【過去問解説】平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8

H26試験Ⅲ
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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題8は【待遇表現に関する会話の授業】です。

問1
デパートで商品の説明をしてもらうのに、「待遇面で配慮のある適切な表現を用い、丁寧な依頼」をする必要はありません。

よって、正解は2です。

問2
「〜してもよろしいですか」は依頼の表現ではありません。

よって、正解は3です。

問3 音声なしで動画を見ることの効果を選ぶ問題です。
まず、下線部Cの文章と選択肢を見てみます。
4,文型や表現の意味は、口パクでは分からないので、選択肢4が適当ではないことはすぐに分かります。
他の選択肢は、どれもありえそうです。絞り込むため、クラスの方針をチェックします。
「コンテクスト(文脈)を考えて会話する力をつける」
「既存の表現でタスクに臨ませた後、より適切な表現を学び、運用する「タスク先行型」の授業」」
授業の目標もチェックします。
「提示されたコンテクストにおいて待遇面で配慮のある適切な表現を用い、丁寧に依頼ができる」

必要な情報が揃ったところで具体的に検討します。
例として、問1に出てきた「旅行中に隣人にペットを預かってもらう」を依頼のモデル会話に設定します。
選択肢2,旅行中に隣人にペットを預かってもらうことの背景文化とは何でしょうか。助け合いの精神でしょうか。昔ながらの近所付き合いでしょうか。よく分かりませんが、「背景文化の気づき」について話し合っても(授業の流れ②)、「依頼のための適切な表現」を学ぶことにはならないと思います。
以上より、この選択肢は適切ではなさそうです。
選択肢3,表情などの非言語情報が会話において重要だというのは、過去問でも何度か出てきました。「旅行中に隣人にペットを預かってもらう」場合の表情といえば、まずは、眉根を寄せた表情ですね。困っていることを顔面でアピールします。友人が承諾してくれたら、口角を上げて満面の笑みにしましょう。喜んでいることを顔でわからせます。さて、このように「表情などの非言語行動が持つ意味を理解」することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。眉根を寄せたり、口角を上げることに気をつけろということでしょうか。しかし、この授業の目標は「表情筋を鍛えること」ではありません。「適切な表情を学ぶ」ことでもありません。「丁寧な依頼をするための適切な表現を学ぶ」ことです。どうやら、選択肢3も間違いのようです。
選択肢1,音声がありませんので、表情や手振りなどの非言語行動から、「登場人物が話している内容の推測」をしなければなりません。「登場人物が話している内容」はもちろん「丁寧に依頼するための適切な表現」です。口パクの登場人物が何と言ったか話し合う(②)のは、クイズみたいで盛り上がりそうですね。まさに、音声なしで動画を見ることの効果です。「丁寧に依頼するための適切な表現」を「表情や手振りなどの非言語行動」をヒントにして話し合うのですから、授業の目標とも合致します。
よって、正解は1です。

問4
先ほどチェックしたクラスの方針には、「タスク先行型」とありましたので、まずタスク(課題)をしている選択肢を選びます。
1,先にリピート練習をしているので、タスクが先行していません。
3,先にモデル会話文に目を通しているので、タスクが先行していません。
4,先にモデル会話を読んでいるのでタスクが先行していません。
2,先にペアで会話を作るというタスク(課題)をしているので、タスクが先行しています。
よって、正解は2です。

問5
平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅱの問題4の3番にもありましたように、1,要件の終了が確認できたら会話を終了するというのは、待遇面で配慮のある丁寧な依頼とはいえません。お礼を言ってください。2,実質的な内容から会話を初めるのも同じく駄目です。「ちょっとお願いがあるんだけど」「忙しかったらいいんだけど」「猫アレルギーとかない?」「この前、猫好きって言ってたよね」などの導入部を設けましょう。
4,日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10の98頁によると、日本語の特徴はあいづちの多さだそうです。上記本によると「あいづちを打つタイミングも、アメリカ人は相手の話が終わった後の短いポーズに打つのに比べ、日本人は話し手が話している最中に打ったり、話し手の頭の動きに合わせて打ったりすることが顕著です」とのことです。
よって、相手の話が終わるまで反応を控えてはいけません。あいづちを打ちましょう。
3,相手の反応を見つつ、言いさし等を含めた文末表現を選ぶのは、まさに日本語の特徴ですね。
よって、正解は3です。

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