【過去問解説】平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2

H27試験Ⅲ
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平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【初級の学習項目に現れるモダリティ形式】です。

問1
「なければならない」は行為の妥当性に加え、行為が義務的に要請されることが重視されます。
例…お金がないので、働かなければならない。
「べきだ」は行為の妥当性を重視します。
例…過去問を解くべきだ。
よって、正解は3です。

問2
「ほうがいい」には行為を行わないと望ましくない結果になるという含意があります。
例…試験を受けるなら過去問を解いたほうがいい(解かなければ試験に受からないかもしれないという含意)。
よって、正解は1です。

問3
・「べきだ」の過去
例…過去問を解くべきだった。

・「ほうがいい」の過去
例…過去問を解いたほうがよかった。

いずれも、行為が実現しなかったことを示し、それに対する後悔や不満の意が強調されています。
よって、正解は2です。

問4
1は勧めです。
2は(不)必要です。
3は義務です。
4は意志を表しています。
よって、正解は4です。

問5
1,「なければならない」も丁寧にできます。「なければなりません」

2,「なければならない」のほうが「なければいけない」よりも硬い文章で使われるので、縮約形も現れにくいです。
2017年9月10日現在、
「なきゃならない」でグーグル検索した結果は、約 3,820,000 件
「なきゃいけない」でグーグル検索した結果は、約 14,700,000 件

3,「なければならない」は硬い表現なので「なければいけない」のほうが話し言葉での使用頻度は多いと思います。
日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』175頁によると、
「「なければならない」は教科書では様々な動詞とともに用いられているが…(実際は)法律などの硬い文章で使われる表現であり、日常的な語句とはどうしても共起せず、無理に作るとあまり使わない文ができてしまう」とのことです。同本175頁には、「なければならない」と「なければいけない」の出現率が表になっており、より詳しい説明があります。
『日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』は私が日本語教師になってから最も使っている本です。初級で習う文法項目について、どんな動詞・形容詞・名詞と組み合わさって使われることが多いのかをまとめたハンドブックです。ある文型を使った例文や会話例を作らなければいけないときにとても役立ちます。日本語教師として働き始めてから様々な本を買いましたが、この本ほど買ってよかったと思える本はありません。おすすめします。

4,「なければならない」のほうが書き言葉的なニュアンスが強く、「なければいけない」のほうが話し言葉的なニュアンスが強いです。

よって、正解は3です。

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