敬体 (けいたい)とは
敬体とは、相手に対して敬意や礼儀を表すための言い方です。正式な場や目上の人と話すときに使います。敬体は、動詞や形容詞の語尾が「〜です」「〜ます」(polite form)で終わるのが特徴です。です・ます調、です・ます体とも。
日本語教育では丁寧体
例:
- 行きます(敬体)
- 美しいです(敬体)
常体 (じょうたい)とは
常体は、通常の話し言葉で、親しい人や友達、家族との会話など、カジュアルな場面で使います。常体では、動詞や形容詞の語尾が「〜だ」「〜である」「〜る」など、普通形(plain form)で終わるのが特徴です。だ・である調、だ・である体とも。
日本語教育では普通体
例:
- 行く(常体)
- 親しい人に対して使う、自然でカジュアルな言い回しです。
- 美しい(常体)
- 物事についての感想を、親しい人に自然に述べる言い方です。
主な違い
項目 | 敬体 | 常体 |
---|---|---|
使用場面 | 目上の人や初対面の人、正式な場で使用 | 友人や家族、親しい人との会話で使用 |
語尾 | 〜です、〜ます(丁寧) | 〜だ、〜る、(普通形) |
例文 | 今日はとても暑いですね。 | 今日はとても暑いね。 |
目的 | 相手への敬意や礼儀を表す | 親しみやフレンドリーさを表す |
まとめ
- 敬体:丁寧で礼儀正しい言い回し。目上の人や正式な場で使う。
- 常体:親しい関係で使う自然な言い回し。日常的な会話やカジュアルな場で使用。
敬体と常体は、使う場面や相手に合わせて使い分けることが重要です。
文体には丁寧体と普通体があり、書き言葉でも話し言葉でも使い分けがある。普通体には、「ダ体」と「デアル体」があり、論文等では後者が使用される。一般に、同一文章内の文末の文体は統一される。しかし、話し言葉では、一つの会話の中で相手に丁寧体を用いていても、同じ相手に突然、普通体が使用される場合がある。このように丁寧体と普通体が交替する現象を(ア)と呼ぶ。
従属節内の述語は普通体が用いられることが多い。文末が丁寧体の文では、従属節内も丁寧体になることがあるが、従属節の従属度が高い場合は普通体になる。
日本語教育においては、友達同士は普通体で話すと指導するが、丁寧体の会話と比べて普通体による会話にはいくつか特徴があり、注意が必要である。
(16)「デアル体」の説明として最も適当なものは?
1 名詞・イ形容詞・ナ形容詞・動詞の全てに「である」が付く。
2 名詞・イ形容詞・ナ形容詞に「である」が付き、動詞は「ダ体」と同じ形をとる。
3 名詞・ナ形容詞に「である」が付き、動詞・イ形容詞は「ダ体」と同じ形をとる。
4 名詞に「である」が付き、動詞・イ形容詞・ナ形容詞は「ダ体」と同じ形をとる。
日本語教育では、初級の段階から丁寧体と普通体の違いを意識させる指導が行われていることが多い。しかし、中級や上級の学習者であっても、発話が丁寧すぎて相手に違和感を与えたり、逆にくだけすぎて失礼な印象を与えることがある。そのため、中上級では、語彙や文法の正確性を求めるだけではなく、スタイルの使い分けについても学ぶ必要がある。このように、どの学習段階においても待遇表現の指導は重要である。実際の場面でスタイルの使い分けができるようになるためには、ロールプレイを用いて練習することなどが効果的である。
問1 「初級の段階から丁寧体と普通体の違いを意識させる指導」の際に用いる例文として適当なものは?
1 「どちらからいらっしゃいましたか」と「お国はどちらですか」
2 「ありがとうございました」と「ありがとう」
3 「何を召し上がりますか」と「何が食べたいですか」
4 「つまらないものですが、どうぞ」と「お土産です。どうぞ」
文体でやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3問2選択肢1【敬体表現】選択肢4【常体表現】
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3D(20)【日本語教育文法と学校文法の活用の体系の違いとは?】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1【日本語教育の文体指導】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9【日本語教育の文体指導】