【過去問解説】平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10

H24試験Ⅲ
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平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10は【学習ストラテジー】です。
オックスフォードの6分類ではなく、オマリーシャモーの三分類に関する問題なので注意が必要です。

問1
オマリーシャモーの分類によると、
認知ストラテジーとは、入ってくる情報に直接作用し、学習を促進するよう制御するストラテジー。例としては、練習、分類、推測、要約などがある。
メタ認知ストラテジーとは、学習者が学習を計画し、モニター(学習する内容がどのようなものであるか観察)し、評価するストラテジー。認知の過程に働きかける(自らの認知作用をコントロールする)。
社会情意的ストラテジーとは、他者とのインターアクション(やり取り)や情意的要素を制御するストラテジー。他者との協力、明確にするための質問などが含まれる。
(『第二言語学習と個別性: ことばを学ぶ一人ひとりを理解する』109頁110頁より)

 以上より、
1は、メタ認知ストラテジーです。
2は、他者に協力を求めているので、社会情意的ストラテジーです。
3は、特定の課題を達成する(学習を促進する)ため、学習素材を学習者自身が操作(入ってくる情報を直接作用)しているので、認知ストラテジーです。
4は、情意的要素を制御しているので、社会情意的ストラテジーです。
よって、正解は3です。 

問2
1、言い換え(パラフレーズ)は、コミュニケーション・ストラテジーです。
2、聞き返すのは、コミュニケーション・ストラテジー(リペア)です。
3、文脈から推測するのは認知ストラテジーです(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)。
4、事前に質問に目を通し読み取るべきことを知るのは、学習する内容がどのようなものであるか観察(モニター)しているといえるので、メタ認知ストラテジーです。
よって、正解は4です。

問3
1,他者に協力を求めているので、社会情意的ストラテジーです。
2,ジェスチャーを使うのは、コミュニケーション・ストラテジーです。
3,知らない語があっても無視するのは、認知ストラテジーです(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)。
4,モニターし、読み返すのはメタ認知ストラテジーです。
よって、正解は1です。

問4
1,トップダウン処理だって大事でしょう。
2,どうやって未修語の意味を推測したか話し合うことは、認知ストラテジー(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)のトレーニングになります。
3,有効なストラテジーを知り、自分が使っているか確認することは、ストラテジー・トレニーングになります。
4,内容を予測させるのは、認知ストラテジーのトレーニングになります。
よって、正解は1です。

問5
コミュニケーション・ストラテジーとは、コミュニケーション上の様々な障害を乗り越えるため使用する方略です。
1,コミュニケーション・ストラテジーでは、該当する言葉が分からないとき部分的に母語を使います(言語交換)ので、中間言語に関する学習者の仮説検証に貢献し、言語習得に有利に働きます。
なお、中間言語とは、目標言語でも母語でもない中間的な言語のことです。

2,コミュニケーション・ストラテジーでは、言われたことがわからないとき、繰り返しを要求したり、わかった部分だけ自分で繰り返し、相手に確認を求めます(リペア)ので、理解できなかったインプットが理解可能になり、言語習得に有利に働きます。

3,わからない言語表現を避ける(回避)のも、コミュニケーション・ストラテジーのひとつです。しかし、わからない表現を避けてばかりいるのは言語習得に有利に働きません。

4,コミュニケーション上の障害を乗り越えることで、意味交渉に参加する機会が増え、言語習得に有利に働きます。

よって、正解は3です。

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