試験Ⅱ問題6が最も大切な理由とは?
聴解問題6は文法の誤用問題
文法問題・誤用問題は試験Ⅱ以外でも多く出ます。
つまり試験Ⅱ問題6ができるようになれば他もできるようになるということ!
そこで問題集を用意しました。
完璧にして試験に向かいましょう。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅱの問題6は【学習者の発話の誤り】です。
問題6の解き方
①聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ。
②聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ。
1番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 不要な副詞の使用
例)私は日本語をわざと勉強しています。
副詞の「わざと」は不要
b 不要な助動詞の付加
例)「私は英語が分かられます」
可能を意味する助動詞「られる」を付加しているが、「分かる」には可能の意味があるので不要。
c モダリティ表現の誤り
例) 「明日、私は必ず行くそうです」→「明日、私は必ず行きます」 (平成26年度4番d)
d 動詞の活用の誤り
例) 「他に誰もやらないなら、私がやりざるをえない」→「他に誰もやらないなら、私がやらざるをえない」(令和元年度2番d)
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
私はケーキが大好きで、いくら食べても飽きられません
→飽きません
不要な助動詞「られる」を付加しています。
よって、答えはb
2番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 尊敬表現の不使用
例)(天皇に対し)映画見る?
b 依頼表現の不使用
例)あなたは私にお金を貸す。
c 不要な謙譲表現の付加
例)(弟に)鞄をお持ちしましょうか。
d 不要な授受表現の付加
例)明日、お金を返してあげます。
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
お借りした本は、来週、お返ししてあげます
→お返しします
「お返しします」と言うべきなのに「お返ししてあげます」と言っています。
なんか偉そうでイラっときますね。
本が自分から相手に移動するので、授受表現「あげる」を使ったのでしょうが…。
「てあげる」は私の行為が他の人に恩恵(ベネフィット)があるときに使います。
借りた本を返すのは当たり前なので「てあげる」はおかしい。
自分のアクションに「てあげる」を使うと偉そうに聞こえるので家族やそれぐらい仲のいい人以外に使っちゃだめだよ
と私も学生にアドバイスしております。
よって、答えはd
3番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 形容詞と動詞の混同
例) 「この地域は農業が盛んでいます」→「この地域は農業が盛んです」 (平成25年度8番a)
b 自動詞と他動詞の混同
例) 「約束の時間をまだ決まることができません」→「約束の時間をまだ決めることができません」 (平成27年度1番c)
c 形容詞の活用の誤り
例) 「映画は好きけど、あまり見る時間がない」→「映画は好きだけど、あまり見る時間がない」(令和元年度1番b)
d 複合助詞の誤り
例) 「ニュースによってゴリラの赤ちゃんが生まれたそうです」→「ニュースによるとゴリラの赤ちゃんが生まれたそうです」 (平成30年度6番c)
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
国によって食事のマナーが違いです
→違います
「違います」と言うべきなのに「違いです」と言っています。
「違う」は動詞だから「ます」を使うべきなのに、形容詞のように「です」をつけています(例…高いです、きれいです)。
形容詞と動詞を混同しています。
よって、答えはa
4番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 形容詞の接続の誤り
例)かわいいだと思います。
「と思います」の前に、イ形容詞「かわいい」が接続する場合、「だ」は不要
b 名詞の用法の誤り
例)あそこにいる人間はだれですか
「人間」ではなく「人」を使うべき。
「人」は個人や他人を表すときに使う。
「人間」は他の生物と比較したときに使う。
c 副詞の選択の誤り
例) 「バイトで知り合った友達とたまたま日本語の練習をします」→「バイトで知り合った友達とたまに日本語の練習をします」( 令和元年度5番a「副詞の誤り」)
d 助詞の重複の誤り
例)学校にへ行きます。
「に」か「へ」のどちらからでよい。
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
「人(々)」と言うべきなのに「人たち」と言っています。
「人」「人たち」は名詞なので、名詞の用法の誤りです。
「人々」は不特定多数の人
「人たち」は特定多数の人
例)あそこの人たちは何ですか。
よって、答えはb
5番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 連体修飾の誤り
例)彼女にもらったのチョコを弟が食べた
「彼女にもらった」は名詞(体言)の「チョコ」を修飾しているで連体修飾
V+Nのとき、「の」は不要
例)彼女にもらったチョコ
N+Nのとき、「の」が必要
例)私のチョコ
b 連用修飾の誤り
例)雨がザーザーの降る
「ザーザー」は動詞(用言)の「降る」を修飾しているので連用修飾
「の」は不要
連体修飾と連用修飾の違いは日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p97にも記載があります。
c 引用表現の誤り
例)彼は勉強しないでも合格できると思う
「と思う」で彼の考えている内容を引用しているので引用表現です。
「と思う」が使えるのは一人称。
三人称のときは「と思っている」にしなければなりません。
彼は勉強しないでも合格できると思っている。
d 接続表現の誤り
例) 「大学を卒業すると、有名になりたいです」→「大学を卒業したら、有名になりたいです」(平成27年度5番b)
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
公演の利用に関するのルールは守らなければなりません。
→公園の利用に関するルール
「関するルール」と言うべきなのに「関するのルール」と言っています。
「公園の利用に関するルール」は、「ルール」という体言を「公園の利用に関する」が修飾している連体修飾です。
よって、答えはa
6番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 使役表現の不使用
例) 「明日、説明会に行きたいので、アルバイトを休んでもらいたいんです」→「明日、説明会に行きたいので、アルバイトを休ませてもらいたいんです」(平成27年度7番c)
b 受身表現の不使用
例) 「日本のよい伝統がどんどん失っていきました」→「日本のよい伝統がどんどん失なわれていきました」(平成23年度7番b)
c 主体を表す助詞の誤り
例) 「ハムレットはシェイクスピアに書かれました」→「ハムレットはシェイクスピアによって書かれました」(平成29年度5番d「動作主の標示の誤り」)
d 対象を表す助詞の誤り
例) 「よそ見していた運転手は自転車の高校生が気づかなかった」→「よそ見していた運転手は自転車の高校生に気づかなかった」(平成24年度2番c)
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
私は会社に派遣して小学校で英語を教えています。
→会社に派遣されて
「派遣されて」と言うべきなのに「派遣して」と言っています。
受身表現が使われていません。
よって、答えはb
7番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a アスペクトの誤り
例) 「兄は日本のアニメについてよく知ります」→「兄は日本のアニメについてよく知っています」(平成30年度5番a)
b 引用表現の誤り
5番の解説参照
c 連体修飾の誤り
5番の答え
d 呼応の誤り
例) 「今日は500円しか持ってる」→「今日は500円しか持っていない」(平成30年度2番d)
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
ご飯を食べないのはなぜかと言うと、今ダイエットをしています
→ご飯を食べないのはなぜかと言うと、今ダイエットをしているからです
「食べないのはなぜかというと」に呼応させて「しているからです」と言うべきなのに「しています」と言っています。
よって、答えはd
8番の解き方
聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 「に」と「で」の混同
例) 「その人はスペインにとても有名です」→「その人はスペインでとても有名です」(平成26年度5番b「助詞の誤り」)
b 「に」と「の」の混同
例)「それは私に本です」→「それは私の本です」
c 対象を表す格助詞の誤り
「よそ見していた運転手は自転車の高校生が気づかなかった」→「よそ見していた運転手は自転車の高校生に気づかなかった」(平成24年度2番c「対象を表す助詞の誤り」)
d 存在を表す格助詞の誤り
例)「ここでネコがいます」→「ここにネコがいます」
聞いて学習者の誤りを直し、選択肢を選ぶ
明日の朝8時に駅で友達を会います
→明日の朝8時に駅で友達と会います
「友達と会います」と言うべきなのに「友達を会います」と言っています。
「会う」対象である「友達」を表す格助詞の誤りです。
よって、答えはc
各選択肢の例をもっと知りたい方へ
下の記事では過去10年分の選択肢を網羅しています。
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ウィンドウズパソコンは「Ctrl+F」
Macのパソコンは「command + F」
で検索窓が出ます。
そこに選択肢のキーワードを入力すれば、同じような選択肢が登場した過去問を調べることができます。