令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題2(5)の解説です。
解き方①例がどんな誤用か考える
「ば」も「たら」も条件です。どちらも使える時もありますが、入れ替えると変になるときもあります。
「ば」の性質とは
「ば」の後ろには、「期待する状況」がきます。
でもその「期待する状況」を実現するには何かが必要です。
「期待する状況」に必要なものを「ば」を使って表現します。
ちょうど、問題1(12)の各選択肢が「ば」を使った条件節なので見てみましょう。
- 「雨が止む」という「期待する状況」を実現するための条件が「明日になる」
- 「大丈夫」という「期待する状況」を実現するための条件が「1000円出す」
- 「早く着く」という「期待する状況」を実現するための条件が「タクシーに乗る」
- 「分かる」という「期待する状況」を実現するための条件が「この本を読む」
- 「迷わない」という「期待する状況」を実現するための条件が「こちらの道を行く」
では本問を見てみます。
「乗り換える」という状況です。
これは「期待する状況」でもありません。
電車マニアではないので「喜んで乗り換えたい」という気持ちはありません。
だから「ば」を使うと変になります。
「たら」を使いましょう。
「たら」の性質とは
「たら」は「動作」や「出来事」が順番に起こります。
「AたらB」
・Aが起こる→Bが起こる
例)日が暮れたら、寒くなった。
・Aが起こる→Bをする
例)5時になったら、帰ります。
・Aをする→Bが起こる
例)走ったら、お腹が空いた。
本問は「ば」→「たら」
【東京駅に着いたら、乗り換えてください】
東京駅に着く→乗り換える
これでいいですね。
解き方②選択肢が同じ誤用か検討
各選択肢の誤用を直してみましょう。
- 日本に帰ったら
- 先生にお会いしたら
- 彼から荷物が届いたら
- お金をたくさん持っていれば、
選択肢4は「持つ」の使い方が間違っています。
「お金をたくさん持つ」→「お金をたくさん持っている」
よって、答えは4