【複合語と連体修飾の違い】平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(4)の解説

H29試験Ⅰ

H29(2017年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰの問題2(4)の解説です。

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問題の解き方

【】内がどんな誤用か検討

遊ぶもの」と言うべきなのに「遊びもの」と言ってしまった誤用です。

「遊び」と「遊ぶ」は何が違うでしょうか?

どちらも同じ動詞ですが活用(動詞の形)が違います。

動詞の活用がわからなかったら、一緒に使う言葉を考えてみてください。

「遊び」につながるのは……

遊びます

日本語教育文法でいうマス形(国語文法でいう連用形

「遊ぶ」は……

遊ぶ。で文が終わる。

あるいは後ろに名詞が来る。「遊ぶもの」

文が終わるから、国語文法でいう終止形だ!

後ろに名詞が来るのは、国語文法でいう連体形だ!

どちらも日本語教育文法では辞書形です。

【】内は

「遊び」(動詞)+「もの」(名詞)

後ろに名詞が来る場合、動詞は辞書形等(連体形)にしなければなりません。

ですが、マス形(連用形)になっているので誤りです。

各選択肢が同じ誤用か検討

各選択肢の誤用を

【】内と同じように

マス形→辞書形

に変えてみましょう。

  1. 吸うものは最初に持ってきてください ×→飲みもの
  2. 書くものは自分で用意してください 〇
  3. ちょっと、つかむものを取ってください 〇
  4. すみませんが、ふくものはありませんか 〇

選択肢1だけ変です。飲み物というべきでしょう。

よって、答えは1

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試験勉強を日本語教師の仕事につなげよう

出題意図を考えよう

誤用問題は常に

「どうして学習者は間違えのか」

という視点を持ってください。

誤用は授業準備をするときの素材になります。

「この文型は、こういう誤用が多いから気をつけよう」

「どう見せれば、誤用が減るだろうか」

教案(授業の流れを書いたもの)を作る際に考える大切なことです。

それを伝えたくて出題者は毎年せっせと誤用問題を作っています。

どうして学習者は間違えたのか

さて今回の問題です。

どうして学習者は

「遊びもの」

と言ってしまったのでしょうか。

答えはCMの後ですが

見る前にまずは考えてみてください。

ヒントは

選択肢1

です。

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「飲みもの」と「飲むもの」の違いとは?

実は選択肢1のような間違いをする学習者は少ないでしょう。

「吸いもの」よりも「飲みもの」の方がよく使う言葉なので、

「飲みもの」を「吸いもの」と言い間違える可能性は低いです。

これはよくある学習者の誤用ではなく

正解を作るために出題者が苦し紛れに作った文

だと思われます。

一方で

【】内と選択肢2から4の間違えはありえそうです。

「飲みもの」というよく使う言葉に引っ張られて

動詞のマス形+もの」は「動詞のためのもの」という意味

例)「書きもの」→「書くためもの」

という間違ったマイルールを作ってしまったのでしょう。

ですが

飲むもの」は自由に作って構いませんが

飲みもの」は勝手に作ってはいけません

これは連体修飾節複合語の違いです。

「飲むもの」は連体修飾節

「飲みもの」は複合語

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連体修飾節と複合語の違いとは?

連体修飾節とは?

日本語初級で難しい文法の一つが連体修飾です。名詞修飾とも言います。

連体修飾とは、名詞を修飾すること。

初級では、動詞が名詞を修飾する連体修飾を習います。

例)

昨日買ったプリン

「プリン」という名詞を「昨日買った」という動詞が修飾しています。

修飾とは、どんなものか説明することです。

ここではどんなプリンか説明しています。

「昨日買った」のように名詞を修飾する節のことを連体修飾節と言います。

とは、述語を中心としたまとまり

例えば、

昨日買ったプリンを弟に食べられた。

という文の場合、

「昨日買った」が連体修飾節

「プリンを弟に食べられた」が主節

になります。

節は語を組み合わせることで無限に作ることができます

例)

昨日買ったプリン

先週作ったプリン

先月彼女が作ってくれたけどまだ食べていないプリン

……

複合語とは?

動詞は、マス形のマスをとると名詞になります。

例)

にぎります→にぎり

待ちます→待ち

叫びます→叫び

この名詞化した動詞たちは、他の語とタッグを組んで、複合語になることが多いです。

複合語とは、2つ以上の単語が仲良くなって一つの単語になること

例)にぎりずし、食べ放題、待ち合わせ、飲み食い、箸置き、行き先、抱き合わせ商法…

複合語は、語です。単語です。

単語は勝手に作っても通じません。

例えば私が

「お腹が空いたけど、ダイエットしているし、今食べたら夜お腹がすいて夜食を食べてしまうおそれがあるからまだ食べたくないというもやもやした気持ち」を表して

「すきはらもや」

という単語を作ったとしましょう。

私「ちょっと今、すきはらもやなんだよね」

友人「(何言っているんだコイツ…)」

こうなります。

単語は、個人が勝手に作っても通じません。

選択肢のようにシンプルであれば意味はなんとなく伝わりますが、新語をどんどん作られると困ります。あるいは松本人志さんのように影響力があれば、新語を作ることもできるかもしれませんが、一般人には無理です。

それが、節との違いです。

学習者は、語と節の違いを理解できていなかったのです。

あるいは、新しい語に挑戦して失敗したのです。

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【「は」と「が」の違い】平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(4)(5)の解説
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