フィードバックの方法
フィードバックとは、学習者のアウトプット(発話など)に対する教師の反応です。
みなさんは学習者が間違えたときどうしますか? どうやって訂正しますか?
例えば…
授業で次のような会話がありました。
T:昨日は何をしましたか?
L:昨日、ラーメンを食べます。
みなさんがT(先生)だった場合、L(学習者)の発話に対し、どのようなフィードバックをしますか?
考えてみてください。
自分なりの結論を出した後に
この後を読んでください。
フィードバックのパターン
学習者が間違いを訂正する場合、以下のような方法が考えられます。
①正しい答えを教える(明示的訂正)
T:昨日は何をしましたか?
L:昨日、ラーメンを食べます。
T:違います。「昨日、ラーメンを食べました」です。
②さりげなく直す(リキャスト)
T:昨日は何をしましたか?
L:昨日、ラーメンを食べます。
T:そうですか。昨日、ラーメンを食べましたか。
③自分で正しい答えにたどり着けるよう促す(プロンプト)
T:昨日は何をしましたか?
L:昨日、ラーメンを食べます。
T:え、昨日、ラーメンを食べます?
L:あ、昨日、ラーメンを食べました。
リキャストとは?
リキャストとは、自然な会話の中でさりげなく正しい言い方を伝えること。
リキャストとは、会話の流れを保ったまま適切な表現を提示すること(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問2)。
リキャストの例
L「私は漢字を読むできます」
T「へー。漢字を読むことができますか。いいですね」
フィードバックの種類からプロンプトを選ぶ問題
以下はいろいろなフィードバックの種類です。
このうち、プロンプトに当たるのはどれですか? 考えてみてください。
直接訂正 (明示的訂正) | 直接訂正する。 例)学生「私は漢字を読むできます」先生「違います。「漢字を読むことができます」です」 |
明確化要求 | 学習者に言い直しを求める。 例)学生「漢字を読むできます」先生「え? もう一度お願いします」 |
誘導 | 正しい文を途中まで教師が言って誘導する。 例)学生「漢字を読むできます」先生「漢字を読む…?」 |
繰り返し | 学生の誤りを繰り返す。 例)学生「漢字を読むできます」先生「漢字を読むできます?」 |
プロンプトとは?
プロンプトとは、学習者自身が間違いに気づき発話を修正できるように促すこと
プロンプトの例
上の問題では、明確化要求、誘導、繰り返し、がプロンプトになります。
・プロンプト(明確化要求)
L「漢字を読むできます」
T「え? もう一度お願いします」
・プロンプト(誘導)
L「漢字を読むできます」
T「漢字を読む…?」
・プロンプト(繰り返し)
L「漢字を読むできます」
T「漢字を読むできます?」
リキャストとプロンプトの違いとは?
「リキャスト」も「プロンプト」も日本語教育能力検定試験によく出てきます。
どちらもフィードバックの場面で出てくる聞き慣れないカタカナ用語なので混同してしまう人が多いです。
リキャストは教師が正解を言います。さりげなく直します。
プロンプトは教師が正解を言いません。学習者が正解にたどり着けるよう促します。
という違いがあります。
明示的フィードバックと暗示的フィードバックの違い
明示的フィードバックとは、間違っていることをはっきり示すフィードバック。直接訂正など。
暗示的フィードバックとは、間違っていることをはっきり示さないフィードバック。リキャストなど。
フィードバックの種類が出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題4の1番問1【フィードバックの方法としてこの教育実習生が用いていないのは?】
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問4【教師によるフィードバックの留意点】
・令和元年日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問2【フィードバックの一種であるリキャストの例を選ぶ問題】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4【誤用とフィードバック】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問4【プロンプトの例】
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問2【フィードバックの一種であるリキャストの説明を選ぶ問題】
・平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9問2選択肢3【明示的フィードバック】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10【フィードバック】