問1の解き方
各選択肢の具体例を考えます。
選択肢1
「幼稚な人」「幼稚な行為」
「未熟な人」「未熟な行為」
どれもOKです。
選択肢2
「初めて」は2者間の比較に使いません。2者間の比較には「より」を使います。
例)北海道は沖縄より寒い。
選択肢3
「階段をのぼる」階段という経路を進むイメージ
「屋上にあがる」屋上という到達点についたイメージ
正しいです。
選択肢4
「夏休みは沖縄に行く予定です」
「夏休みは沖縄に行くつもりです」
どちらも自分の計画に使えます。
よって、答えは3
問2の解き方
下線部Bが難しい言葉なので、やさしい言葉に言い換えましょう。
「弁別」とは、違いを知って区別すること。
「文体」は、日常会話とフォーマルな言葉など。
「位相」は、性別、年齢、職業など社会的立場の違いが言葉の違いに表れること。
「地域の違い」は、方言のこと。
つまり下線部Bは
「(似ている言葉について)私たちは違いを知って区別しているわけではなくても、日常会話とフォーマルな言葉、男言葉、女言葉、幼児語、若者言葉、方言など、実際にはいろいろな違いがありますね」
ということです。
変な選択肢を消していくと答えが出ます。
選択肢1
「あやしい」も「あぶない」も方言というイメージはない。共通語だと思うけれど、まだ一つ目の選択肢なので保留。
選択肢2
俗語とは日常会話で使う語。あらたまった場では用いにくい。
例えば面接の場で「おでこ」を使うか?
使わない。
「おでこ」は俗語。
「ひたい」は?
面接の場で使っても日常会話で使っても違和感ない。
正しい。
選択肢3
私は男性ですが「あした」も「あす」も使います!
明らかに変
選択肢4
私は大人ですが「あったかい」も「あたたかい」も使います。
幼児語ではありません。
幼児語とは「わんわん(犬)」「まんま(ごはん)」など幼児特有の語彙。
選択肢1を保留としましたが、選択肢3と4が明らかに誤りで、2は正しかった。
よって、答えは2
なお、選択肢1の「あやうい」も「あぶない」も共通語です。
問3の解き方
各選択肢の具体例を考えます。
選択肢1
例)彼は勉強しなかったくせに(のに)、テストに合格した。
従属節:彼は勉強しなかったくせに(のに)
主節:テストに合格した。
従属節も主節も同じ主語「彼」です。
誤り。
選択肢2
状況判断の「はず」とは何でしょうか。
以下のように現状を認識した時につかう「はず」のことでしょう。
「のに」の例)そろそろバスが来るはずなのに、来ないな 〇
「くせに」の例)そろそろバスが来るはずのくせに、来ないな ×
「くせに」の従属節に状況判断の「はず」を用いることができません。
誤り。
なお、「はず」の用法について詳しく知りたい方は
大場美穂子(2020)「『はずだ』の用法と使用場面」をどうぞ。
選択肢3
「のに」の例)のびたなのに生意気な!
「くせに」の例)のびたのくせに生意気な!
「のに」は「な」
「くせに」は「の」
を使います。
誤り。
選択肢4
①勉強しなかったくせにテストを受ける?
②勉強しなかったくせにテストを受けるの?
③勉強しなかったのにテストを受ける?
④勉強したかったのにテストを受けるの?
どうでしょうか。
「の」がない②や④は問いかけ(質問)というよりも、聞いた事実を確認している感じがします。
問いかけ(質問)の文では「の」が必要そうです。
よって、答えは4
問4の解き方
各選択肢の具体例を考えます。
選択肢1「対比」の例を考えます。
都会の生活は楽しい一方で、ストレスも多い。
都会の生活は楽しい反面、ストレスも多い。
従属節:都会の生活は楽しい
主節:ストレスも多い
従属節の事態(都会の生活は楽しい)と並行し、それとは対照的な側面の主節事態(ストレスも多い)も成立する「対比」です。
楽しい⇔ストレス多い
対照的です。
「一方で」も「反面」も「対比」の意味を表すことができました。
選択肢2「累加」の例を考えます。
累加とはかさね加えること。
姉は、1日8時間働く一方で、育児もしているすごい人です 〇
姉は、1日8時間働く反面、育児もしているすごい人です ×
姉は、8時間働く+育児もしている
「一方で」は「累加」の意味を表すことができましたが、「反面」はできませんでした。
正しいです。
選択肢3「継起」の例を考えます。
継起とは、出来事が続いて起こること。
ディズニーランドに着いたとたん、雨が降ってきました。
従属節:ディズニーランドに着いた
主節:雨が降ってきました
ディズニーランドに着く→雨が降る
無関係に成立する出来事が続いて起こっていますね。
「反面」や「一方で」では継起を表す表現は難しそうです。
継起を表す表現は、平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(11)【二つの出来事の継起を表す表現】でも出題されています。要チェックです。
選択肢4「因果関係」の例を考えます。
因果関係とは、原因と結果の関係
「反面」や「一方で」が因果関係を表さないことは明らか。
因果関係といえば「から」や「ので」でしょう。
よって、答えは2
問5の解き方【初級や中級の多くの学習者が理解しやすい表現】
問題文の「初級や中級の学習者と話す際に、多くの学習者によってより理解しやすい類義の表現に言い換える」
これ自体を簡単に言い換えると
「やさしい日本語にする」
ということです。
各選択肢を見て、やさしい日本語になっているかチェックします。
選択肢1
「てもおかしくない」というのは中級以降で習う難しい表現です。それを使わず言い換えているので、やさしい日本語になっています。
選択肢2
「髪型」→「ヘアスタイル」
「印象」→「イメージアップ」
と言い換えていますが、外来語(カタカナ語)を使うことがやさしい日本語ではありません。外来語は元の言葉の音とは違うので、分かりにくい場合も多いです。
選択肢3
「いつもいがみ合っています」→「犬と猿のような関係」
と言い換えていますが、外国人学習者は「犬と猿は仲が悪い」という日本人の共通認識を知らない可能性があるので、やさしい日本語になっているとは言えません。
選択肢4
「非常に美しいところ」→「それはもうきれいなところ」
と言い換えていますが、「それはもう」というのは具体的ではないのでわかりにくいです。やさしい日本語とはいえません。
よって、答えは1