試験Ⅱ問題2では毎年、学習者のプロソディ(韻律的特徴・超分節的特徴)に関する発音上の問題を見分けます。超分節的特徴は試験Ⅰの問題3Aにも出てきましたね。
まずは各用語の意味を理解しましょう。
拍の長さ | 日本語は基本、ひらがな1つで1拍です。拗音(きゃきゅきょ)はセットで1拍 |
プロミネンス | どこを強く言うか。強調するか。 |
アクセントの下がり目 | 単語ごとに考えます。日本語は高低アクセント。どこで下がるかが大事です。 |
句末・文末イントネーション | 文(句)ごとに考えます。最後が上がるか下がるか。 |
問題2の解き方
問題2は「教師が、学習者の発音上、問題のある個所を言い直します」
つまり、「学習者の発音」と「教師の発音」の違うところが答えです。
例の音声が流れている間に選択肢を見て、同じ言葉を探しましょう。
たくさん出てくる言葉が正解の可能性が高いので、同じ言葉を同じマークで分けておきましょう。
例えば
拍の長さは:〇
プロミネンスは:△
アクセントの下がり目は:アンダーライン(下線)
句末・文末イントネーションはマークなし
詳しくは下記記事参照
1番
まず、選択肢を見て、複数ある言葉を探す。
拍の長さ:b,d
プロミネンス:b,c
アクセントの下がり目:c,d
「拍の長さ」か「プロミネンス」か「アクセントの下がり目」か考えながら聞く。
「会いたい」が「会いったい」になっているのはすぐわかる。
「会いたい」:4拍
「会いったい」:5拍
拍の長さが誤っているので、bかd
プロミネンスかアクセントの下がり目か。
アクセントに違和感はなかった。
教師が直すときに「家族」を強調していた。
よって答えはb
2番
選択肢を見て複数ある言葉を探す。
拍の長さ:a,d
プロミネンス:b,d
アクセントの下がり目:c,d
「拍の長さ」か「プロミネンス」か「アクセントの下がり目」か考えながら聞く。
「疲れちゃった」が「疲れちゃた」になっているのがすぐわかる。
「つかれちゃった」:6拍
「つかれちゃた」:5拍
拍の長さが誤っているのでaかd
アクセントにも違和感があった。
「つかれちゃった」は
「低高低低低低」と「か」の後で下げるべきなのに
「つかれちゃた」
「低高高高低」と「ちゃ」の後で下がっていた。
よって答えはd
3番
選択肢を見て複数ある言葉を探す。
プロミネンス:b,d
句末・文末イントネーション:c,d
「プロミネンス」か「句末・文末イントネーション」に問題がありそうだと予測しながら聞く。
「行こう」が強いのがわかる。
プロミネンスの問題
答えはbかd
文の最後「行こーよ」が変に上がったりはしていなかったので「句末・文末イントネーション」はOK
よって答えはb
4番
選択肢を見て、複数ある言葉を探す。
拍の長さ:a,d
アクセントの下がり目:b,c
「拍の長さ」か「アクセントの下がり目」に問題がありそうだと予測しながら聞く。
「うさぎが」のアクセントが何か変だ。
「低高高高」で言うべきなのに「低高高低」で言っている。
答えはbかc
プロミネンスの問題があるかどうか。
質問は「なにがいるんですか?」なので
プロミネンス的に正しいのは「うさぎ」を強調
そこに違和感はない。
よって答えはb
5番
選択肢から同じ言葉を探す。
拍の長さ:a,b
プロミネンス:b,c
アクセントの下がり目:c,d
「拍の長さ」か「プロミネンス」か「アクセントの下がり目」か考えながら聞く
「大変」が強いことが分かる。
でも「大変でしたね」と質問者が分かっていることを強調するのは変。普通は新情報を強調する。ここでの新情報は「すごく」だから「すごく」を強調すべき。
プロミネンスの誤り。
「たいへん」のアクセントにも違和感がある。
「低高高高」で言うべきなのに「低高高低」になっている。
よって答えはc
6番
選択肢から同じ言葉を探す。
拍の長さ:a,b
アクセントの下がり目:a,c,d
句末・文末イントネーション:b,d
「アクセントの下がり目」は3つ出てくるので「アクセントの下がり目」に問題のある可能性が高い。
「アクセントの下がり目」+「拍の長さ」か「プロミネンス」か「句末・文末イントネーション」か、考えながら聞く。
やはり「くれました」のアクセントに違和感。
「低高高低低」で発音すべき(「ま」の後で下がるべき)なのに「低高低低低」になっている(「れ」の後で下がっている)。
最後にも違和感がある。「たあ?」と半疑問形のように上がっている。
句末・文末イントネーションに問題がある。
よって答えはd