聴解や読解のスキルにスキャニングとスキミングがあります。
例えば読解では、スキャニングもスキミングも、速読の手法として知られています。
どちらも速読?
分かりにくいですね。
この記事でスキャニングとスキミングの違いを整理しましょう。
スキャニングの意味
スキャニングとは、たくさんの情報から必要な情報を探して取り込むこと。
スキャニングでは、読む聞く前から、知りたい情報が具体的で限定されています。知りたい情報だけ読み取るので速読できます。
読解でのスキャニングの例
・イスラム教徒が原材料のラベルを見て豚肉が入っていないか探す。【知りたい情報は豚肉】
聴解でのスキャニングの例
・避難する手段を判断するため、ニュースから道路情報や交通機関の運行情報などを聞き取る活動(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問4選択肢4より)
スキミングの意味
スキミングとは、細かいことにこだわらず、ざっくり読んだり聞いたりすること。大意、概要、素早く、ざっとなどのキーワードがきたらスキミングです。
スキミングでは、全体をおおまかに理解します。ざっと読むので速読できます。
スキミングの活動例
・地方都市の過疎化に関する新聞記事に目を通し、大意を把握する( 平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1より)。
スキミングのスキルを使って読む例
・テーマに関する文章を読み、文章全体の大まかな意味を理解する(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問3)。
日常でのスキミングの例
・今日のニュースを知るため、新聞をざっと読む。
聴解でのスキミングの例
・メディアによる災害の伝え方の違いを知るため、各自が別々のニュースを聞いて内容の大意を伝え合い、報道内容と目的を比較する活動(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問4選択肢2より)
・母国にSNSを使って母語で地震の状況を発信するため、日本のニュースの概要を聞き取る活動( 令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問4選択肢3より )
スキャニングとスキミングの違いを簡単に覚える方法
スキャニングはスキャン。知りたい情報だけ取り込むスキャナー(コピー機)のイメージ→スキャニング
スキミングはスキム。スキム(skim)は上澄み。表面だけしか知らないイメージ→スキミング
CTスキャンのスキャニング、スキムミルクのスキミング
一緒に見ておくべき記事
スキャニングはトップダウン処理ですか?
それともボトムアップ処理ですか?
スキミングはトップダウン処理ですか?
それともボトムアップ処理ですか?
トップダウン処理とボトムアップ処理は、スキャニング・スキミングのお友達です。よく一緒に登場しますので、下の記事を読んで合わせて理解することをおすすめします。
スキャニング・スキミングが出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問4【大規模地震の発生後に流れたニュースをスキャニングで聞く】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問3【スキミングのスキルを使って読む例】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5【トップダウン処理の聴解授業】
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1【スキミングの活動例】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問2の選択肢3と4
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問3【トップダウン処理がより必要とされる読み方であるスキャニングについて】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問1【読みたい記事の概要を素早く理解する活動とは】