試験Ⅱ問題6が最も大切な理由とは?
聴解問題6は文法の誤用問題
文法問題・誤用問題は試験Ⅱ以外でも多く出ます。
つまり試験Ⅱ問題6ができるようになれば他もできるようになるということ!
そこで問題集を用意しました。
完璧にして試験に向かいましょう。
問題6の解き方
試験Ⅱの問題6は、毎年、学習者が言う短い文の中から、誤りを判別する問題です。
例が流れている間に、1番~の選択肢を読めるだけ読んで確認しておきましょう。
問題6が苦手な人はこちら。10年分の選択肢を分析しました。
①学習者の誤りを直してみる。
②誤りと正しい文を比較する。
③選択肢から探す。
1番
学習者の誤りを直してみる。
「この問題のどこは間違っていますか」→「この問題のどこが間違っていますか」
「は」と「が」の間違いなので助詞の間違いですね。
「が」は格助詞
「は」は取り立て助詞
え、取り立て助詞が選択肢にない…
と焦ったらいけません。助詞が違うんだからcだろうという決断力が問われる試験です。
なお、「は」は係助詞とも言います。
よって、答えはc
係助詞は試験Ⅰ3Dに出てきた言葉です。
忘れた方はこちらの記事を見てください。
このように日本語教育能力検定試験では、同じ年度の試験内で同じキーワードを複数回使用してくることがよくあります。
2番
「今日は500円しか持ってる」→「今日は500円しか持ってない」
「しか」のときは「ない」を使うということを忘れていた誤りです。
実際「しか」なのに否定形を使わない誤りは学習者に多いです。
このように、ある言葉を使ったとき、後ろに決まった語が来ることを「呼応」と言います。
「しか」が呼んだら「ない」が応えるんですね。
よって答えはdです。
3番
「これは日傘(ひがさ)ではなく、雨傘(あめがさ)です。」→「あまがさ」
「あめ」が「あめがさ」のように、語が複合する時、前の語の母音が変わることを転音といいます。
よって答えはaです。
4番
「今日、暑いからビールを冷えておきましたよ」→「今日、暑いからビールを冷やしておきましたよ」
「冷える」は自動詞
「冷やす」は他動詞
他動詞を使わなきゃいけないのに自動詞を使った誤りであることはすぐわかります。
ところが選択肢を見ると、「無対自動詞」「有対他動詞」とか聞きなれない言葉が…
なんじゃこりゃー!???
と焦ったらそこで試合終了です。
冷静に漢字を見てみる「対が有る」「対が無い」
「対(つい)の言葉」とか「対立する」とかなら聞いたことがあるぞ。
そうか、自動詞と他動詞の対立が有るってことかな?
よって答えはdです。
有対動詞とは、自動詞と他動詞の対立がある動詞。つまり自動詞も他動詞もあると言うことです。例)「開ける」が他動詞、「開く」が自動詞
有対他動詞とは、自動詞と他動詞の対立がある動詞のうちの他動詞。例)「開ける」は有対他動詞
無対動詞とは、自動詞と他動詞の対立がない動詞。
無対自動詞とは、対立する他動詞がない自動詞。
5番
「兄は日本のアニメについてよく知ります」→「兄は日本のアニメについてよく知っています」
「ている」と言えばアスペクト!
これは過去問を何度もやっていれば常識ですね? しょっちゅう出てきますから。
よって答えはaです。
6番
「ニュースによって、ゴリラの赤ちゃんが生まれたそうです」→「ニュースによると、ゴリラの赤ちゃんが生まれたそうです」
「によって」は「に」+「よって」
「によると」は「に」+「よると」
複合助詞とは、複数の語がくっついて助詞の機能を果たすもの。
よって答えはcです。
7番
「先生、これから大使館に行くので早退していただけませんか」→「先生、これから大使館に行くので早退させていただけませんか」
「させて」という使役形を使うべきだったのにつかっていないので
答えはdです。
8番
「敬語が少しだけ、わかれるようになりました」→「敬語が少しだけ、わかるようになりました」
この間違いも学生はよくします。可能形を導入する時に、「わかる」というのは「理解することができました」ということで、可能の意味がすでに入っているから、「わかれる」という可能形にはできないんですよ、と伝えておかなければなりません。
よって答えはaです。
授業に役立つ豆知識
日本語教育能力検定試験では、学習者の誤用が試験Ⅰでも試験Ⅱでも出てきますが、これらのほとんどは実際に学習者がよくやる間違いです。
どうして学習者は間違ってしまうのか?
実際に教える時に、日本語教育能力検定試験で勉強したことを思い出してみてください。日本語教育能力検定試験で間違いを判別する力を養えば、学習者が間違えた時に、いいアドバイスができると思います。
各選択肢の例をもっと知りたい方へ
上の記事では過去10年分の選択肢を網羅しています。
上の記事に行き
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Macのパソコンは「command + F」
で検索窓が出ます。
そこに選択肢のキーワードを入力すれば、同じような選択肢が登場した過去問を調べることができます。