「そのバッグ、素敵ですね」と褒められたとき、日本人は何と答えるでしょうか?
否定する、と答える日本語学習者が多いそうです。
その理由は日本語教科書にそう書いてあり、日本語講師がそう教えているから。
しかし、『コミュニケーション能力を伸ばす授業づくり』p61によると、実際には肯定型(「ありがとうございます。お気に入りなんです」)や回避型(「え、本当ですか。先週買ったばかりなんですよ」)のほうが多いそうです。
というように、これまでの日本語教育の問題点を指摘し、社会的・状況的文脈に基づいたリアルなコミュニケーション能力を伸ばす授業をするにはどうすればいいか、について書かれているのが『コミュニケーション能力を伸ばす授業づくり』という本です。
この前、スリーエーネットワーク主催の『コミュニケーションを伸ばす授業づくり』セミナーに参加し、とても勉強になったので買いました。内容はセミナーとほぼ同じでしたが本にはより詳しく書かれています。
といっても小さくて薄い本なのですぐに読めます。分厚い本だと開く前に挫折してしまうので、そんなところもいいですね。
後半は同著者の『ブラッシュアップ日本語会話』の使い方が載っています。
社会的・状況的文脈に基づいた会話スキルをみがくにはどうすればいいか?
この本では、例えば『許可を求める』というタスクでは、「だれにたいして」「どのような許可を求めるのか」(という点に学習者の目が行くよう工夫されています。また、単に依頼の発話を変えればよい(例「てくれない」→「ていただけませんか」)というわけではなく、その前後の会話(補助ストラテジー)が大事であることに学習者が気づくようにしています。
例えば、許可を求めるときの前置き(ちょっとよろしいですか)、理由、謝るなどが補助ストラテジーにあたります。依頼の発話(コア発話)だけでなく、補助ストラテジーも、社会的・状況的文脈に応じて変わることを示しています。
まさに私が求めていた本でした。
両方ともセミナー会場で売っていたので飛びつきました。
さっそく来週から始まる中上級者のグループレッスンに使ってみようと思います!
2018/9/2 16:59:03