フォーカス・オン・フォームとは?
フォーカス・オン・フォームとは、コミュニケーション活動の中で、フォームにフォーカスする指導法、フォームに焦点を合わせる指導法。ポイントは、フォームが不加算名詞(複数形の”s”がつかない)。
フォーカスオンフォームでは、言語形式と意味・機能を結びつける過程で習得が起きると考えます。
フォーカス・オン・フォーム では、意味・機能を重視したコミュニケーション活動を行いますが、その中で言語形式(フォーム)にも焦点をあてます。
Focus on Form
ここでいうフォームとは、運動選手のフォーム。
ヒットを打つにはどのようなフォームがいいか。
スターバックスで本日のコーヒーをオーダーする会話はどのようなフォームがいいか。
このように具体的な場面を設定することで、どのような表現を使えばいいか、言葉の意味や機能(コミュニケーション)を重視した活動ができます。
フォーカス・オン・フォームは、コミュニケーション重視です。
まず、特定の場面で相手に意味を伝えることを考えます。
そのコミュニカティブな活動の中で、発話のフォーム(言語形式)が不正確だった場合、フォームに焦点を当てます。
コミュニケーションを重視するけど、そのフォームも大切にするよ、というハイブリッドタイプであると理解してください。
フォーカス・オン・フォームの活動例
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10では、リキャストと呼ばれるフォーカス・オン・フォームのテクニックとして以下の会話が紹介されています。
(写真を見ながらの会話)
学習者:先生、この人、誰ですか? 赤いの服を着る人です。
教 師:はい、この赤い服を着ている人ですか。
学習者の「赤いの服」「着る人」というフォームは正しくありません。
そこで教師が「赤い服を着ている人」とさりげなく正しく言い直す(リキャスト)することで、言語形式に注意を向けさせようとしています。
フォーカス・オン・フォームズとは?
一方、フォーカス・オン・フォームズという似ている言葉があります。
やめてほしいですね。まぎらわしいのは。
こちらは加算名詞のフォームズ(forms)です。
Focus on Forms
フォーカス・オン・フォームズとは、意味・機能よりも形式にフォーカスした教授法です。それぞれの文法形式を積み上げていくので、文法形式がたくさんある。だから複数形だ。と覚えてください。
オーディオ・リンガル・メソッドは意味より形式重視のフォーカス・オン・フォームズです。
フォーカス・オン・ミーニングとは?
フォーカス・オン・ミーニングとは、意味にフォーカスした教授法。意味を伝えることを重視し、形式には着目しません。
Focus om Meaning
フォーカス・オン・フォームとフォーカス・オン・フォームズとフォーカス・オン・ミーニングの違い
フォーカス・オン・フォームズ:言語の形式にフォーカス。正確に文法を理解し正しい形式を使えるようになるのが目的。
フォーカス・オン・ミーニング:言語の意味・機能にフォーカス。コミュニケーションできるようになるのが目的。
フォーカス・オン・フォーム:コミュニケーション活動をする中で、言語形式にもフォーカス
フォーカス・オン・フォーム/フォームズ/ミーニングが出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問3【フォーカス・オン・フォームの背景となる考え方】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問1【フォーカス・オン・フォームに関する記述】問2【フォーカス・オン・フォームズの例】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1選択肢1【フォーカス・オン・フォーム】
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問5【必要に応じて学習者の注意を文法項目に向けさせる指導とは?】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問1【フォーカス・オン・フォームを取り入れた指導】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問2【フォーカス・オン・フォームの具体的な会話例】