平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅱの問題5は【日本語学習者向けの聴解教材】です。
聴解問題5の対策
各問題の前にある説明も要注意
試験Ⅱの聴解問題5は、毎年、日本語学習者向けの聴解教材を聞いて複数の問いに答える問題です。
聴解問題5も問題4と同様、質問が2つあるのに、1回しか聞くことができません。
例もありません。
最初の聴解問題5の説明1分28秒の間に
出来る限り、問いと選択肢を確認しておきましょう。
その後、各問題の最初にその問題の説明があります。
この説明にも問題を解くための重要キーワードが潜んでいることがあります。
大事なことはメモしておきましょう(対象者のレベルなど)。
何が大事かを把握するために説明1分28秒の間に選択肢を見ておく必要があります。
資料付き問題は資料だけで答えがわかることも
各問題の説明の後は
実際に音声が流れるまでに20秒ほど時間があります。
この20秒の間にも、問いと選択肢を確認しましょう。
問題5は3つありますが、毎年1つは資料付きの問題です。
資料付きの問題は資料を見ただけで答えが分かることがあるので聞く前に素早く資料をチェックしましょう。
聴解教材自体の問いはメモしておくこと
問題5でよく聞かれる問いは
①この聴解教材の特徴は?
②この聴解教材を解くために必要な能力は?
③この聴解教材の問題点は?
の3つです。
実際の学習者になった気持ちで実際に聴解教材をやってみましょう。
実際にやってみると、聴解教材を解くために必要な能力(②)や問題点(③)がわかります。
そのためにも、聴解教材自体の問いも忘れないようにしてください。
聴解教材自体の問いはテキストに書いてありませんから
聴解教材の問いをメモしておきましょう。
説明の後の20秒の沈黙の後
最初に問いが流れます(選択肢は流れません)。
メモしておかないと、長い聴解教材を聞いている間に問いを忘れてしまうことがあります(経験アリ)。
1番の解き方
説明と沈黙の間に、問いと選択肢を確認 ※できない人は問1のみ確認
問1:聴解教材の特徴
a 相づちを促すイントネーション
b 発言権を譲るようなイントネーション
c 婉曲的な表現
d 形容詞活用語尾の省略
問2:解くための知識
a 統語情報
例)「カケサッシは、昨日、バルボルセイヤに行った」という文を見た時、私たちは「カケサッシ」という言葉を知らなくても「カケサッシ」が移動するものであることがわかります。「 バルボルセイヤ 」という言葉を知らなくても「 バルボルセイヤ 」が場所であることがわかります。
これが統語情報の理解です。
文のどこにどんなものが来るか。
「統語構造」については、教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p125参照
b 隣接ペア
c パラ言語
d メタ言語
聞く
問1
b 相手に発話権を譲るようなイントネーションは使用せず…というかこの女性は譲る気がないですね。
c 婉曲的な表現は見当たりません。
d 形容詞の活用語尾の省略以前に形容詞が見当たりません。
a 「行ったときー」と句末を伸ばして発話を止めることで、「うん」という相づちを促しています。また、「困るじゃない?」と同意を求めるイントネーションを使用しています。
よって、答えはa
問2
この聴解問題
「女の人はどうして怒りましたか」
に対する答えは、
「男の人がちゃんと話を聞いていないから」ですね。
でも、男の人は、
「あ、俺、ちゃんと話聞いてないよ」とは言っていません。
なのにどうしてそれがわかるのでしょうか。
それは、相づちの口調です。
てきとうすぎます。聞く気ゼロです。
同じ言葉でも口調によって印象が全然違いますね。
口調、話しぶりなどのことを パラ言語 といいます。
よって、答えはc
2番の解き方
説明と沈黙の間に、資料と問いと選択肢を確認 ※できない人は問1のみ確認
資料をざっと見た後に問いを確認
問1:意味を理解しなくても解答に支障がない言葉
a 向かい
b 右
c 信号
d カフェ
問2:絵の問題点
a 左右の位置関係
b 東西南北の方角
c 記号の文化差
d 英語母語話者に有利
聞く
問1
地図上の1、2、3、4から
「男の人がこれから行くところ」
が3番であると特定するためには、
「この道をまっすぐ行って、2つ目の信号(c)を右(b)に曲がります。それからまっすぐ行くと郵便局があります。その向かい(a)がレストランです」
という言葉を理解する必要があります。
よって、意味を理解しなくても解答に支障がない言葉は、
d(カフェ)です。
よって、答えはd
問2
「それから、まっすぐ行くと郵便局があります。その向かいがレストランです」
この聴解問題を解くためには「郵便局」がどこか見つけなければなりませんが、地図上には日本の郵便局の地図記号しか示されておりません。この記号が郵便局であるとわからない人には難しい問題です。
よって、答えはc
3番の解き方
説明と沈黙の間に、問いと選択肢を確認 ※できない人は問1のみ確認
問1:問題の特徴
a 最後まで話を聞く必要
b 出来事の順序を把握
c 特定分野の知識
d 自分の経験との照合
問2:理解したかどうか確認する活動として適当じゃないもの
a スクリプトを音読
b 要約して書く
c 口頭で再構成
d 質問に答える
→選択肢を見るだけでaは理解してなくでもできることがわかる。
答えはaじゃないかと推測
聞く
問1
この聴解問題
「多くの人は何に共感していますか」
の答えは
「猫を守るために運転前に車のチェックを行うこと」です。
これは、話の最後に出てきます。
b 出来事の順序を把握していなくても
c 特定分野の知識がなくとも
d 自分の経験と照合しなくとも、
話の最後の部分
「動かす前には必ず車をチェックするように呼びかけています。この呼びかけに多くの人が共感しているそうです」
が聞き取れれば解けます。
よって、答えはa
問2
内容を理解していなくても音読はできるので、音読は内容理解の確認活動になりません。
よって、答えはa