シラバスは日本語教育能力検定試験の大好物
何度も何度も何度も繰り返し問われていますので、
ここで知識を整理しておきましょう。
日本語教育能力検定試験対策講座【シラバスの種類】を見る
シラバスとは?
シラバスをグーグル先生にお尋ねすると、色々な大学のシラバスが出てくると思います。
大学に入学してすぐ渡されたあのぶ厚い講義要綱
それがシラバスです。
ワクワクしながらパラパラとめくり、面白そうな講義を見つけては付箋を貼っていきました。
シラバスと私
青春の思い出
シラバスとは、その講義で何が学べるかを書かれたもの。講義要綱です。講師の側から見れば、何を教えるか、授業計画が書かれたもの。
日本語教育能力検定試験ではよくシラバスの種類について問われます。
①シラバスの構成から分類したパターン
②シラバスの完成時期から分類したパターン
2つのパターンがあるので気を付けてください。
シラバスの構成から分類
日本語教育能力検定試験に最もよく出題されるのは、構成方法によるシラバスの分類です。
構造シラバス、場面シラバス、話題シラバス(トピックシラバス)、機能シラバス、課題シラバス(タスクシラバス)、技能シラバス(スキルシラバス)
それぞれのシラバスがどのように構成されているかここで理解しましょう。
なお、下記では各シラバスの例となるテキストを載せていますが、メインとして使われる総合的な教科書では、複数のシラバスを組み合わせていることも多いです。
例えば
『はじめよう日本語』は、場面シラバスと話題シラバスを組み合わせています。
このようなシラバスのことを、折衷シラバスや複合シラバスということもあります。
折衷シラバスとは、複数のシラバスを組み合わせたシラバス
複合シラバスとは、複数のシラバスを組み合わせたシラバス
構造シラバス
構造シラバスとは、文の構造から考えて、文型を勉強しやすい順に並べたシラバス。文型シラバス、文法シラバスともいう。
構造シラバスのテキスト例)
・げんき
場面シラバス
場面シラバスとは、「空港で」「レストランで」など場面ごとにまとめられたシラバス。その場面でどのような表現が必要か知ることができるので、自分にとって必要な場面のみピックアップできるなどの利点がある。
場面シラバスのテキスト例)
話題シラバス(トピックシラバス)
話題シラバスとは、「家族について」「趣味について」「教育について」などトピックごとにまとめられたシラバス。そのトピックを扱うために必要な表現や文法を学ぶ。トピックシラバスとも。
話題シラバス(トピックシラバス)のテキスト例)
機能シラバス
機能シラバスとは、「許可を求める」「依頼する」「謝罪する」など言葉の機能に着目し、機能ごとに分けたシラバス。
機能シラバスは、コミュニカティブ・アプローチで用いる。機能シラバスに基づく指導では、与えられた状況で、どういう行為を、どのような言語形式を用いて遂行するか、に重きが置かれている(平成24年日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4の問5より)。
機能シラバスのテキスト例)
課題シラバス(タスクシラバス)
課題シラバスとは、「パーティで自己紹介をする」など、課題が提示され、課題の達成を目的としたシラバス。場面と課題があるため、実際にどんな場所でどんなフレーズを使うかイメージしやすい。最近人気のシラバス。タスクシラバスとも。
課題シラバスのテキスト例)
・まるごと
技能シラバス(スキルシラバス)
技能シラバスとは、日本語を「話す」「聞く」「読む」「書く」という4技能にわけて、そのいずれか、あるいは複数を扱うシラバス。4技能のうち、何かに特化して勉強したいときに役立つ。スキルシラバスとも。
技能シラバスのテキスト例)
シラバスの完成時期から分類
構成による分類ほど多くはありませんが、シラバスがいつできるのかという時期による分類が出題されたこともありますのでチェックしておきましょう。
先行シラバス
先行シラバスとは、コースが始まる前に決められたシラバス。大学の講義要綱は先行シラバスですね。
先行シラバスの特徴
・コース実施前に決定しているので、向かうべき到達点が確認できる。
・学習過程における現在位置が分かる。
後行シラバス
後行シラバスとは、学習者の要望をもとに、毎回の授業内容を決めるシラバス。プライベートレッスンなど。学習者が主体となってテーマを決めるコミュニティー・ランゲージ・ラーニング(CLL)や学習者がプロジェクトを設定するプロジェクトワークも後行シラバス。
後行シラバスの特徴
・ニーズに応じて変更できる。
・コース終了時にシラバス全体が見える。
・学習活動の記録としての意味を持つ。
プロセス・シラバス(可変シラバス)
プロセス・シラバスとは、先行シラバスと後行シラバスの中間。事前にある程度は決めるが、コースの状況に応じて、適宜修正していくシラバス。可変シラバスとも。
日本語教育能力検定試験に出題されるシラバス問題のパターン
シラバスに関する問題は、3つのパターンがあります。
下のリンクをクリックすると、解説ブログか解説動画を見ることができます。
パターン1 具体例からシラバスを選ぶ問題
【「家族について話す」「趣味について話す」「教育について話す」のような項目で分類したシラバスの名称は?】
・平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問1【タスクシラバスと構造シラバス】
パターン2 シラバスから具体例を選ぶ問題
・令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3【機能シラバスによる教材の目次の例】
・令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問3【タスクシラバスの例】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問1【技能シラバスによる教材の目次として最も適当なものは?】
パターン3 特定のシラバスの特徴を選ぶ問題
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問4【トピックシラバスの特徴は?】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問3【構造シラバスの利点】
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問5【先行シラバスと後行シラバスの特徴】