[間違いの種類]令和2年度 日本語教育能力検定 試験Ⅰ問題7の解説

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令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題7【誤用の種類】の解説です。

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日本語教育能力検定試験に毎年出る学習者の誤用に関する最強の本とは

誤用で最も有名な本は『日本語誤用辞典』です。

私の恩師は「教案作成の際はこの本を引くように」とよく言っていました。

普通の人にはお勧めしません。

たいていの日本語学校には置いてありますし、とても分厚い本ですし、3520円とお高いですから。

ですが

学習者の誤用は日本語教育能力検定試験の様々なところで出てきますし、パラパラと見てもおもしろいですし、圧倒的情報量と網羅性にしてはかなりお買い得だと思いますし、なにより、経験のない日本語講師は学習者がどんなところにつまづくのか知らないので、この本を読んでおくことで学習者がミスしやすいところを前もって知ることができ、落ち着いて授業にのぞむことができます。

学習者が間違えたときに、

「この間違いはあの本で見たぞ」

とニヤリすることができます。

誤用に関する本が一冊ほしいという方には迷いなく『日本語誤用辞典』をおススメします。

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問1 逆行の例

逆行とは、逆に行くこと、つまり、できていたはずのものがまたできなくなること。

初めて聞いた言葉だとしても漢字から何となく意味がわかりますね。

漢字って素晴らしい。

選択肢1

英語など学習者の母語で日本語の言葉を並べてしまった誤用かと。

選択肢2

これも選択肢2と同じく学習者の母語の影響が表れています。

選択肢3

学習者の習得の過程で幼児語は普通現れないです。

選択肢4

言えていたものが言えなくなる、これが逆行。

私もタイ語で逆行の経験を何度もして泣きそうになりました。

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問2 文法的な正確さに関わる誤用の例

選択肢1

「薬が風邪を治した」という文に文法的な不正確さはないです。

でも日本語ではこのような言い方をしません。学習者の母語の影響でしょう。

日本語では自分に近いものを主体にして表現します。

自分の外にある薬よりも自分のなかにある風邪を主語にした方がよさそうです。

例)風邪は治りました。

選択肢2

「駅への道を教えてくれませんか」よりも「私はどこにいますか」のほうが簡単です。

これは第二言語の習得過程で、適切な表現ができずに単純な文で言っているのですね。

文法的に不正確ではありません。

選択肢3

「ときに」を使うべきなのに「うちに」を使ってしまった文法的誤りです。

選択肢4

これも選択肢1と同じように日本語では自分を主体にしていいます。

例)パソコンが盗まれました。

よって、答えは3

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問3 語形成の例

市川保子編著『日本語誤用辞典』では、学習者の誤用を「脱落・付加・語形成・混同・位置・その他」の6種類に分類しています。

脱落当該項目を使用しなければいけないのに使用していない誤用。その項目がないと非文法的になる場合と、非文法的ではないが、適切ではないという場合がある。
付加脱落とは逆に、当該項目を使用してはいけないところに使用している誤用。
誤形成「したがって」を「たしがって」にするなどの形態的な誤り。
混同助詞「は」と「が」、接続詞「そして」と「それで」などのように、当該項目を他の項目と混同していることによる誤用。
位置当該項目の文中での位置がおかしい誤用。
その他以上の五つに属さないが、当該項目と密接に関係すると判断される誤用。
市川保子編著『日本語誤用辞典』p7より

選択肢1

「に対して」と「を」という助詞を混同した誤りです。

選択肢2

高いの「て形」の形を間違っているので誤形成です。

選択肢3

「が」の位置の誤りです。

選択肢4

「から」と「を」という助詞を混同した誤りです。

よって、答えは2

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問4 母語の影響が考えられる発音の誤用の例

こういう知識問題に時間をかけても仕方がないので、わからなかったスキップすべき問題です。

選択肢1

dentist”と”tenth”など、英語にも日本語の「デン」と「テン」のような音の区別があるのでこれが違うでしょう。

選択肢2

よくわかりません。

選択肢3

hanaがanaになっているということは、hの発音がない国なのかと思いますが、タイ語にもhの発音はあり、私はタイでもちゃんと「hama」と呼ばれていましたので、これは違うと思います。

選択肢4

よくわかりません。

よって、答えは2か4かと。

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問5 学習者の言語処理ストラテジーのうち付加のストラテジーの例

言語処理のストラテジー?

付加のストラテジー?

聞いたことのない言葉に戸惑います。

そんな時はわかる言葉から考える。

言語処理とは、言葉をどうやって扱うか。

ストラテジーとは、工夫。

付加とは、付け加えること。

つまり、

言語処理ストラテジーの付加のストラテジーとは「言葉を扱うときに何かを付け加えること」と推測

実際にも、

付加のストラテジーとは、ひとかたまりの語に機能を持たせて、その機能を使いたいときにその語を付加するというストラテジーのことです。

例1)「かった」=過去形という機能を持たせて、「おいしいかった」「きれいかった」という。

「い」を落として「おいしかった」といったり、ナ形容詞には「でした」を使ったりだと複雑なので、シンプルなマイルールを作る。それが付加のストラテジー

各選択肢を見て、付け加えているものを探します。

選択肢1

「あるじゃない」は、「ある」に「じゃない」を付け加えています。

選択肢2

「その」が「あの」になっています。付け加えてはいません。

選択肢3

「で」が「に」になっています。付け加えてはいません。

選択肢4

「考えられません」が「考えれません」になっています。

付け加えるどころか「ら」が抜かれています。

ら抜き言葉です。

よって、答えは1

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