平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題1は【授受動詞と待遇表現】です。
問1
求心とは、中心に近づこうとすること(スーパー大辞林3.0)。
遠心とは、中心から遠ざかること(スーパー大辞林3.0)。
「あげる」は、物が自分から遠くへ行くので「遠心的」
例)僕は猫にササミをあげた。ササミ→
「くれる」「もらう」は、物が遠くから自分の方に来るので「求心的」
例)猫は僕に虫の死骸をくれた。虫の死骸←
「あげる」「くれる」は与え手が主語
例)僕は猫にササミをあげた。
猫は僕に虫の死骸をくれた。
「もらう」は受け手が主語
例)僕は猫から虫の死骸をもらった。
このように使い分けができます。
よって、正解は1です。
問2
格助詞の使い方が誤っているのは3だけです。この場合、物の移動を伴わないので、「私に」ではなく「私の」になります。
よって、正解は3です。
問3
1,恩恵の意味がありません。
2,雨が降るという恩恵。
3,手紙を出すという恩恵。
4,髪を切るという恩恵。
よって、正解は1です。
問4
3,補助動詞「てさしあげる」は、目上の人に直接対面して言う場合は使うべきではありません。
よって、正解は3です。
問5
まず、 授受を表す動詞というのは「あげる」「くれる」「もらう」「渡す」「与える」「受ける」など、何かを授けたり、受けたり、する動詞のことです。
そして、本問のトピックになっている授受動詞は「あげる(やる)」「くれる」「もらう」であることが1行目から分かりますね?
ということは「授受を表す他の動詞」とは、「渡す」「与える」「受ける」などのことです。
つまり「授受を表す他の動詞との差異」とは、 「あげる」「くれる」「もらう」と「渡す」「与える」「受ける」の違いは何か?ということです。
それでは選択肢を見ていきます。
選択肢1「有情名詞」とは、「いる」を使う名詞です。
例)ねこがいる→「ねこ」は有情名詞
「無情名詞」とは、「ある」を使う名詞です。
例)小説がある→「小説」は無情名詞 この小説は彼に大きな影響を与えた。 小説は無情名詞ですが「与えた」の主語になることができるので1は×
選択肢2
これはその通り。
私はお金をもらった。→私に恩恵がある(私、うれしい)
私はテストを受けた→私に恩恵ない(私、別にうれしくない)
選択肢3
「私は彼にお金をあげた」という場合、お金の所有権が私から彼に移動しているので3は×
選択肢4
「やる」と「出す」の説明が逆です。 「ネコにえさをやった」→猫に恩恵(ベネフィット)がある(ネコうれしい)。 「先生に宿題を出した」→先生に恩恵(ベネフィット)はない(先生別にうれしくない)。
よって、正解は2です。