【過去問解説】平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(4)【2016】

H28試験Ⅰ
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問題2(4)の解き方

【】内を直してどんな誤用か考えます。

「寒いそうです」→「寒そうです」

「そう」の前の形が違います。

選択肢を見て仲間外れを探します。

1 「難しいそうです」→「難しそうです」

「そう」の前の形が違います。

2 「降るそうな空模様」→「降りそうな空模様」

「そう」の前の形が違います。

3 「さっき、玄関で物音がしました。誰か帰ってきたそうです」→ 「さっき、玄関で物音がしました。誰か帰ってきたようです」

「そう」→「よう」

仲間外れです。

4 「寂しいそうな様子」→「寂しそうな様子」

「そう」の前の形が違います。

よって、答えは3

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日本語教師になる前に書いた解説

※解き方、考え方にはいろいろあることを見てもらうため、あえて残しています。

(4)「そうです」の誤用

現在の視覚的様態を表す場合、「そうです」は、イ形容詞、ナ形容詞(形容動詞)の語幹につきます(森田良行著基礎日本語辞典592頁)。しかし学習者は、イ形容詞の終止形につけて「寒いそうです」と誤用しています。正しくは「寒そうです」

1,イ形容詞の語幹につけて「難しそうです」とすべきを、終止形につけて「難しいそうです」と誤用しています。

2,「そうです」が動作動詞“雨が降る“につく場合、未来に“雨が降る”かもしれない状況を現状が呈している現状説明のことば(森田良行著基礎日本語辞典594頁)になります。「そうです」につく動作動詞は連用形になるので「夕立が降りそうな空模様」とすべきです。ところが学習者は終止形につけて「夕立が降るような空模様」と誤用しています。

3,「帰ってくる」という動作動詞に「そうです」がつく場合、「帰ってきそうです」となり、現在はまだ帰ってきていないけれど、未来に帰ってくるかもしれない状況を現状が呈していることを意味します。しかし選択肢3の文章は「さっき玄関で物音がしました」とあるので、すでに帰ってきたかもしれない状況です。その場合は「ようです」を使います。「ようだ」は、視覚的なものに限らず、広く感覚・知覚でとらえられる事柄一般に使用され(森田良行著基礎日本語辞典1181頁)、その場の状況からの判断を表す表現(初級を教える人のための日本語文法ハンドブック129頁)だからです。

4,イ形容詞の語幹につけて「寂しそうな様子です」とすべきを、終止形につけて「寂しいそうな様子です」と誤用しています。

以上より、1,2,4は「そうだ」に続ける活用を終止形にしている誤用ですが、3は「ようです」と「そうです」の混同による誤用

よって、3が正解です。

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