オルポートの接触仮説とは?
オルポートの接触仮説(Allport’s Contact Hypothesis)は、アメリカの社会心理学者ゴードン・オルポート(Gordon W. Allport)が1954年に提唱した理論で、「異なる集団(たとえば人種や宗教など)の成員同士が、特定の条件下で直接的に接触することで、偏見や差別を減少させることができる」とする仮説です。
接触仮説の4つの条件
- 平等な地位(Equal status)
接触する人々の間に社会的・経済的に明確な上下関係がないこと。 - 共通の目標(Common goals)
両者が協力して達成すべき目的があること(例:プロジェクト、課題解決など)。 - 協力的な相互作用(Intergroup cooperation)
対立ではなく協力が求められる関係で接触すること。 - 制度的支援(Support of authorities, law, or custom)
学校、職場、法律、文化など、権威や制度による支持があること。
■ 意義とその後の研究
- オルポートの理論は多くの実証研究に影響を与え、その後の研究でも、これらの条件が揃うときに異なる集団間の偏見が効果的に低減することが示されています。
- 近年では、これらの「理想条件」がなくても、ある程度接触するだけで偏見が減る場合もあるとする「接触の一般化理論(Extended Contact Hypothesis)」なども発展しています。
■ 現代社会への応用例
- 多文化教育、企業のダイバーシティ研修、国際交流プログラムなど。
- 地域コミュニティでの異文化理解イベント。
- 対立関係にある宗教・民族グループの対話プロジェクト。
オルポートの接触仮説でやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問3【接触が偏見低減に効果的に作用するための四つの条件】
・令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問3【集団間接触を効果的に行う条件】