複合動詞の見分け方を簡単に説明します。

公認日本語教師の試験対策
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複合動詞の意味

複合動詞とは、2語以上の複合によってできた動詞です。

複合動詞の具体例)

思う+出す→思い出す

疲れる+果てる→疲れ果てる

走る+切る→走り切る

狭義の複合動詞は「動詞+動詞」のみ。

広義の複合動詞は「いろいろな品詞+動詞」です。

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Dの問題文では広義の複合動詞を「複合動詞」と呼んでいます。詳しくは問題文を見てみてください。

「動詞+動詞」の複合動詞の場合、前の動詞の形はマス形(連用形)になります。

「動詞+動詞」 の複合動詞は、後ろの語の役割によって、語彙的複合動詞統合的複合動詞の2つに分けられます。

学者さんによっては他の分け方をしています(「日本語複合動詞研究の現状」参照)。

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語彙的複合動詞の意味

語彙的複合動詞とは、後ろの語の意味が残っている複合動詞

語彙的複合動詞の具体例

・食べ残す

・噛み切る

語彙的複合動詞についてもっと勉強したい方は下記の論文がおすすめです。

松本曜「日本語の語彙的複合動詞における動詞の組み合わせ」

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統語的複合動詞の意味

統語的複合動詞とは、後ろの語の意味があまり残っていない複合動詞

文法的複合動詞とも。

統語的複合動詞の後ろの動詞は補助動詞と呼びます。

補助動詞は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8)で出題されました。

統語的複合動詞の具体例

・飲み切る

・使い切る

・出し切る

・走り切る

以上の例は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)より。

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語彙的複合動詞と統語的複合動詞の見分け方

語彙的複合動詞と統語的複合動詞は

動詞を分けても意味が変わらないかどうかで判断できます。

動詞を分けたら意味が変わる→統語的複合動詞

動詞を分けても意味が変わらない→語彙的複合動詞

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)の解説で具体的なやり方を説明しているので見てみてください。

語彙的複合動詞と統語的複合動詞の違いについてさらに知りたい方は、国立国語研究所所長影山太郎2012年9月24日研究発表会「動詞+動詞型複合動詞研究の現状」をどうぞ。

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複合動詞が登場する日本語教科書

中級を学ぼう中級前期第2版」の第4課p57では複合動詞「~出す」の2つの意味を勉強しますが、

1)「空間的出現」を意味する「くしゃみが飛びだす」の「だす」は、本来の意味が残っているので語彙的複合動詞

2)「開始」を意味する「雨が降りだした」の「だす」は、本来の意味が薄れているので統語的複合動詞

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前の語が動詞以外の品詞の複合動詞の例【広義の複合動詞】

名詞+動詞

・旅立つ

・名指す

・色づく

・勉強する、体験する、実施するなどのサ行変格活用の動詞(3グループの動詞)を複合動詞だと考える日本語教師は少ないですが、実はこれも広義の意味では「名詞+動詞」の複合動詞と言えます。

詳しくは、奥田智樹「日本語の複合動詞研究の諸相」をどうぞ。

形容詞の語幹+動詞

形容詞が使われるときは語幹(活用しても変わらない部分)を使います。

・若返る(若い+返る)

・かわいすぎる(かわいい+すぎる)

・長引く(長い+引く)

・元気づく(元気+つく)

副詞+動詞

・ニコニコする

・ぼんやりする

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複合動詞が出題された日本語教育能力検定試験の過去問一覧

令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8) 【補助動詞】

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(12)【「~直す」の用法】

平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B(9)選択肢4【語彙的複合動詞か統語的複合動詞か】

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)【複合動詞の意味】

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(15)【複合名詞と複合動詞の対応】

平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(6)【複合動詞の前項と後項の自他】

平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(4)【複合動詞の意味】

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3D【複合動詞】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(3)【複合動詞の名詞化】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)【複合動詞の意味】

複合動詞を学ぶのにおすすめのテキスト

『複合動詞の構造と意味用法』が複合動詞の分類と意味用法に関して権威ある本ですが、プレミアがついており1万円を超えるので素人には手が出しくかったのですが…

ついに新版が発売されました!

複合動詞といえばこの本です。

電子書籍も出してくれると感動するのですが…

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近年発売された『現代日本語における複合動詞の組み合わせ―日本語教育の観点から』は、日本語教育の本では珍しいkindle版もあるので、海外在住の日本語教師の方も容易に入手できます。著者の何志明助教授は香港人で日本語ネイティブではありません。

筆者は現在日本語の複合動詞について研究を行っているが、かつて学習者として日本語を学習していた時、複合動詞に対してさまざまな疑問を抱いていた。複合動詞に対する疑問は決して筆者1人だけの問題ではなく、日本語学習者、とりわけ中級や上級の学習者ならおそらく誰でも経験したことがあるだろう。日本語複合動詞の習得問題については、多くの学習者から「難しい」、「なるべく避けたいし、使いたくない」などのような声を筆者はしばしば耳にしてきた。また、日本語学習者が複合動詞をあまり使っていない上京は以前から日本語教師や研究社によってずっと指摘されつづけてきた課題の1つである。これらの指摘は複合動詞習得については学習者も教師も満足する結果が得られていないことを示唆している。(本書はしがきより)

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