令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題4【会話】の解説

日本語教育能力検定試験,聴解,音声,対策,解説1.言語と社会の関係

試験Ⅱの問題4は、毎年、日本語を母語とする人と日本語を母語としない人の会話などを聞いて複数の問いに答える問題です。

最初に問題4の説明があるので、その間に各問題をできるだけ読んでおく。

①各問題の説明を読む。

どんな状況? 会話か発表か? だれが最初に話すか?

聞く前に状況を確認しておくことで、会話を推測します。

②問いと選択肢を読む。

聞く前に聞くべきポイントを確認することで集中できます。

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1番 日本人と同僚の外国人の会話

問1 繰り返し見られる誤りとは

この問題は選択肢が非常にわかりづらいので、考える時間があまりない聴解試験ではできなくても気にしないでください。

このように選択肢がわかりづらい問題が出てきたときは深く考えず直感で行きましょう。「分からない…分からない」と焦って考えすぎると次の問題も聞き逃してしまいます。

直感でどのように解くか?

まず、「助詞」が間違っていることは明らかなので「助詞」に関するcかd

「モダリティ形式(c)」か「人物を表す名詞(d)」か。

「ともだちを会いたい」「山の森公園を行きたい」「バスを行きたい」という誤りにある「~たい」はモダリティ形式

よってdが答え。

各選択肢も見ていきましょう。

  • a 逆接の接続詞と順接の接続詞の混同

順接の接続詞とは、前の流れどおりの接続詞「だから」「それで」「したがって」など

逆接の接続詞とは、前の流れの逆になる接続詞「しかし」「ところが」「なのに」など

逆接の接続詞と順接の接続詞の混同とは、順接の接続詞を使うべきなのに逆接をつかったり、逆接を使うべきなのに順接を使ったりすること。

例)今日、ディズニーランドにいく予定だった。だから雨が降った。×(順接の「だから」じゃなくて、逆接の「しかし」などを使うべき)

まあ、この人が雨男だったら、この文でもいいのかもしれませんが…。

  • b 確認の終助詞と注意喚起の終助詞の混同

終助詞とは、文の終わりの助詞。「~よ」「~ね」など。話し手の気持ちを表す。

確認の終助詞とは、確認するときに使う終助詞「~ね」

例)明日は、雨です

注意喚起の終助詞とは、注意喚起をするときに使う終助詞「~よ」

例)え? ディズニーランドに行く? でも明日は雨です

確認の終助詞と注意喚起の終助詞の混同とは、「~ね」を使うべきなのに「~よ」を使ったり、「~よ」を使うべきなのに「~ね」を使ったりすること。

例)「(Bさんに昨日、勉強したかどうか確認しようとして)Bさん、昨日勉強しましたよ?」×(確認の「ね」を使うべき)

  • c 特定の助詞とモダリティ形式の固定的な組み合わせの誤り

特定の助詞とは、ある助詞に決まっていること。

モダリティ形式とは、文の主観的なところ。ムードとも。なお、客観的なところは命題という。

例)友達に会いたい

「友達に会い」が命題

「~たい」がモダリティ

この同僚の外国人は「~たい」というモダリティ形式に対して、常に(固定的に)「を」という特定の助詞を使っています。

「~たい」のときは「を」だ!

という勘違いですね。

つまり、特定の助詞とモダリテティ形式の固定的な組み合わせの誤りです。

よってcが正解です。

  • d 特定の助詞と人物を表す名詞の固定的な組み合わせの誤り

人物を表す名詞とは、彼、母、Aさんなど人を意味する名詞のこと。

例)彼あげました。彼けんかしました。彼撮りました。

このように、日本語は述部との関係によって助詞が決まるので、選択肢のとおり、人物を表す名詞の時に特定の助詞を固定的に組み合わせることはありません。

もし、この同僚が

例)彼あげました。彼けんかしました。彼撮りました。

のような誤りを犯していたら、dが正解でしたね。

問2 日本人が工夫している点とは

問2は簡単ですね。

「れんきゅうはなんですか」

「ああ、休みが続いていることだよ」

「ここからだ?」

「ああ、ここから。会社からってこと」

連休→休みが続いている

ここから→会社から

言い換えを用いて相手の理解を促していますね。

よって答えはbです。

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2番 インターン経験についての報告会

問1 留学生の発話の問題点

聞く前に選択肢を確認

  • a 文末のテンスの不統一

テンスとは、過去か現在か未来のどれか。テンスと言えば「ル形(食べる)」と「タ形(食べた)」ですね。

文末のテンスの不統一とは、文の終わりに「ル形」と「タ形」が混じっちゃうことですね。

例)昨日はディズニーランド行った。でも、雨が降る。だからすぐに帰る。×

  • b 文末のスピーチレベルの不統一

スピーチレベルとは、丁寧さのレベルのこと。友達とは話すようにカジュアルで話したり、「です・ます」で話したり、敬語で話したり。

文末のスピーチレベルの不統一とは、文の終わりが「だ・である」になったり、「です・ます」になったりすること。

この留学生は文末は「です・ます」で統一しています。

  • c 語用論的に不適切な語の使用

語用論とは、い方についてじるもの。言葉をどんな場面で使うか。

語用論的に不適切とは、文法的には正しいが、その場面やその相手に対しては不適切な言葉の使い方。

例)(記者会見の場で総理大臣が)「昨日は、めっちゃお酒を飲みました」

文法的には間違っていないですが、記者会見で総理大臣の使う言葉としては不適切ですね。

  • d 統語論的に不適切な副詞の使用

統語論とは文がどのように構成されているか。

統語論的に不適切な副詞の使用とは、その副詞が普通は修飾しない言葉と一緒に使ってしまうこと。

例)彼はじろじろと寝た。

普通「じろじろ」という副詞は「見る」などの動詞と一緒に使います。

よって、上の文は、統語論的に不適切な副詞の使用をしているといえます。

各選択肢を確認したので聞いてみましょう。

留学生は、「めっちゃいい人」「ちょう優しくおしえてくださいました」「まじうれしいです」などの言葉を使っています。これらの太字の言葉は「報告会での発表」というフォーマルな場面では不適切です。

以上より、答えはcです。

問2 音声的な特徴

聞く前に選択肢を確認

  • a 句末に昇降調イントネーションが表れている。

昇降調イントネーションとは、「たとえば~」「それで~」のように語尾を伸ばして、上した後に下するイントネーションのこと。私が若かりし頃にギャルが使っていた喋り方ですね。詳しくは、『方言学入門』p41参照。

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  • b ポーズが不適切な位置に挿入されている。

ポーズとは、間(ま)です。「猫が好きです」を「ねこが・すきです」と読めば、「ねこが」と「すきです」の間(あいだ)に、ポーズが挿入されているといえます。

  • c 文末にプロミネンスが置かれている。

プロミネンスとは、強調です。どこを強く言うか。

「文末にプロミネンスが置かれている」というのは、文末を強く言う人ってことですね。

  • d 拗音の直音化が起こっている。

拗音とは、「きゃ」「きゅ」「きょ」のように小さい「ゃゅょ」が付いた音

直音とは、「あ」「か」「さ」など1文字の音

拗音の直音化とは、「しゅじゅつ」が「しじつ」となるように、拗音(ここででは「しゅ」「じゅ」)が直音(ここでは「し」「じ」)になること。

各選択肢を確認したので聞いてみましょう。

この留学生は、私が若かりし頃に一世を風靡したコギャルのように語尾を伸ばしてますね。

句末に昇降調イントネーション!

よって答えはaです。

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3番 教師と学習者の会話

問1 練習方法

聞く前に選択肢を確認

  • a TPR(Total Physical Response)

TPRとは、トータルフィジカルレスポンス(全身反応教授法)という名前の通り、講師の指示通りに体を動かすこと。例えば、講師が「立ってください」といったとき、学習者は実際に立ちます。こうやって言葉を身体にしみこませます。聞いて理解して体で反応するので聴解優先の教授法といえます。心理学者アッシャーが提唱。幼児の母語習得過程から考えられた教授法です。

  • b VT法(Verbo-Tonal Method)

VT法とは、身体の動きと調音器官の動きの関係に注目し、正しい発音を誘導するために、それに合った身体の動きを用いる方法。弛緩と緊張(slack and stiff)が大事。ヴェルヴォトナル法

このVT法というのは赤本にもありませんし、過去問でも初めて出てきたと思うのでちょっと難しかったですね。

  • c サジェストペディア

サジェストペディアとは、暗示で緊張や不安を取り除き精神をいい感じにして効率よく学習しようという教授法。具体的には、室内に絵画や彫刻、植物などを配したり、適切な明るさの照明で照らしたり、クラシック音楽をかけたりします。

  • d シャドーイング

シャドーイングとは、聞いた音をすぐに声に出す練習。全部聞いてから声に出すリピートとは異なり、聞きながら発音する。シャドーイングは日本語学校でもよく行われる練習法ですね。

では、聞いてみましょう。

「「か」をいう時に手をぎゅっと握ってください。そして、「た」のときに開いてください」

このように、発音する際の調音器官の動き(緊張と緩和)に合わせた体の動きをすることで、正しい発音に導くのはVT法です。

よって答えはbです。

問2 発話が変わった点

学習者は「おもしろかった:7拍」の発音を

「おもしろかた:6拍」で発音しています。

講師はそれを直したくてVT法を用いましたが拍数は変わらず、

学習者はずっと「おもしろかた:6拍」で撥音しています。

一方、アクセントは変わっていることが聞いてなんとなくわかります。

最初は

「おもしろかた:低高高高高低」で発音していました。

講師VT法で誘導した後は

「おもしろかた:低高高低低低」で発音しています。

よって答えはdです。

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