「調べる」のは読解の方略(読み方の工夫)ではありません。

よって、答えは3

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