【過去問解説】平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8【2016】中級前半レベルの文法・読解クラス

H28試験Ⅲ
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問1の解き方

資料1のような活動のことをディクトグロスと言います。

よって、答えは2

ディクトグロス、ディクトコンポ、ディクテーションについて詳しくは下の記事をどうぞ

ディクタカンバセーションは

dict:書き取り

conversation:会話

なので

ディクタカンバセーションとは、会話の書き取りのことでしょうか。

この問題以外で見たことがない言葉です。

どこかで見たことがある方、教えていただけると幸いです。

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問2の解き方

活動系の問題は資料や問題文をよく読めば答えあるいはヒントが書いてあことが多いです。

選択肢1

注意深く聞かなくても理解できる文章だと習得に結びつきません。インプット仮説

選択肢2

簡単に字句を記憶できる長さだと、一人で復元できてしまい、ディクトグロスの意味がありません。

選択肢3

新出語20%は多すぎます。


3,新出語20%は多すぎます。

Hu and Nation (2000) は、語彙カバー率が小説の読解に及ぼす影響を調べている。カバー率95%のテキストは読める学習者もいるが、多くは読めない。カバー率90%ではさらに読める割合は少なくなり、カバー率80%では誰も読めなかった。教師の支援なしに楽しんで読むためには、98%以上のカバー率が必要であると報告している。

読解における語彙カバー率と理解度の関係

選択肢4

中級前半レベルの文法・読解クラスですから、学習対象は文法です。活動の流れ④で「教師が、テクスト中の注意すべき文法項目について説明する」ことからしても、「テクスト」を選ぶ際に大事なのは、「学習対象の文法項目が含まれていること」になります。

よって、答えは4

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問3の解き方

選択肢1

全てのグループは同じテクストを同じスピードで聞き取って復元しないといけないので、習熟度が同程度の学習者を組み合わせると、習熟度の低いグループが復元できなくなり、学習効果は高まりません。習熟度が高い学習者と低い学習者を組み合わせて、各グループのレベルを均一にした方がいいです。

選択肢2

ディクトグロスでは教師はノーマルスピードで読みます。ノーマルスピードで学習者が理解できない場合は、テクストのレベルが合っていません。

選択肢3

会話クラスではありません。文法・読解クラスです。

文章を復元する際、日本語でうまく話せない学習者には母語使用を認めていいでしょう。

選択肢4

ペアやグループは固定しない方が、より多くの人の視点を学ぶことができます。

よって、答えは3

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問4の解き方

受動表現とは、「れる」「られる」などの受身表現のことです。

複合助詞とは、複数の語がくっついて助詞の機能を果たすもの。

複合助詞の例

「に」+「よって」=「によって」

「に」+「よると」=「によると」

〈資料3〉を見ると

「猫は入られていない」×

→「猫は入っていない」〇

「ねずみがねこにだました」×

→「ねずみにだまされた」〇

「わざとおそい日をねこにおしえられました」×

「ねずみはわざと遅い日をねこに教えました」/「おそい日をおしえられました」〇

「神さまはおこった」×

→「神さまにおこられた」〇

いずれも受動表現に関わる誤用です。

よって、答えは1

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問5の解き方

選択肢1

暗示的な指導とは、説明しないで自然に習得できるように導く方法

明示的指導とは、学習者がはっきり意識するように学習項目を明示して指導する方法

詳しくは日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p343をどうぞ。

元の文章の内容を正確に復元する活動が暗示的指導

その後に教師が文法項目について説明しているのが明示的指導です。

暗示的な指導と明示的な指導が融合されています。

選択肢2

メモしながら聞くのがインプット活動

復元するのがアウトプット活動

統合されています。

選択肢3

自動化とは、意識せずに使える状態。例えば、私たちは自転車に乗るときのどの順番で体を動かすのか意識していません。これが自動化です。一方で、ディクトグロスではどの順番か思いっきり意識します。意識しているので自動化ではありません。

ディクトグロスでは、文章を復元する際に言語形式に注意を向けるので、言語形式に対する意識化が促進されます。自動化は促進されません。

選択肢4

活動の流れ③で自分たちが復元した文章(中間言語)とテクストのプリント(目標言語)を比較しますので、学習者の中間言語が目標言語とどのぐらい違うのか認知比較を促すことができます。

よって、答えは3

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以下は日本語教師になる前に書いた解説です。

※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題8は【上級レベルの留学生を対象としたクラスにおける読解・口頭表現・作文を組み合わせたグループワーク】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題8は【中級前半レベルの文法・読解クラス】です。

授業で使用したテクスト要約+α
タイやベトナムでは入っているのに日本の十二支にネコが含まれていないのはネズミにだまされて神様にあいさつに行くのが一日遅れたから。それ以来、ネコはネズミを追いかけるようになり、トムとジェリーが生まれました。

問1
日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第3版194頁によると、
1,ディクトコンポ…文を途中までディクテーションさせ、その続きを考えさせる。

2,ディクトグロス…①まとまりのある内容を持つ短めの文章を、教師が数回音読している間、学習者はキーワードのメモを取る、②その後、学習者が個別に、または他の学習者と協働して、元の文章と同等の内容・構成になるよう、文章を復元していく活動。
CD付 日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第3版 (EXAMPRESS)

3,ディクテーション… 読み上げた外国語を書き取ること。また、その試験。(スーパー大辞林3.0)

4,ディクタカンバセーション…なんですかこれは? dictaconversation?

正解は2です。

問2「テクスト」を選ぶ際の留意点
1,注意深く聞かなくても理解できる文章だと習得に結びつきません。インプット仮説。
2,簡単に字句を記憶できる長さだと、ディクトグロスの意味がありません。
3,どこからそのような数字が……
4,中級前半レベルの文法・読解クラスですから、学習対象は文法です。活動の流れ④で「教師が、テクスト中の注意すべき文法項目について説明する」ことからしても、「テクスト」を選ぶ際に大事なのは、「学習対象の文法項目が含まれていること」になります。
よって、正解は4です。

問3
1,振り返ってみるに、小中高大、いずれにおいても、グループ学習において、成績(習熟度)が同程度によって分けられた記憶はありません。同じ中級前半レベルのクラスなのですから、その中でさらに習熟度で分ける必要はないと存じます。

2,学習者の様子を見ながら、テキストを読み上げるスピードを調整する配慮が大事だと思います。問2の選択肢のように簡単すぎても、難しすぎても、習得に結びつきませんから。

3,中級前半なんですから、日本語で頑張ってください。

4,固定する必要はないかと。

よって、正解は2です。

追記)
何の疑問も持たずに正解は2だと決めつけて、よくよくアルク他の解答速報を確認したら、いずれも正解は3になっておりました。日本語教育の経験もないくせに偉そうなことを言って誠に申し訳ございませんでした。
グーグル先生のお力も借りた結果、以下の資料にあたることができました。

中級学習者に対するディクトグロスの実践
ディクトグロスを用いたリスニング能力を伸ばす指導

読んだ結果、考えが変わりました。
2,読み上げる途中でスピードを訂正していたら、学習者の注意力が削がれるのではないかと。
3,あくまで「文法的に正しく整合性のある文章を再構築する」ことが目的なのだから、日本語がうまく話せない学習者には母語使用を認めるべきだろうと。

よって、正解を3に訂正いたします。

問4
「ネコは含まれていない」→「ねこは入られていない」
「ネコがネズミにだまされた」→「ねずみがねこにだました」
など受動表現に問題があるので、正解は1です。

問5 ディクトグロスに期待される効果
1,暗示的な指導…説明しないで自然に習得できるよう誘導
明示的な指導…学習目標となる言語項目を、学習者がはっきり意識するように説明して教える。
活動の流れ③が暗示的指導、④が明示的指導ではないかと存じます。融合されてます。

2,聞くというインプット活動と、話す書くというアウトプット活動を統合してます。

3,私にはどういうことなのかよく分かりませんでしたので、保留。

4,聞いた目標言語を、自分の言葉で書いてみることで、学習者の中間言語と目標言語の認知比較を促せます。

以上より、消去法で3が正解です。

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