適正処遇交互作用とは

用語集
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言語習得における「適正処遇交互作用(Aptitude-Treatment Interaction, ATI)」とは、学習者の持つ個々の「適性(aptitude)」と、使用される「学習方法(処遇/treatment)」の交互作用が学習成果に影響を与えるという概念です。ATIの考え方では、学習者の特性に応じた学習方法が提供されることで、言語学習の効果が最大化されるとされます。これは、すべての学習者が同じ学習方法で等しく学べるわけではなく、個人の適性に応じたアプローチが必要であるという考え方に基づいています。

ATIの主要な要素

1. 学習者の適性:

• 認知能力:記憶力、論理的思考力、音韻処理能力など、学習者が持つ基本的な認知的特徴です。例えば、リスニングや発音が得意な学習者もいれば、文法や読解を得意とする学習者もいます。

• 学習スタイル:学習者によって、好む学習スタイルは異なります。理論的な説明を重視するスタイルが合う人もいれば、実践的な対話練習で学ぶ方が効率的な人もいます。

2. 学習方法(処遇):

• 教授法:学習方法には、文法翻訳法、直接教授法、オーディオ・リンガル法、コミュニカティブ・アプローチなど、様々なアプローチがあります。学習者の特性に合った方法が取られることで、学習効果が向上することが期待されます。

• 教材や活動:例えば、視覚的な教材が有効な学習者や、会話中心のアクティビティを好む学習者もいます。

3. 適正と処遇の交互作用:

• 適性と学習方法の「交互作用」によって、学習成果が変わることを指します。たとえば、文法の規則を理解する能力が高い学習者には、文法の説明や演習を重視した指導が効果的です。一方で、言語を直感的に学ぶことが得意な学習者には、コミュニケーションを重視した学習法が適しています。

ATIの利点と課題

適正処遇交互作用(ATI)の考え方に基づいて指導を行うことで、学習者の特性に応じた柔軟な指導が可能となり、学習効果を高めることができます。ただし、学習者ごとに適性を正確に把握し、最適な学習方法を提供するには、適切な診断や多様な教材・教授法の用意が必要です。

ATIの理論は、個別化学習や学習プログラムの設計において応用され、学習者の多様なニーズに対応した効果的な第二言語教育を提供するための基盤となっています。

 第二言語習得の成否に関わる要因には、認知的な側面と情意艇な側面のものがある。

 外国語学習に必要な認知能力を調べる言語適性の研究は、学習の成否を予見することを目的として始まった。しかし、近年は適正処遇交互作用の観点を踏まえ、習得過程と適正との関わりという視点で研究が進んでいる。

問1 「適正処遇交互作用」の説明として適当なものは?

1 学習者の適正に合っていない教授法で指導を行うと、学習者の適性が変化する。

2 学習者の習得状況に合っていない指導を行うと、学習者の適性が変化する。

3 学習者の適正に合った教授法で指導を行うと、より高い指導効果が期待できる。

4 学習者の習得状況に合った指導を行うと、適性を高める効果が期待できる。

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1より引用

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適正処遇交互作用が出題された日本語教育能力検定試験の過去問

令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2

平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1

平成27年度日本語教育能力検定試験試験Ⅰ問題10問4

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