【口腔断面図】令和2年度 日本語教育能力検定試験Ⅱ問題3の解説

R2試験Ⅱ
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令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ(聴解・音声)問題3は例年同様、発音上の問題点でした。

え?

問題2も発音上の問題点じゃないかって?

そうです。

問題2は、音をひとまとまりで考えた時の問題です。いわゆるプロソディ。今年は試験Ⅲの問題2でも問われましたね。

問題3は、単音での問題点です。

問題1や問題2に比べると聞き取りは難しくありません。

問題3で大切なのはリスニング力(聞き取る力)ではありません。知識です。事前準備が大切です。

1番から3番までは口腔断面図が出てくるので、まずは口腔断面図を見て、どんな音かわかるようにしましょう。

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問題3の基礎を身につけるためにオススメの動画

不安な方へ

私のYouTubeチャンネルの中でも一番の人気動画となっている

音声記号と口腔断面図の問題の動画を見てみてください。

4番から8番までは調音に関する用語が出てきます。

出てくる用語は決まっています。

下記の用語を見て意味がわかりますか

書かなくてもいいので、各用語を見ながら頭の中で考えてみてください。

絶対出てくる必ず覚えておくべき用語

調音点調音法声帯振動唇の丸め舌の前後位置舌の高さ

ときどき出てくる覚えておくとよい用語

⑦子音の挿入⑧子音の脱落⑨母音の付加⑩母音の脱落⑪気息の有無

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試験に出てくる各用語の意味

各用語を見て、答えが出せましたか?

それでは答え合わせをしましょう。

調音点とは?

調音点とは、どこで呼気を邪魔して音を出すか。子音の区別に使う。

例)「ぱ」は両唇、「た」は歯茎

調音法とは?

調音法とは、どうやって呼気を邪魔して音を出すか。子音の区別に使う。試験に最も多く登場する。一番大切な言葉

例)「ぱ」は破裂音、「ふ」は摩擦音

声帯振動とは?

声帯振動とは、声帯が振動しているか。振動していれば有声、振動していなければ無声。子音の区別に使う。

例)「ぱ」は無声、「ば」は有声

唇の丸めとは?

唇の丸めとは、唇を丸めるかどうか。母音の区別に使う。日本語(共通語)で、唇を丸めるのは「お」だけ。「う」を丸めるのは関西弁などの方言。

舌の前後位置とは?

舌の前後位置とは、母音の区別に使う舌の位置。「いえ」は前、「あ」は中間、「おう」は後ろ。

舌の高さとは?

舌の高さとは、上あごと舌の距離。近いと高い。遠いと低い。そのため、口を大きく開けると低くなり、あまり開けないと高くなる母音の区別に使う。「いう」は高い。「えお」は中間、「あ」は低い。

子音の挿入とは?

子音の挿入とは、ないはずの子音が入ってしまうこと。ローマ字で書くとすぐわかる。

例)「あ a」と発音すべきなのに、子音[n]が挿入されて「な na」と発音

子音の脱落とは?

子音の脱落とは、あるはずの子音が抜けること。ローマ字で書くとすぐわかる。

例)「な na」から[n]が抜けて、「あ a」と発音

母音の付加とは?

母音の付加とは、ないはずの母音が入ってしまうこと。

令和2年度までに正解例なし。選択肢のみ。

母音の脱落とは?

母音の脱落とは、あるはずの母音が抜けること。

例)「みていた miteita」を[miteit]と発音(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題3の8番)

気息の有無とは?

気息の有無とは、呼気を強く出すか(有気音)、弱く出すか(無気音)。日本語では区別しない。区別するのは中国語など。

令和2年度までに正解例なし。選択肢のみ。

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問題3の解き方

1番から3番の解き方

1番から3番は

①調音法を確認

②調音点を確認

の順番に検討します。

4番から8番の解き方

4番から8番は選択肢の言葉で子音が違うのか母音が違うのが推測できます。

調音点調音法声帯振動→子音が違う

唇の丸め舌の前後位置舌の高さ→母音が違う

これはとても大切です。覚えておいてください。

下記の記事では問題3を徹底的に分析して対策法を書いていますので、不安な方はどうぞ。

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1番 わらし

「わたし」を「わし」と発音しています。

「ら」は、[ɾ]歯茎弾き音

①調音法を確認

「ら」は舌が反り返っているので、口腔断面図はa

よって、答えはa

「ら」の口腔断面図は特徴的で覚えやすいので、知らなかった方はここで覚えてください。

反り返ってる元気なやつ!→「ら」

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2番 にょうきん

「りょうきん」を「ょうきん」と発音しています。

「に」は、[ɲ]歯茎硬口蓋鼻音

①調音法を確認

「に」は鼻音なので、口腔断面図は鼻の奥が開いているaかd

②調音点を確認

aの調音点は歯茎

dの調音点は歯茎硬口蓋

「にょ」の調音点は、歯茎硬口蓋

よって、答えはd

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3番 しちゅれい

「しつれい」を「しちゅれい」と発音しています。

「ち」は、[tɕ]歯茎硬口蓋破擦音

①調音法を確認

「ち」は破擦音なので、口腔断面図は舌が上についていて鼻の奥が開いていないcかd

②調音点を確認

cの調音点は歯茎硬口蓋

dの調音点は軟口蓋

「ち」の調音点は、歯茎硬口蓋

よって、答えc

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4番 じぷんで

「じんで」を「じんで」と発音しています。

「ぶ」は、[b]有声両唇破裂音

「ぷ」は、[p]無声両唇破裂音

違いは声帯振動の有無

よって、答えはc

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5番 きょうりゅう

うりゅう」を「きょうりゅう」と発音しています。

選択肢は全て子音の違い

ところが、どちらの子音も[k]です。同じ。

まいりました。

そこで思い出します。

口蓋化の存在を(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版475ページ~)。

イの段の音は、調音点が硬口蓋にずれる。それが口蓋化

「きょ」はイの段の音

だから調音点が硬口蓋にずれる。

つまり「きょ」と「こ」の違いは調音点

よって、答えはa

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6番 しっきん

「しゅっきん」を「しっきん」と発音しています。

「毎朝、八時に、失禁しています」

これは試験会場で失笑が漏れた問題です。

日本語教育能力検定試験はときどき下ネタに走るので乙女には辛い試験です。

過去には「江戸時代」を「エロ時代」と読んだ前科があります。

さて本問

選択肢を見てみると

aとbが子音の違い、cとdが母音の違い

「しゅ」と「し 」の違いはローマ字で書くとわかりやすい。

「しゅ shu

「し  shi

[u]が[i]になっています。

「う」は、後舌

「い」は、前舌

舌の前後位置が違います。

よって、答えはd

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7番 おまてぃください

「おまちください」を「おまてぃください」と発音しています。

「ち」は、[tɕ]無声歯茎硬口蓋破擦音

「てぃ」は、[t]無声歯茎破裂音

違いは、調音点と調音法です。

よって、答えはb

日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版だと、478ページの表6-2-3と480ページのタ行の表がわかりやすいです。

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8番 くんどう

「かんどう」を「くんどう」と発音しています。

「か」と「く」の違いもローマ字を書くとわかりやすい。

「か ka

「く ku

[a]が[u]になっています。

「あ」は、低母音

「う」は、高母音

舌の高さが違います。

よって、答えはb

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