ら抜き言葉は何が悪い?
ら抜き言葉とは、2グループ(一段活用)の動詞と「来る」の可能形「ーられる」が「ーれる」になること。
ら抜き言葉の具体例
・明日は来れますか?
本来は「来られる」なのに「ら」が抜けて「来れる」になっているのがら抜き言葉
どうして「ら抜き言葉」は生まれたの?
2グループの動詞(&来る)は可能形、受身形、尊敬形の形が同じでわかりにくいから。
例)
先生は鬼に食べられた(受身形)
先生は鬼を食べられた(可能形or尊敬形)
・「ら抜き言葉」の発生は、一段動詞の可能動詞化として捉えられる(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1問3)。
ら抜き言葉の見分け方
ら抜き言葉を見分ける問題
以下の言葉のうち、どれが「ら抜き言葉」ですか?
1 書ける
2 飲める
3 見れる
4 読める
5 出れる
6 考えれる
7 休める
8 触れれる(ふれれる)
9 触れる(さわれる)
ら抜き言葉を見分ける問題の答え
ら抜き言葉は2グループの動詞(上一段動詞と下一段動詞)と「来る」です。
なので、「ら抜き言葉」かどうか見分けたいときは、何グループの動詞が判断すればいいです。
動詞のグループの見分け方は、辞書形→ナイ形にすればわかります。
詳しくは下の記事をどうぞ。
1 書ける→書く(辞書形)→書かない(ナイ形)
「aない」なので1グループの動詞(五段動詞)
ら抜き言葉ではない。
「書ける」は、1グループの動詞の可能形(五段動詞の可能動詞)です。
2 飲める→飲む→飲まない
「aない」なので1グループの動詞(五段動詞)
ら抜き言葉ではない。
「飲める」は、1グループの動詞の可能形(五段動詞の可能動詞)です。
3 見れる→見る→見ない
「iない」なので2グループの動詞(上一段活用の動詞)
ら抜き言葉です「見られる」
4 読める→読む→読まない
「aない」なので1グループの動詞(五段動詞)
ら抜き言葉ではない。
「読める」は、1グループの動詞の可能形(五段動詞の可能動詞)です。
5 出れる→出る→出ない」
「eない」なので2グループの動詞(下一段活用の動詞)
ら抜き言葉です「出られる」
6 考えれる→考える→考えない
「eない」なので2グループの動詞(下一段活用の動詞)
ら抜き言葉です「考えられる」
7 休める→休む→休まない
「aない」なので1グループの動詞(五段動詞)
ら抜き言葉ではない。
「休める」は、1グループの動詞の可能形(五段動詞の可能動詞)です。
8 触れれる(ふれれる)→触れる(ふれる)→触れない(ふれない)
「eない」なので2グループの動詞(下一段活用の動詞)
ら抜き言葉です「触れられる」
9 触れる(さわれる)→触る(さわる)→触らない(さわらない)
「aない」なので1グループの動詞(五段動詞)
ら抜き言葉ではない。
「触れる」は、1グループの動詞の可能形(五段動詞の可能動詞)です。
ら抜き言葉は使う人が初めて過半数を超えました【平成27年度国語に関する世論調査】
ら抜き言葉は違和感がある、嫌い、ビジネスでは使うべきではないという人もいれば
ら抜き言葉は間違いではないという人もいます。
書き言葉では使わない人が多いかも。
また動詞によっても違います。
文化庁が平成27年度(2015年)に行った国語に関する世論調査で初めて「ら抜き言葉」が多数派になる例が出ました。
![](https://www.hamasensei.com/wp-content/uploads/2021/09/平成27年度国語に関する世論調査「ら抜き言葉」.jpg)
「見る」「出る」は「見られる」「出られる」よりも、ら抜き言葉である「見れる」「出れる」を使う人の方が多いです。
「食べる」「考える」は「食べられる」「考えられる」よりも、ら抜き言葉である「食べれる」「考えれる」を使う人は少ないです。
「ら抜き言葉」で日本語は美しくなった【ゆる言語学ラジオ】
ら抜き言葉は驚くべき言葉の進化です。
下の動画はわかりやすいので一度見ておいてください。
5:28~からです。
ら抜き言葉が登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問5【「何も考えられません」と言うべきところを「何も考えれません」と言う】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問2【現在も進行中である長期的な歴史的変化は?】→動詞における受身形と可能形の分化
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問4選択肢1と2【言語現象「ら抜き言葉の使用」】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題6の8番c【ら抜き言葉の使用】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1【ら抜き言葉の例】
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1問3【ら抜き言葉に関する記述】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題4の3番問1選択肢d【ラ抜き言葉】