【読解の指導】平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10の解説

H29試験Ⅰ
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H29(2017年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰの問題10【読解とストラテジー】の解説です。

この問題は面白かったですね。

読解力に関する問題ですが

解くには読解力が必要でした。

あまりできなかった人は

この問題の言いたいことをしっかり確認して

読解力を身につけましょう。

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問1の解き方【文章を読む過程】

空欄を埋める問題は前後の文章をしっかり読み、ヒントを探します。

(ア)の文は、前の文と「つまり」でつながっています。

「つまり」は同じことを言い換える接続詞ので

前の文(①)

(ア)の文(②)

を比較してみます。

①文章を読む過程=首尾一貫した意味の構築に向かって理解を進める

②読解=理解という目標に向かって進む(ア)の過程

①と②の文は「理解を進める」と言う点が共通しています。

①にあって②にない言葉は「首尾一貫した意味の構築」です。

なので

(ア)の過程=首尾一貫した意味の構築

であるとわかります。

「首尾一貫した意味の構築」

わかりにくいので、わかりやすい言葉に言い換えます。

構築とは、組み立てて築くこと

だから

意味の構築とは、意味を組み立てて築くこと

1つの言葉や文章は、1つのレンガです。

言葉の意味を積み木のように1つずつ積み重ねることで、文章の全体像が理解できるということです。

首尾一貫とは、最初から最後まで同じこと。

例えば、以下のような会話文があったとします。

A:あの猫、かわいくない?

B:うわあ。めっちゃかわいい!

A:かわいいよね!

この文章で最初のAの発話を

「あの猫はかわいくありません」

という意味だと理解した場合、

2つ目のAの発話

「(あの猫は)かわいいよね」

と矛盾しています。

首尾一貫していません。

首尾一貫した意味の構築のために考え直します。

Aの1つ目の発話は「かわいい」という意味だろうか?

これが文章を読む過程です。

問題が発生した場合、首尾一貫するように解決しなければなりません。

よって、答えは3です。

選択肢1の意思決定

選択肢2の強化学習

これらは明らかに読解の過程とは異なるので問題ないですね。

選択肢4はちょっとわかりにくいのでここで理解しておきましょう。

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収束的思考と拡散的思考の違い

収束的思考とは

収束とは、ねてめること。

収束的思考とは、知っているたくさんの知識を束ねて、1つの答えを導くこと。

ゴール(目標、問題等)に突っ走りたいときの思考法です。

読解は1つの答えを導くためにやるものではありません。

私が村上春樹氏の小説を読むのは楽しみたいからです。

たった1つの答えは求めていません。

よって選択肢4は違います。

収束的思考の例

・数学問題を解く(勉強したいくつもの公式を使って1つの答えを導く)

・日本語教育能力検定試験に合格するための計画を立てる。

拡散的思考とは

拡散とは、拡がり散っていくこと

拡散的思考とは、考えをどんどん広げていって、色々な解決方法やアイディアを出すこと。

新しいアイディアを出すときに便利な思考法です。

ただしこればかりやっていると思考がカオスになっていき、まとまらず、いつまでもゴールにたどりつけません。ある程度アイディアがでてきたら収束的思考に切り替える必要があります。

拡散的思考の例

・ブレインストーミング(参加者が自由に意見を出すことで思いがけないアイディアにたどり着いたり)

・日本語教師として食べていくためにはどんな方法があるか散歩しながら考える(散歩しながら、あれこれ思いを巡らしているうちに新しいことを思いついたり)

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問2の解き方【メタ認知とは】

でました!

日本語教育能力検定試験が大好きな言葉「メタ認知」

よくわからない言葉代表「メタ認知」

メタ認知が上手になれば

試験合格はもちろん

人間関係も仕事もうまくいきます。

人生が楽になります。

メタ認知を知れば、あなたの人生が激変します。

怪しい通販商品のような存在

それがメタ認知です。

ですから

よく考えてしっかり理解しておきましょう。

認知とは?

認知とは?

認知とは、対象めてること。理解する判断するなど脳の働き全般。

メタとは?

メタとは?

メタ○○は、高次の○○、○○を超えたもの

メタ認知とは?

メタ認知とは、高次の認知、認知の対象を超えた認知、認知していることを認知することです。

わかりにくいですね。

ご安心を。

一発でメタ認知が分かる絵を用意しました。

素敵な絵ですね?

「本を読む」のが認知です。

「自分は今本を読んでいるなあ」と自分を客観的に見ることがメタ認知です。

「勉強する」のが認知です。

「今日は10時間勉強したなあ」と自分の勉強を客観的に見るのがメタ認知です。

自分を自分の外から見るのがメタ認知です。

自分を自分の頭の上から見るイメージです。

対象を外から捉えること、対象の世界を超えることをメタ認知といいます。

たとえば、記述問題を見て、

「ああ難しい」

「ああ簡単だ」

と考えるのは、ただの認知です。

合格するためには認知を超えましょう。

「どうして出題者はこの問題を作ったのだろう?」

「どんな記述を書けば、添削者が読みやすいだろうか?」

これがメタ認知です。

対象をそのまま捉えるのではなく、外から客観的に見るのです。

メタ認知の具体例

・ロールプレイングゲームの主人公と主人公をプレイする私

ロールプレイングゲームの主人公は世界を認知しています。それを外の世界からプレイする私はメタ認知しています。

私は自分の人生をドラクエ(ロールプレイングゲーム)のように捉えていますが

これもメタ認知の一つです。

選択肢1

最小単位ではなく、単位の枠外から考えるのがメタ認知です。

選択肢2

認知の対象は、「今読んでいる文」です。

この文だけで「難しい」「簡単だ」「意味が分からない」などと判断するのが認知です。

一方で、「今読んでいる文」という対象を超えて

「前の段落とつじつまが合うか検証」するのがメタ認知です。

対象を外から客観的に捉えています。

選択肢3

これはただの認知です。単語は対象の文章の内にあります。対象の外ではありません。

選択肢4

対象に意味を付与しているので、対象の内です。ただの認知です。

よって、答えは2です。

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問3の解き方【発話プロトコル法とは】

発話プロトコル法?

なんだかよくわからない言葉がでてきました。

そんなときは前後の文章を読んでヒントを探します。

下線部Bの文に重大な手掛かりがありました。

・「読解ストラテジーの切り替え」を発話プロトコル法で調べることができる。

ストラテジーとは、工夫のこと。

読解ストラテジーとは、読むときの工夫

「読解ストラテジーの切り替え」だから

1つの工夫だけじゃなく、読みながら工夫のやり方を変えている。

読みながらの工夫が分かるのは選択肢のどれだろう。

読みながら話す選択肢1です。

選択肢2は「読んだ後」なので読みながらの切り替えがわかりません。

読解は音読に限らないのに、音読のことしか調べない選択肢3と4は明らかに変です。

よって、答えは1です。

発話プロトコル法とは?

発話プロトコル法とは、被験者が頭に受かんだことを全て発話してもらい、発話内容、言い淀み、沈黙時間などを分析することで、思考過程を分析する方法

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問4の解き方【読解力の低い学習者の特徴】

読解力が低いのは、どんな人だろう?

考えながら選択肢を見ていきます。

選択肢1

非明示情報とは、はっきりとは書かれていない情報のこと。

例えば

「彼のスマートフォンを落として、私は弁償することになった」

という文には

「スマートフォンが壊れた、液晶画面が割れた」

と言うような情報ははっきりとは書かれていないので非明示情報ですが

弁償することになったということは壊れたんだろうな

非明示情報を補いながら読むことで深く理解できます。

読解力の高い読み方です。

選択肢2

モニターとは、観察すること

自分の理解状況を観察すること

そう。

メタ認知ですね。

問2の選択肢2のやり方です。

今読んでいる文だけではなく

これまで読んできた文との矛盾がないか

矛盾があれば自分の理解が間違っているのではないか

確認しながら読むことで、理解を正確にできます。

読解力が高いです。

選択肢3

テキストの情報と既有知識を結合する読み方は

このブログです。

日本語教育能力検定試験の解き方です。

問題の文章と

知っている知識を組み合わせて

やっていますね?

これが読解力の高いやり方です。

選択肢4

未知語の意味に注目

知らない言葉の意味に注目とは?

「え、この言葉、わからない。え、何? この意味なに? どうしよう、え、なに?」

これが未知語の意味に注目です。

知らない言葉にばかりに目がいってしまうのは読解力が低い人の特徴です。

読解力が高い人は、知らない言葉はスキップし、知っている言葉から文章全体の意味を構築していきます。

よって、答えは4です。

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問5の解き方【テクストの学習の例】

テクスト(テキスト)とは、まとまった文章のこと。

選択肢を見てみると

「新聞記事」「数学の参考書」「事件記録」「論文」

いずれもテクストであり、テクストからの学習に見えます。

難しい問題です。

下線部Dの文章からヒントを探します。

テクストからの学習ができるときは

「読解ストラテジーを使い分け」ているとのこと。

読解ストラテジーとは、読むときの工夫。

問4の各選択肢が読解ストラテジーです。

いろいろな工夫をしそうな選択肢を探します。

選択肢1

漢語の意味を読み取る時は、漢字から意味を推測するという読解ストラテジーを使います。

たとえば「黒板」という漢語の意味を読み取るために

「黒い」「板(いた)」という漢字の意味から「黒板」の意味を推測します。

いろいろな工夫じゃありません。

選択肢2

問題を解くには、いろいろなストラテジーを使います。

日本語教育能力検定試験の問題を解く時も

①漢字から意味を推測したり

②テクストの情報と既有知識を結合したり

③前の文とつじつまが合うか検証したりします。

数学の問題を解く時も同じようにいろいろな工夫をします。

選択肢3

事件記録にありそうな受身表現を考えます。

「宝石が盗まれました」「人が殺されました」

これを読んで受身表現の何が理解できるだろう?

①受身表現では主語が動詞の対象になること

②ニュースではよく受身表現を使うこと

受身表現の理解に事件記録はいいかもしれませんが、ストラテジーとを使い分けるイメージが浮かびません。

選択肢4

シンプルな作業ですね。いろいろなストラテジーはいらなそうです。

よって、答えは2です。

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テクストからの学習とは?

テクストからの学習とは、テクストを読んでその内容を自分が知っている知識と結び付けて理解し、使える知識にすること。テクストからの学習をすることで応用問題にも対応できる。ただの暗記とは異なる。

この定義からあらためて選択肢を見てみると

テキストから得た知識を使っているのは選択肢2だけだということがわかります。

参考:テキスト理解テキスト学習研究

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過去問を現実に役立てよう

「テクストからの学習(leaning from a text)」

これは私が下の記事で言っていることです。

Kintsch(1994)は、テキストの理解には、①remembering a text(テキストの記憶)と②leaning from a text(テキストからの学習)の2つがあるといいました。

過去問をやっているのに受からない人は

①テキストの記憶

にしかなっていないからです。

①テキストの記憶では、そのテキストのことしか理解しないので

応用問題に対応できないのです。

そうではなく

②テキストからの学習

テキストの言っていることを自分の知っていることと結び付けて整理して理解します。

そうすることで応用問題にも対応できるようになります。

私のブログと動画では

②テキストからの学習

のための方法を繰り返しています。

これからも

②テキストからの学習

すなわち

過去問からの学習

を意識して勉強していきましょう。

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YouTubeで過去問徹底解説動画

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