【過去問解説】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(12)

H25試験Ⅰ
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(12)の解き方

1 彼は眼鏡をかけたまま、寝てしまった。

2 彼はそのことを知っていながら、何もしなかった。

3 散歩しがてら、郵便局に寄ってきた。

4 彼女は向こうに行ったきり、連絡もよこさない。

5 彼女は音楽を聴きつつ、勉強をしている。

1,3,4,5の下線部は「and」の意味です。

2の下線部は「but(逆接)」の意味です。

気をつけなきゃいけないのは文全体で考えるのではなく下線部のみを見ること。

3は文全体で見てしまうと

「彼女は向こうに行った。しかし連絡もよこさない」

と言える! 

3もbut(逆接)じゃないか!

と思うかもしれません。

ですがよく下線部を見てください。

きり」にbut(逆接)の意味があるでしょうか?

大辞林で調べてみましょう。

「きり」とは、①ある事柄について、その範囲を限定し、それ以上には及ばない意を表す。②限度・限界を表す。「〜を最後にして」「〜のままで」の意

選択肢4を言い換えてみましょう。

4 彼女は向こうに行ったのを最後にして、連絡もよこさない。

4 彼女は向こうにいったままで、連絡もよこさない。

やはり逆接ではありませんね。

逆接とは前節と後節に食い違いがあること。

例1)彼女とは卒業したきり、会っていない。

例のように「卒業」したら合わないのは普通なので食い違いはない。逆接ではありませんね。

4も同じです。人間は遠くに行ったら、連絡も頻繁ではなくなるので食い違いはない。逆接ではない。

4を逆接にしたいなら

例2)昨日から彼女と一緒に住み始めたのだが、一言も話してくれない。

近いのに話さない。これは食い違い。逆接ですね。

よって、答えは2

なお4が逆接に見えてしまうのは、「きり」のせいではなく「も〜ない」のせいです。

・連絡よこさない

・ひらがな書けない

「も〜ない」はこのようにネガティブな使われ方をするので

but(逆接)に見えるんですね。

ですが、

この「も」は極限を表す取り立て助詞の「も」です(詳しくは現代日本語文法⑤p103〜)

極限を表す「も」は逆接と使われることが多い。

・一緒に住んでいるのに、挨拶してくれない。

・10年日本に住んでいるのに、ひらがな書けない。

なので選択肢4を逆接と考えてしまう人が多いようです。

ですが、取り立て助詞「も」を取り除いて選択肢4を分解してみると。

「彼女が向こうに行った」「連絡をよこさない」

逆接は、前節から想定されることとのことが後節で起こります。

「彼女が向こうに行った」という前節から想定される逆のことは「今でもよく連絡をくれる」です。

・彼女は向こうに行ったが、今でもよく連絡をくれる。

一方で選択肢4は

・彼女は向こうに行った。今では連絡をよこさない。

逆接ではないことがはっきりしますね。

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以下は日本語教師になる前に書いた解説です。

※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。

(12)【接続表現の意味】

1,3,4,5は順接ですが、2は逆接です。

よって、正解は2です。

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