「ビリーフ」(beliefs)とは、第二言語習得において学習者が抱く信念、価値観、考え方の総称です。ビリーフは、学習の取り組み方や成果に影響を及ぼす重要な要素として研究されており、学習者の学習方針やモチベーション、最終的な学習成果に関わります。
学習者が抱くビリーフの例としては、「文法を理解することが流暢に話せるようになる鍵だ」といった学習方法に関する信念や、「間違いを恐れずに話すことが上達の近道である」という目標設定に関するビリーフがあります。こうしたビリーフは、学習者の文化的背景、過去の教育経験、自己効力感(自分の学習能力に対する自信)などに影響されながら形成され、学習の方向性を左右します。
ビリーフはまた、学習意欲やストラテジー(学習方法の工夫)にも影響します。たとえば、「自分には語学の才能がない」というビリーフが強い学習者は学習に消極的になりやすいのに対し、「聞き流すことで自然に言語を身につけられる」という信念を持つ学習者はリスニング中心の勉強を好む傾向があります。
教師にとっても、学習者のビリーフを理解することは、適切な指導方針の設定に役立ちます。ビリーフに応じた指導法を採用することで、学習者が自身のビリーフと学習内容の関連性を見出し、効果的な学びへとつながる可能性があります。また、教師が学習者のビリーフに柔軟に対応することは、誤ったビリーフ(たとえば「言語習得には文法だけが重要だ」という偏った信念)の修正にもつながります。
「ビリーフ」に関する記述として不適当なものは?
1 学習者は自分のビリーフに沿った方法で学ぶと効率よく学べる。
2 学習者のビリーフも教師のビリーフも経験を通して変化していく。
3 学習者のビリーフは学習者の用いる学習ストラテジーにも影響する。
4 学習者のビリーフと実際の学習における行動は必ずしも一致しない。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問3より引用
「指導方法や学習効果などに関する自分の考え」を何と言うか?
1 モデル 2 ビリーフ 3 スタイル 4 タイプ
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問1より引用
ビリーフでやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問3
・令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問3【教師自身のビリーフ】
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問3【学習者のビリーフ】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問4【ビリーフ】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問3【学習者のビリーフ】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問4【ビリーフ】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6問1【ビリーフ】