ハマゼミコミュニティ読書会で言語学の教室を読みました。
その時の動画はこちらから見ることができます。
言語学の教室は日本語教育能力検定試験に出題されそうなネタの宝庫ですし、日本語教師としても知っておくべき知識で溢れているのでぜひ一度読んでみてください。
以下は私が読んだ時のメモ
間接受身【なぜ「雨に降られた」は自然なのに「財布に落ちられた」は不自然なのか】
①受身
②諦念
自分ではどうしようもないという諦めの感覚
「財布を落とした」のは自分が原因なので自分ではどうしようもないという諦めの気持ちにならない。
③他者性
これらがそろっていると受身で表現
「オナラに出られた」「にきびに出られた」と言わないのは他者性がないから
「てくる」の意味
「てくる」は心理的な接近を表す。
私に対する心理的距離が近づいたときに「てくる」で表現
1)Aさんが猫に話しかけてきた×
2)Aさんが私の猫に話しかけてきた○
1)が言えないのは私に対する心理的距離とは関係ないから。
日本語教師はプロトタイプを教えるべき
幼い子供に「鳥」を伝えるときに「ペンギン」ではなく「スズメ」等の「鳥らしい鳥」を使うように
学習者に新しい語彙を伝えるときは典型例(プロトタイプ)を使うべし。
日本人と使役構文
語彙的使役動詞
語彙的使役動詞とは、「開(あ)く」と「開ける」のように自他対応している方の他動詞
語彙的使役構文とは、語彙的使役同士を用いた使役構文
語彙的使役構文の例
・彼は窓を開けた。
・彼は財布をバッグに入れた。
迂言的使役動詞
迂言的使役動詞とは、「読ませる」のように、動詞と助動詞「せる」を組み合わせた動詞
迂言的使役構文とは、迂言的使役動詞を用いた使役構文
「迂言」の読み方は「うげん」
迂言的使役構文の例
・先生は学生に本を読ませた。
メトニミー「村上春樹を読んでいる」
「村上春樹を読んでいる」は「村上春樹」という語で「村上春樹の作品」を指しているのでメトニミーだが、これをメトニミーではなく単なる省略とみなす言語学者もいる。
「桃が流れる」や「川が流れる」もメトニミーと考えることができる。
「流れる」は本来、水のような流体の動きを指すが「桃」は流体じゃない。