言語権とは

用語集
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言語権とは、自らが望む言語を使うことができる権利

言語権は、個人や集団が自らの言語を使う権利を含む幅広い権利ですが、その中でも 母語の保障としての言語権公用語習得としての言語権 は異なる視点で語られます。以下、それぞれについて説明します。

1. 母語の保障としての言語権

母語の保障としての言語権とは、個人や集団が自らの母語を使用し、学び、保持する権利を指します。この権利は、特に少数言語話者や移民、先住民族などにとって重要であり、文化的アイデンティティを維持し、母語を次世代に伝えるために不可欠です。

  • 目的: 文化的な自己表現とアイデンティティの尊重を保ち、少数言語や母語が消滅することを防ぐこと。
  • 実例: 先住民族のアイヌ語や琉球諸語(沖縄方言など)を母語とする人々が、その言語を学び、使用する権利を保障すること。学校教育で母語を補助的に使用したり、地域での母語教室を開いたりする取り組みなどが該当します。
  • 意義: 母語を保持することは、個人やコミュニティの文化的アイデンティティの維持につながり、地域の言語的・文化的多様性を尊重し、共生社会の形成に寄与します。

2. 公用語習得としての言語権

一方、公用語習得としての言語権とは、国や地域で使用される公用語を学び、習得するための権利です。移民や少数言語話者がその地域の公用語を理解し、使用できるようにすることで、社会で平等に生活し、機会を享受できるようにするための権利です。

  • 目的: 公用語を学ぶことで、社会参加や仕事、教育、医療、行政サービスなど、日常生活において公平な機会とアクセスを得られるようにすること。
  • 実例: 日本では、日本語を母語としない住民や外国人に対して、日本語教育の機会を提供し、日本語の習得をサポートする自治体の取り組みや学校での日本語指導がこれに当たります。
  • 意義: 公用語を習得することにより、社会での情報アクセスやコミュニケーションが円滑になり、地域社会での公平性や社会的な一体感が促進されます。

両者の関係とバランス

母語の保障としての言語権と公用語習得としての言語権は、共に重要であり、特に多文化共生を目指す社会においては、両者のバランスが求められます。

  • 共存の重要性: 公用語習得を推進する一方で、母語も保障することで、個人の文化的なアイデンティティを損なうことなく、その社会で生活しやすくすることが可能になります。
  • 教育の現場での対応: 例えば、日本語教育と並行して、児童・生徒の母語も尊重する「多言語支援プログラム」を提供することで、学習者が自信を持って公用語を学びながら、母語も維持できます。

まとめ

  • 母語の保障としての言語権は、個人やコミュニティのアイデンティティの維持と、少数言語の保護のために不可欠です。
  • 公用語習得としての言語権は、社会で公平に生活し、機会を得るために重要であり、特に移民や少数言語話者にとっては社会参加の基盤を築く役割を果たします。
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言語権でやりたい過去問

令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問4

・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題17(記述問題のキーワード)

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