【過去問解説】平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4

H26試験Ⅰ
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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【学習者がグループで話し合う教室活動(ディスカッション・ディベート)】です。

試験Ⅰの問題4は毎年、教授法が出題されていますので、
平成28年度の試験Ⅰ問題4も教授法に関する問題だろうと予想できます。
各年度の問題4を比較して、教授法についてどのように問われているのか要検討です。

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育のコースデザインやシラバス、教授法】
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育・日本語教育の教授法】
平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法・教室活動】
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法とその日本語教授法への影響】

問1
1,コミュニティー・ランゲージ・ラーニング(CLL)は、カウンセリングの理論と手法を応用した教授法。アメリカの心理学者カラン1970年代に開発。教師はカウンセラーのように、学習者をクライアントとして接します。教師は学習者と一体になってコミュニティを形成し、互いにコミュニケーションを図りながら授業を行います。学習者が輪になって座り、教師は外に立ちます。学習者がテーマを決め、自由に話をします。教師は学習者の耳元で表現方法をささやきます。学習者の自由な会話は録音しておき、授業の最後に聴き、教師は学習者の内省を促したり、解説を加えたり、発音指導をしたりします。教えることが事前に決まってはいないため後行シラバスです。コミュニティ学習は、グループ学習と異なり、学習者の不安や恐れを取り除くためにSARD(サード)を重視しています。安心感(Security)、注意力(Attention)、積極性(Aggression)、定着(Retention)、振り返り(Reflection)、識別(Discrimination)の頭文字です。

2,コンプリヘンション・アプローチは、幼児の母語習得過程をモデルにした理解優先の教授法。聴解練習を優先し、話すのはしばらく後(Delayed-Oral Method)。ポストフスキーがアメリカでロシア語の指導をする際に用いました。チョムスキーの生得説(人間は生得的に言語学習能力が備わっている)に基づき、オーディオ・リンガル・メソッドの教授理論とは対立関係。リラックスした状況で、学習者に理解可能な大漁のインプットを与えるこの手法は、ナチュラル・アプローチに引き継がれます

3,オーラル・アプローチは、口頭能力重視。オーディオリンガル・メソッドの別名。パターン・プラクティス(文型練習)を行う。

4,コミュニカティブ・アプローチ(CA)は、コミュニケーション能力の育成を重視した教授法。

以上より、ディスカッションやディベートの言語活動は、コミュニケーション能力の育成を重視したコミュニカティブ・アプローチ(コミュニカティブ言語教授法)の考えを反映しているといえます。

よって、4が正解です。

問2
ファシリテーターは、集団活動に参加しない中立的な立場で活動を支援する人です。
1,話し合いのトピックについて説明するのは、ファシリテーターの役割ではありません。
2,立場を振り分け、その立場に合わせて意見を述べるのは、ディベートです。ディスカッションではありません。
3,ディスカッションで展開を予測させたりはしません。
4,学習者が見としている視点を示し、話し合いが進むように支援しています。
よって、正解は4です。

問3
カナルは、伝達能力(コミュニケーション能力)を4つに分けました。
1,文法能力…話や表現を正確に使用できる。
2,社会言語能力…相手との関係を考慮して言い方を変える。
3,方略能力(ストラテジー能力)…適切な語彙が浮かばない場合、別の言葉で言い換えたり、ジェスチャーに頼るなど、コミュニケーションを円滑に行うための能力。
4,談話能力…言語を理解し、構成する。会話の切り出し方、終わらせ方。
以上より、否定的な意見を述べる際、相手との関係を考慮した表現が使えない者は、社会言語能力に課題があるといえます。

よって、正解は2です。

問4
ディベートでは、1つのテーマに対し賛成・反対に分かれて戦います。
1,様々な案が考えられ、二手に分かれられません。
2,テーマが、少子化対策を進めるべきかと、観光客を増やすべきかの2つになっています。
3, 様々な案が考えられ、二手に分かれられません。
4, 増税という1つのテーマに対し、賛成・反対の二手に分かれられます。
よって、正解は4です。

問5 
ディベートでは、自分の主張とは関係なく、立場がどちらかに決まります。

よって、正解は2です。

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