[国語と日本語の違い]令和2年度 日本語教育能力検定 試験Ⅰ問題3Dの解説

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令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題3D【学校文法と日本語教育文法】の解説です。

日本人が学ぶ国語と外国人が学ぶ日本語の違いです。

今年は文法の違いでした。

日本語と国語の違いは令和元年にも出ています。

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(16) 学校文法のベースになった文法論を書いた人は誰?

形態を重視した学校文法は誰の文法論をベースにしたのか?

これはできなくてもいいと思います。いろんな人の名前を覚えるよりも文法の教え方などを学んだ方が日本語を教える時に役立ちます。

人の名前を覚えるよりもその人の書いた本が読みたい

選択肢1 山田孝雄(やまだよしお)

副詞分類の基礎。副詞の3分類(状態・程度・陳述)。『日本文法学要論

選択肢2 橋本進吉(はしもとしんきち)

学校文法は橋本文法を簡単にしたもの。形態重視

選択肢3 三上章(みかみあきら)

『象は鼻が長い』の人。主語は認めない。

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選択肢4 時枝誠記(ときえだもとき)

今年ついに文庫本が出ました。キンドルも!

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言語過程説が有名。選択肢の一つとして平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題15問1に出ましたね。詳しくはそちらを参照ください。

以上の通り、学校文法は、橋本進吉さんの文法論をベースにしています。

よって、答えは2

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(17) 学校文法における語の形態や品詞の扱い方

語の形態や品詞を学校文法ではどう考えるのかという問題。

選択肢を見ていきましょう。

選択肢1 自立語の意味

学校文法で活用を持つ語を用言と言います。

用言とは、活用する語。動詞、形容詞、形容動詞

自立語とは、単独で文節を作れる語。動詞、形容詞、形容動詞、名詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞の8品詞。

付属語とは、単独で文節を作れない語。助詞と助動詞の2品詞。

文節とは、「ね」や「よ」を入れて自然に区切れるもの。

例)彼は猫が好きだ。

  彼はね/猫がね/好きだよ

  「彼は」「猫が」「好きだ」が文節

選択肢2 指示詞の品詞

学校文法において、品詞は10種類です。

動詞・形容詞・形容動詞・名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞・助動詞・助詞

指示詞(これ・それ・あれ等)の品詞は名詞です。

選択肢3 品詞と文節の関係

文節で区切った単位からさらに、自立語付属語という2種類の品詞に区切ることができます

例)「彼は」「猫が」「好きだ」の3文節を

  「彼(名詞)」「は(助詞)」「猫(名詞)」「が(助詞)」「好き(形容動詞)」「だ(助詞)」6つの品詞にわけることができます。

選択肢4 動詞を語幹と活用語尾に分ける

日本語教育の文法では動詞を活用形ごとに教えます。語幹と活用語尾をわけません。

日本語教育の活用形ナイ形マス形辞書形バ形命令形
書かない書きます書く書けば書け

一方、学校文法では、動詞を語幹と活用語尾に分けます。

学校教育の活用形未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
語幹
活用語尾か・こ
あとに続く語ない・うますとき

よって、答えは4

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(18) 日本語教育の辞書形を学校文法で何という?

(17)の表のとおり、

日本語教育文法の辞書形「書く」は、

学校文法の終止形連体形で登場しています。

よって、答えは1

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(19) 単独で使えない学校文法の活用形とは?

選択肢1 動詞の命令形

(17)の表で見た通り、動詞「書く」の命令形は「書け」なので単独で使えます。

選択肢2 動詞の未然形

(17)の表で見た通り、動詞「書く」の未然形は「書か」あるいは「書こ」なので単独で使えません

選択肢3 形容動詞の終止形

終止形は終わる時の形なので形容動詞で終わる文を考えてみます。

例)君はきれいだ

終止形は「きれいだ」なので単独で使える形です。

選択肢4 形容動詞の仮定形

仮定形は後ろに「ば」が続く形なので、「ば」が続く文を考えてみます。

例)きれいならば、会いに行こう。

仮定形は「きれいなら」なので単独で使える形です。

よって、答えは2

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(20) 日本語教育文法と学校文法の活用の体系の違いとは?

選択肢1

(17)で見たように、単独で文節を作れる語(自立語)で活用するものを用言と言います。

用言は、動詞形容詞形容動詞、3つの品詞にわけられています。

選択肢2

学校文法では、普通体(だ・である)に基づいて活用の体系が整理されています。

一方、日本語教育の文法では、丁寧体(です・ます)から教えるのが普通です。丁寧体の方が活用形が簡単だからです。

例えば、マス形であれば、

書きます・書きません・書きました

食べます・食べません・食べました

この2つの動詞の活用語尾は同じです。

食べます/書きます【ます・ません・ました】

ところが、普通体になると、

書く・書かない・書いた

食べる・食べない・食べた

2つの動詞の活用語尾は異なります

書く【く・かない・いた】

食べる【べる・べない・べた】

選択肢3

(17)選択肢4のとおり学校文法では、語幹と活用語尾に分けるので、活用形の種類は少ないです。

未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形の6つです。

ところが、日本語教育の文法では活用形をわけずにそのまま教えるので数が増えます。

マス形(食べます)、ナイ形(食べない)、辞書形(食べる)、テ形(食べて)、タ形(食べた)、可能形(食べられる)、受身形(食べられる)、尊敬形(食べられる)、…などなどたくさんあります。

選択肢4

学校文法では、

動詞の未然形につく「ない」は、助動詞の「ない」

形容詞の連用形につく「ない」は、補助形容詞の「ない」

と考えます。異なる品詞です。

一方、日本語教育の文法では、この「ない」の品詞は何か?

のように「ない」だけをピックアップして分析的には考えません。

実践的に考えます。

「見ない」は、動詞「見る」のナイ形

「高くない」は、イ形容詞「高い」のナイ形

よって、答えは3

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