日本語の自動詞と他動詞の見分け方

公認日本語教師の試験対策
LINE友だち募集中!
はまをフォローする

動詞の自他、すなわち自動詞と他動詞の違いといえば若かりし学生時代、英語学習で散々悩まされた嫌な思い出しかありませんが日本語でも自動詞と他動詞の区別は重要で日本語教育能力検定試験では頻繁に出題されています。

スポンサーリンク
LINE友だち募集中!
はまをフォローする

自動詞と他動詞の違い

自動詞と他動詞の違いは以下のとおりです。

日本語の自動詞の意味

自動詞とは読んで字のごとく、らのきを表す(ことば)です。動作・作用が他には及びません。自らの動きだけで完結します。

自動詞の例

「猫が走る」「猫が回る

日本語の他動詞の意味

他動詞とは読んで字のごとく、作がに及ぶです。動作の対象であるヲ格必要です。

他動詞の例

「ツナを食べる」「窓の外の鳥を見る

スポンサーリンク

自動詞と他動詞の見分け方

〈を+動詞〉は他動詞

他動詞はヲ格が必要なので、動詞の前に格助詞「を」がつきます。

他動詞の例

「飼い主を噛む」「 飼い主は顔をゆがめる

ただし、例外があります。

練習問題:「橋を渡る」は自動詞or他動詞?

答えは自動詞です。 

〈〜を+動詞〉の形は基本的に他動詞ですが、「〜」に場所が入るときは自動詞になります。動作が「〜(場所)」に対して影響を及ぼしているわけではないからです。「〜(場所)」は動作の地点にすぎません。対象ではありません。

他動詞の一覧

「ツナを食べる」→食べる対象はツナ→「食べる」は他動詞

「鳥を見る」→見る対象は鳥→「見る」は他動詞

自動詞の一覧

「廊下を走る」→廊下は走る対象ではなく、走る地点に過ぎない→「走る」は自動詞

「友達と会う」→「友達を会う」とはいえないので「会う」は自動詞。他者がいなければ会えないのだから他動詞と思いがちなので要注意。「見る」は他動詞なのに「会う」は自動詞。ややこしいです。同じく「彼とデートする」の「デートする」も自動詞。

スポンサーリンク

対となる自動詞と他動詞の一覧

日本語の自動詞と他動詞は対になっているものが多いです。

1 自動詞は-iru、他動詞は-osu

自動詞 他動詞

起きる 起こす

過ぎる 過ごす

落ちる 落とす

2 自動詞が-aru、他動詞が-eru

自動詞 他動詞

上がる 上げる

集まる 集める

静まる 静める

3 自動詞が-reru、他動詞が-su

自動詞 他動詞

倒れる 倒す

汚れる 汚す

壊れる 壊す

他にも様々なパターンがあります。

スポンサーリンク

自他同形の動詞一覧

自動詞と他動詞で同じ形の動詞もあります。

同じ名詞をとる自他同形の動詞の例

閉じる

(自動詞)ドアが閉じる (他動詞)ドアを閉じる

触れる

(自動詞)手が触れる  (他動詞)手を触れる

異なる名詞をとる自他同形の動詞の例

吹く

(自動詞)風が吹く   (他動詞)笛を吹く

働く

(自動詞)知恵が働く  (他動詞)盗みを働く

自他同形の動詞の参考文献

自他が同じ形の動詞については、森田良行著『自他両用動詞から自他同形動詞』を参考にしました。森田良行著『自他両用動詞から自他同形動詞』には著者が独自に選定した自他同形の動詞が101語も載っています。

スポンサーリンク

他動詞文と使役文の違い

使役の意味

他動詞と似たものに使役があります。

使役動詞とは、語尾に「せる/させる」をつけて、他のものに何か動作をさせる意を表す動詞のことです。

使役の例

自動詞の使役の例

立つ→立たせる

入る→入らせる

他動詞の使役の例

立てる→立てさせる

入れる→入れさせる

他動詞文と自動詞使役文の使い分け

他動詞と自動詞の使役形は対象を動かすという点で意味が似ているので使い分けが問題になります。例文を使って具体的に検討してみます。

先生(A)が鉛筆(B)を立てる○ 先生が鉛筆を立たせる☓

先生(A)が生徒(B)を立てる☓ 先生が生徒を立たせる○

違いが見えてきました。

他動詞の場合は目的語(B)に対し主語(A)が直接的な影響を及ぼしていますが、自動詞使役文は命じているだけで間接的な影響しかありません。あるいは、他動詞の場合はBの意思がありませんが、自動詞使役文の場合はBの意思が介在しています、ともいえます。

詳しくは、『中上級を教える人のための日本語ハンドブック』(下記参照)の138ページに使役文と他動詞文の用法の違いに関する説明がありますので、ご一読おすすめします。

スポンサーリンク

日本語教育能力検定試験で出題された自動詞と他動詞の違いに関する問題一覧

自動詞と他動詞の違いに関する問題は以下のとおり毎年のように出題されていますので、過去の問題も要チェックです。

2011日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(4)

2012日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8)

2014日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問5

2015日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(2)

日本語を母語としない日本語学習者にとって動詞の自他の違いは難しいのですから日本語教師は動詞の自他についてきっちり勉強しておきなさいというJEESからのメッセージでしょうか。ワクワクしますね。

タイトルとURLをコピーしました