平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題15【文化とは】の解説

H30試験Ⅰ
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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題15は【文化の捉え方】です。

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問1【小文字cの文化とは】

小文字cの文化とは、生活習慣、価値観、時間感覚など内在的なもの。見えない文化スモールシー文化低文化とも。culture

大文字Cの文化とは、マンガ、アニメ、文学、建築、衣服など外在的なもの。見える文化ラージシー文化高文化とも。Culture

これらはブルックスが提唱した概念です。

  1. 生活習慣、価値観は、小文字cの文化です。
  2. 漫画、アニメーションは大文字Cの文化です。
  3. 歌謡曲、落語は、大文字Cの文化です。
  4. 文学、建築物は大文字Cの文化です。

よって、答えは1です。

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問2【言語と文化・思考が関わっているとする考え方とは】

  1. 言語過程説とは、時枝誠記(ときえだもとき)が『国語学原論』で提唱した言語理論。言語を意味と音声に分けたソシュールに対して、分けられねーよ! と言いました。思想を理解したり(読む・聞く)、表現したり(書く・話す)過程そのものが言語であると。
  2. 言語生得説とは、人は生まれながらにして言語を話すことができるようになる能力をもっているという説。チョムスキーが提唱。
  3. 言語行為論とは、発話によって遂行される行為を研究した言語論。オースティンが提唱し、サールらが展開した。
  4. 言語相対論とは、言語と文化・思考には関係があるとする仮説。この仮説には強い仮説(解釈)と弱い仮説(解釈)の2つの解釈がある。強い仮説とは、思考は全面的に言語によって決まるという仮説。弱い仮説とは、言語の違いが文化・思考の違いに影響を及ぼしてそうねという仮説。提唱者であるサピアさんとウォーフさんの名前からサピア・ウォーフの仮説とも。

よって、答えは4です。

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問3【菊と刀とは】

ルース・ベネディクトの書いた「菊と刀」は、キリスト教由来の「罪の文化」である西洋文化と対比させながら、「恥の文化」という日本文化の特性を示しました。

よって、答えは3です。

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問4【タテ社会の人間関係とは】

「タテ」という言葉があるから選択肢4だな、と安易に飛びついた人をだます意地の悪い問題ですね。でも、安心してください。よく選択肢を読めば日本の社会っぽいのは1つしかありません。「タテ社会の人間関係」という本を読んだことがなくても解くことができます。

  1. 日本は「家」や「会社」といった場を大事にしますよね。戸籍だったり終身雇用制だったりも、「家」や「会社」といった場の共有に基づくものではないでしょうか。
  2. 「契約」関係を大切にすると言えばドイツですよね。日本では契約外のこともやらされる、やってしまうため、サービス残業などが問題になるわけです。
  3. 日本で関係が強いのは「他集団」ではなく、「集団内」ですよね。これが「ウチ」の概念ではないでしょうか。逆ですね。
  4. 日本的集団のリーダーが強い権限を持たないのは、日本の首相をアメリカの大統領やロシアのプーチンさんと比べてみればすぐわかります。

よって、日本の社会っぽいのが1しかないので答えは1です。

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問5【各文化の多様な在り方を認めようとする立場とは】

「各文化の多様なあり方を認めようとする立場」といえば、文化相対主義(カルチュラル・レラティビズム)ですね。以下では各選択肢も確認しますが他の選択肢の言葉は覚えなくていいです。それよりも、文化相対主義に対立する考え方、自文化中心主義(エスノセントリズム)を覚えてください。

自文化中心主義とは、自文化サイコー、他の文化はヤバい、という考え方。

  1. 社会文化主義とは、社会には文化があるということです。え? 何がいいたいのか分からない言葉ですね。
  2. 文化構築主義とは、文化は構築されるもの。すなわち個々人のコミュニケーションや関わりなどによってつくられているもの。だから絶えず変化していく。本質主義との対立から生まれた考え方。社会構築主義(Social Constructionism)とも。
  3. 文化本質主義とは、文化には本質がある。変化しない核心部分があるという考え方。Cultural Essentialism
  4. 文化相対主義とは、文化の違いは相対的なものであり、優劣はない。だから、どの文化も尊重すべき、という考え方。

よって、答えは4です。

なお、問3で出てきたルース・ベネディクトさんは当時、新しい考え方だった「文化相対主義」の立場から「菊と刀」を書いたそうです。

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