令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題5【聴解教材】の解説

日本語教育能力検定試験,聴解,音声,対策,解説1.言語教育法・実技(実習)

試験Ⅱの問題5は、毎年、日本語学習者向けの聴解教材を聞いて複数の問いに答える問題です。

問題5でよく聞かれる問いは

①この聴解問題の特徴は?

②この聴解問題を解くために必要な○○(能力ストラテジー文法的知識など)は?

③この聴解問題の問題点は?

の3つです。

学習者向けの問いも音声で流れるので、実際の学習者になった気持ちで実際に聴解教材をやってみましょう。実際にやってみると、聴解問題を解くために必要な能力(②)や問題点(③)がわかります。

音声が流れる前に少し時間がありますから、そのわずかな間(ま)で、問いと選択肢を確認しなければなりません。

問題5は3つありますが、毎年1つは資料付きの問題です。資料付きの問題は資料を見ただけで答えが分かることがあるので、音声が流れる前に素早く資料をチェックしましょう。

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1番 アンケートの結果

問1 必要なストラテジー

実際に聴解教材に答えるため問いを検討します。

問い「子供が外で遊ばなくなった最も大きな理由は何ですか?」

  1. スマホやゲームで遊ぶため
  2. 塾や勉強が忙しいため
  3. 身近に遊ぶところがないため
  4. 友達がいないため

この聴解問題を解くために必要なストラテジーは何か?

選択肢を見てみましょう。

  • a 自己の体験と照合する

自分の体験は関係なく解ける問題なのでaじゃないです。

  • b 結論を予測する

「その結果、『スマホやゲームをしている時間が長い』が…45%を占めています」

  • c 情報を関連付ける

答えの元になる音声情報は

「その結果、『スマホやゲームをしている時間が長い』が、10年前に多かった『塾や勉強が忙しい』と逆転し、45%を占めています」

です。

この情報を解釈し、グラフの「スマホやゲーム」「勉強」と関連付けて考えれば、

問い「子供が外で遊ばなくなった最も大きな理由は何ですか?」

の答えは

1.「スマホやゲームで遊ぶため」

だとわかります。

  • d 事例を抽象化する

問いに対する答えは

1.「スマホやゲームで遊ぶため」です。

この音声情報は上の通り、

「その結果、『スマホやゲームをしている時間が長い』が、10年前に多かった『塾や勉強が忙しい』と逆転し、45%を占めています」

です。抽象化されてはいません。

よって、答えはcです。

問2 この聴解教材の問題点

 こ、これは!

 グラフを見た後、音声をの最初に流れる質問を聞くと、思わず笑みがこぼれます。

「子供が外で遊ばなくなった最も大きな理由は何ですか?」

え…。

音声を聞かなくても、グラフを見たら一目瞭然なのですが…。スマホやゲーム…

よって答えはbです。

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2番 電話の会話

問1 必要な文法的知識

選択肢を見てみます。

  • a 言いさしとぼかし表現

言いさしとは、「明日、会える?」「明日は忙しくて…」など、文の途中で終わること。日本語会話で多用される。

ぼかし表現とは、「善処します」など具体的によくわからない表現のこと。気が進まないときによく使われる。

  • b 終助詞と伝達表現

終助詞とは、「行くよ」の「よ」、「行くね」の「ね」など、文の終わりで気持ちを伝える助詞。

伝達表現とは、「伝えてもらえますか」など伝達するための表現。

  • c モダリティと推量表現

モダリティとは、文の主観的な部分。文は客観的な部分(命題)と主観的な部分(モダリティ)にわけられる。

例)食べてください

「食べ(る)」が命題、「てください」がモダリティ(依頼)

推量表現とは、「~だろう」などよくわからないことを判断するときに使う表現。

  • d ヴォイスと受益表現

ヴォイスとは、だれの声(voice)か。つまり誰の立場からの文か。態(たい)ともいう。能動態(行為をする人からの文)、受動態(行為をされる人からの文)、使役態(行為をさせる人からの文)などがある。

受益表現とは、「くれる」「もらる」など、誰かが利益(ベネフィット)を受けることを表す文。授受表現の一つ。授受表現には、与益表現と受益表現がある。

与益表現とは、「あげる」「やる」など、誰かにが利益(ベネフィット)を与えることを表す文。受益表現には物の授受行為の授受がある。

物の授受とは、「くれる」「もらう」「あげる」。

例)プレゼントをもらった

行為の授受とは、「てくれる」「てもらう」「てあげる」

例)プレゼントを買ってもらった

全ての選択肢を確認したので、この聴解問題の問いを確認しましょう。

問い「この後、誰が誰に電話をしますか」

  1. ラーメン屋の男の人から魚屋の男の人に電話をします。
  2. ラーメン屋の女の人から魚屋の男の人に電話をします。
  3. 魚屋の男の人からラーメン屋の男の人に電話をします。
  4. 魚屋の女の人からラーメン屋の男の人に電話をします。

「誰が誰に電話をするか」の判断には、「電話させるわね」「電話させてもらってもいいですか」という表現の意味を理解していなければなりません。

「させる」「させて」は使役態、つまりヴォイス。

「てもらって」は受益表現。

よって答えはdです。

問2 この聴解教材の問題点

ここでおかしいことに気づいたでしょうか。そうです。上の選択肢には「魚屋」「ラーメン屋」という言葉が出てきていますが、会話では一言も出てきませんでした。

いったいいつから我々はラーメン屋と魚屋の会話だと理解していたのか?

そう。

「来々軒(らいらいけん)」→ラーメン屋

「魚政(うおまさ)」→魚屋

と脳が勝手に情報を関連付けていたのです。

われわれ日本人にとっては難しくない処理。

ですが、外国人にとってはどうでしょうか?

「らいらいけん」は町中華にありそうなお店。

「うおまさ」は魚に関するお店っぽい。

という特定の語に関する社会文化的知識が必要となります。

よって答えはbです

なお、

縮約形とは、「おいておく」→「おいとく」のように、元の形を縮めた形のこと。

スピーチレベルシフトとは、「です」「ます」で丁寧に話していたのに年齢や出身が同じだとわかって、タメ語(カジュアルな言葉)で話すように、会話の途中で丁寧のレベルを変えること

例)「どちら出身ですか?」「福岡です」「え、俺も同じ!」

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3番 男女の会話

問1 必要な能力

実際に聴解教材に答えるため問いを検討します。

問「二人はどのプランを選びましたか」

  1. シンプルプラン
  2. のんびりぷらん
  3. よくばりプラン
  4. リラックプラン

この問題を解くには、

男性の「おお、それもいいねえ。でもやっぱり贅沢に行かない」という言葉を理解する能力が必要です。

女の人の意見に対して「でも」と言っているこの「でも」の意味です。

「でも」という逆接の「接続表現」を使っているから、女の人が提案した流れとは異なるだろうなと、「談話展開を推測する能力」が必要です。

よって答えはaです。

問2 必要な語

「贅沢」という言葉が「お金をたくさん使う」のような意味があることを理解していなければ、

女の人が最後に提案したプランよりもっと高いもの→「よくばりプラン」

という答えにたどり着けません。

よって答えはcです。

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