直接引用とは
直接引用とは、他人の言葉や文章をそのままの形で、変更せずに引用することです。引用符(「」)を使って、発言や文をそのまま引用する方法です。直接引用では、発言者の言葉や書かれた内容を一字一句そのまま伝えます。
例:
- 彼は昨日「明日は忙しいよ」と言っていた。
- この文では、彼の言葉「明日は忙しいよ」をそのまま引用しています。
特徴:
- 発言者の言葉や文章をそのまま伝える。
- 引用符(「」)を使用して区別する。
- 他の言葉を加えず、原文のまま使う。
直接引用は、相手の言葉を忠実に伝えたいときや、発言をそのまま記録したいときに使います。
間接引用とは
間接引用とは、他人の言葉や文章をそのままではなく、自分の言葉で要約や解釈を加えて伝える方法です。発言者の意図や内容を、自分の視点や表現で伝える際に使用します。
「と」の例:
- 彼は今日は忙しいと言っていた。
- この文では、彼が言った「今日は忙しい」という内容をそのままではなく、自分の言葉で伝えています。実際に「今日は忙しい」と言ったかどうかは明確にしません。
「ように」の例:
- 彼は明日までに宿題を終わらせるように言った。
- 先生は私たちにもっと頑張るように言っていました。
- ここでは、先生が「もっと頑張れ」と直接言ったのではなく、その意図を自分の言葉で解釈して伝えています。実際にどんな言葉で言ったかは不明ですが、意味は「もっと頑張るべきだ」ということです。
- 会議が終わったらすぐに連絡するように頼んだ。
特徴:
- 他人の言葉をそのまま引用せず、内容や意図を自分の言葉で表現する。
- 引用符(「」)を使わず、文章全体が間接的に表現される。
間接引用は、他人の意見や発言を自分の視点で伝えたいときに使います。元の発言がどのように表現されていたかに関わらず、その意図を伝えることに重点を置きます。
引用の問題に挑戦
【引用節の種類】が異なるのは?
1 彼女は、今すぐ帰ると口走った。
2 花子は、信じられないとつぶやいた。
3 太郎は、疲れているんdなとこぼした。
4 その人は、いつか留学すると決心した。
4 彼は、一緒に食事をしないかと誘った。
令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(15)より引用
教室では、初級段階で直接引用と間接引用の形式の違いなど、形式面に焦点を当てて指導することが多い。そのため、教室習得環境の学習者は規範的な形式の引用表現を習得することが多い。
一方、自然習得環境にいる学習者の産出する引用表現には、次の例のように、規範的な引用表現形式とは異なる特徴が見られる。
〈自然習得環境にいる学習者の産出例〉
(家に人が訪ねてきたのか、と問われて)表ドア、「ピンポーン」って。「だれかなあ」って思ったよ。「○○はいる?」ってったから、「うんいるよ」って。
問2 「直接引用と間接引用の形式」の説明の例として適当なものは?
1 直接引用では、元発話の敬語表現は使われない。
2 直接引用では、命令の引用標語として「ように」が使われる。
3 間接引用では、元発話の文体は普通体に変更される。
4 間接引用では、元発話のダイクシス表現は使われない。
問3 「自然習得環境にいる学習者の産出例」の特徴は?
1 引用動詞を引用節に先行させている。
2 引用標識を使っていない。
3 簡略化した言語形式を使っている。
4 文要素の修飾構造が複雑である。
引用でやりたい過去問
・令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(15)【引用節の種類】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問2【直接引用と間接引用の形式】問3【自然習得環境にいる学習者の算出する引用表現】
・平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問6選択肢3【直接引用とダイクシス】