【過去問解説】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9

H25試験Ⅲ
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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【教師の会話〈フォーカス・オン・フォームを取り入れた指導〉】です。

問1
フォーカス・オン・フォーム(言語形式の焦点化)は、 コミュニケーション重視の言語活動の中で、学習者の注意(Focus)を文法、文型などの言語形式(form)に向けさせる指導法。
1, フォーカス・オン・フォームでは、文法などの言語形式に焦点をあわせるので、内容語だけでなく機能語も指導対象となります。
2, 研究社日本語教育事典の241R242Lによると、「コミュニカティブ・アプローチでは概念シラバスと合わせた、概念・機能シラバス(notional functional syllabus)が用いられている」とのことですが、フォーカス・オン・フォームがどんなシラバスに基づいて行われることが多いのかは分かりませんでした。同じく概念・機能シラバスでしょうか? 
3,文法などの言語形式に焦点をあてるので、明示的に文法説明をすることを禁止されてはいません。
4,マッピングとは、ある情報を一対一に別の情報に対応させること(大辞林)。フォーカス・オン・フォームは、フォーカス・オン・ミーニング(意味のみに注意が向かう)とフォーカス・オン・フォームズ(言語形式のみに注意が向かう)の中間であり、言語の伝達活動を行う(意味中心)中で、必要に応じて言語形式にも注意を向けるので、意味と形式のマッピングの促進が期待できます。
よって、正解は4です。平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3

問2  モダリティ表現に当てはまらないものを選ぶ問題です。
モダリティ表現は、『文が表す事態』に対する話し手の態度を表す表現です。
文は、命題(客観的な部分)モダリティ(主観的な部分)の2つの部分からなります。
1,「話せるようになる」というのは客観的な部分なので、命題です。「だろう」がモダリティです。
2,「〜後悔している」が客観的な部分なので命題です。「違いない」というのは強い推量、主観なのでモダリティです。
3, 「交通事故に遭ったが、軽い打撲だけで済んだ」が客観的な部分なので命題です。それを「幸い」と考えるのは主観なので、モダリティです。
4,終助詞「ね」で同意を求めているので、話し手の気持ちを表しており、モダリティです。
よって、正解は1です。

問3
プロンプトとは、アウトプットを促すこと、つまり自己訂正を促すこと。選択肢1,2,4は教師が直しています。

よって、正解は3です。

問4 学習者の言語能力を測るテストに関する問題です。
1,文法性判断テストとは、文法的な文と非文法的な文を組み合せて示し,文法性の判定を求める形式のテストです。文法能力は測定できますが、方略的能力は測定できません。

2,ロースプレイテストは、ロールプレイを通して口頭でのやり取りの能力を測るテストなので、文法能力も方略的能力も測定できます。
詳しくは、JF日本語教育スタンダード ロールプレイテストの頁をご参照ください。

3,談話完成テストDCT:Discourse Completion Test)は、ある場面における談話の空欄になっている部分を書き込んでもらい談話を完成させるテストです。談話能力も、文法能力も測定できます。
詳しくは、関山健治『中間言語語用論への招待』のウェブサイトをご参照ください。

4,インタビューテストは、インタビュー形式で様々な質問をすることで、口頭でのやり取りの能力を測るテストです。談話能力も方略的能力も測定できます。
詳しくは、日本語OPI研究会のウェブサイトをご参照ください。

よって、正解は2です。

問5 「得点の平均値を比較」する分析として適当なものを選ぶ問題です。
同じような問題として、平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9【シャドーイングと音読の効果を比較するための統計処理】があります。相関係数、t検定、因子分析、回帰分析、クラスター分析などが問われていますので、そちらもご確認ください。

1,相関分析は、2つの変数の関係を数値で表す分析方法です。

2,t検定は、2つのグループにおける得点の平均の差を検定します。

3,カイ二乗検定は、統計における誤差をできるだけ小さくするための検定です。

4,因子分析は、たくさんのデータを統計的に分析する手法の一つです。

よって、正解は2です。

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