【過去問解説】平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9【2018】異文化接触

H30試験Ⅲ
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問1の解き方【マイノリティ】

異文化接触でのマイノリティとは、民族的・文化的・宗教的に少数な人たちのことです。

選択肢1

 モデル・マイノリティということばを最初に用いたのは、社会学者、ウィリアム・ピーターセン。1966年のことであった。

 しかし、アジア太平洋系の人びとに対するステレオタイプを示す言葉として、これが一般的に知られるようになったのは、1980年代に入ってからのことである。

アメリカのマイノリティ運動(承前)p90

マイノリティの概念が生まれたのは1980年代より前です。

×

選択肢2

マイノリティは少数派のことなので、マジョリティ(多数派)が存在しなければマイノリティも存在しません。

選択肢3

マイノリティの人は、自分のアイデンティティに対して向き合うことが多いです。

例えば、日本人は日本ではマジョリティなので、日本では自分のアイデンティティ(日本人であること)をあまり意識しませんが、海外に行ってマイノリティになると、自分のアイデンティティに対して向き合うことが多くなります。

例えば、日本ではバスに乗るときに運転手さんに挨拶をしないことが多いですが、外国では挨拶をしないと失礼に当たる国もあります。外国で挨拶をしないことを指摘されて、自分が日本の文化に染まっていることに気がつきます。自分のアイデンティティに対して向き合うことになるのです。

×

選択肢4

日本でマイノリティといえば例えばアイヌの方々が思い浮かびますが、東大や北大の教授に墓を荒らされ遺骨を盗まれるなど今までたくさんのひどい目に合ってきました。1903年の大阪万博ではマイノリティの人たちを見世物にしました。特権ではなく冷遇、差別待遇です。内地の日本人には絶対しないようなことを、マイノリティの人たちにしてきたのです。

自らが「特権」を有していることに気づかないことが多いのはマジョリティです。

×

よって、答えは2

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問2の解き方【自分化中心主義】

自文化中心主義は下記の記事をどうぞ

自文化中心主義はよく試験に出ますので落としたくない問題です。

自文化中心主義は、自分の属する文化の価値を基準に他の文化を判断、評価する考え方です。

よって、答えは2

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問3の解き方【過度のカテゴリー化】

落としたくない問題です。

ヒントは問題文にあります。

過度のカテゴリー化は「ステレオタイプや偏見や差別を生み出し」

「ステレオタイプや偏見や差別を生み出し」 そうなものを探します。

選択肢1

様々なタイプがあるといっているので、ステレオタイプを生み出しません。

ステレオタイプとは、特定の属性を持つ人に対する単純化されたイメージ、思い込み、固定観念です。

ステレオタイプの例)

・最近の若い人は考えることができない。

・○○人はうそつきだ。

・男は浮気する生き物だ。

以上のように一つのグループを一くくりにしてしまうのがステレオタイプです。

選択肢2

個人の属性について述べているだけなのでステレオタイプではありません。

ステレオタイプはある属性グループに対してです。

選択肢3

「今の中学生はみんなスマホ依存症だ」

これがステレオタイプです。

選択肢4

箸を使う文化がある複数の国について述べているだけです。

これだけではステレオタイプではありません。

・箸を使う国の人は馬鹿だ。

これがステレオタイプです。

×

よって、答えは3

なお、カテゴリー化とは、カテゴライズすること。分類すること。

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問4の解き方【平成29年末現在における日本国内の在留外国人の状況】

在留外国人について今年の試験対策のために最新(試験の1年前)の数字も確認しておいてください。

令和2年6月末現在における在留外国人数について

令和2年末現在における在留外国人数について

この問題の元ネタはこちら『平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)

 在留カード及び特別永住者証明書(以下「在留カード等」という。)上に表記された国籍・地域の数は195(無国籍を除く。)でした。  

 上位10か国・地域のうち,ベトナム,ネパール及びインドネシアの増加が顕著であり,ベトナムはフィリピンを抜いて3位となっています。  

 (1) 中国            730,890人 (構成比28.5%) (+ 5.1%)  

 (2) 韓国            450,663人 (構成比17.6%) (- 0.5%)  

 (3) ベトナム         262,405人 (構成比10.2%) (+31.2%)

https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/nyuukokukanri04_00073.html

よって、答えは1

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問5の解き方【異文化接触場面】

オルポートの平等で相互依存的な関係を重視した接触仮説とは、地位の等しい関係の人々の社会的な接触が増えればネガティブな関係は解消していくというもの。

 オルポートは,1954年,『偏見の心理』 の中で「等しい地位関係の人々が社会的な接触を増大させるに従ってネガティブな関係は解消して いく」と仮説を立てています。本の中で示されている一つのデータは,第二次大戦後,ドイツに駐留したアメリカ兵が,ドイツの市民とプライベートに過ごす時間が長いほど,ドイツ人に対する友好的な態度が増加するというデータです。そこでのコントロール群としての「ドイツ人と会ったことがない」という人々の「ドイツ人に対するネガティブな態度」と比較されています。

http://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/2001/37-1_morita.pdfより

ですが、この問題はオルポートのことを知らなくても解けますので安心してください。

このように試験にあまりでない用語は①知らなくても解けるか②誰も解けないので気にする必要はありません。過去問に出てきた用語だけで合格できます。

平等で相互依存的な関係を重視した「異文化接触」と言えるかどうか各選択肢を検討します。

選択肢1

様々な国籍のクラスメートと協力して一つのものを作り上げるのはまさに異文化接触です。

「平等で相互依存的な関係」でもあります。

「台本、舞台設営」を作り上げるには、お互いの意見を話し合い、譲り合い、理解し合わなければなりません。

選択肢2

発表は一方的なので異文化と接触せずにできます。

選択肢3

スポーツは世界共通のルールがあるので異文化と接触せずにできます。

選択肢4

「様々な国の伝統的な料理を調べる」

例えばグーグル先生に聞くことが考えられますが、グーグル先生に聞いても異文化接触にはなりません。ただのインプットです。

よって、答えは1

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